【ブルージェイズ13-7ヤンキース】トロント/ロジャースセンター、10月5日(日本時間6日)
ヤンキースは、この状況が理想的でないことを理解している。しかし、主将アーロン・ジャッジは「焦りはない」と語った。
ア・リーグ地区シリーズ(ALDS=5回戦制)で0勝2敗と追い込まれ、本拠地ニューヨークへと戻るヤンキース。しかし、ジャッジが「これは俺たちにとって初めてのことじゃない」と語るのは、シーズンを通じて、常に逆境に立たされてきたからだ。
「俺たちはずっとこういう戦いをしてきた。ワイルドカードシリーズ(WCS)でも初戦を落として、2試合連続で、生き残りをかけて戦った。シーズン終盤もそうだった。毎試合、負けられない状況だった」とジャッジは語る。
「地区優勝のために、最後まで、全試合が決勝のようなものだった。だからこそ、自分たちの野球を取り戻して、相手にプレッシャーをかけるだけだ。何が起こるかは分からない」
ヤンキースはレギュラーシーズンを8連勝で締めくくり、前年と同様、94勝でシーズンを終えた。ブルージェイズと勝利数で並んだものの、直接対決で負け越したため、地区2位としてワイルドカード枠で出場した。
ジャッジが語ったように、WCSでもレッドソックスとの初戦を落とし、後がなくなってから、連勝でALDSへと進出した。しかし、ここ2試合は23点を奪われた一方で、8得点しか挙げられていない。その上、今回は3連勝する必要がある。状況はより厳しい。
「もちろん、相手のホームでこんなふうに2試合を落とすと、世界の終わりのようにも思える。だが、第3戦に勝てば、流れは一気に変わる」とアーロン・ブーン監督は語った。
ジャッジは第2戦で3打数、2安打、1打点、2四球を記録。どちらの安打も、ルーキー右腕トレイ・イェサベージが降板後、相手ブルペンから放ったものだった。
一方で、ライトでの守備ではミスもあった。二回、ドールトン・バーショの二塁打の捕球に手間取り、その直後にアーニー・クレメントに2ランを許した。
今季のポストシーズンでジャッジは18打数8安打(打率.444)と好調だが、長打は第1戦終盤、勝負が決していた八回の二塁打1本のみだ。
「自分の役割を果たすだけ。出塁して、走者をかえす。力みすぎないことが大事だ。このチームが一年間うまくやってこられたのは、打線がつながっていたからだ。第2戦の終盤でもそうだったように、投手にプレッシャーをかけ続ける。それを本拠地でも続けるだけだ」とジャッジは語る。
ヤンキースは、この厳しい条件から逆転で突破したことがある。それが、2017年。ジャッジのルーキーイヤーだ。
「ワイルドカードを勝ち上がって、クリーブランド(当時のインディアンス、現在はガーディアンズ)に連敗した。あの年も相手は地区王者で、前年のワールドシリーズ出場チームだった。それでも、俺たちはそこから勝ち上がったんだ」
なお、その2017年のヤンキース以降、現在の5試合3勝制、2戦→移動日→2戦→移動日→1戦形式の地区シリーズで、敵地で最初の2戦に連敗してからリーグ優勝決定シリーズに進出したチームはいない。この状況からシリーズ突破を果たしたのは、34チーム中わずか3チーム(8.8%)で、20チームはスイープで敗退(3連敗)している。
それでもジャッジは、過去の経験と苦労がチームを強くすると信じている。
「このチームには、ワールドシリーズを経験した選手も、修羅場をくぐり抜けてきた選手もいる。ずっとがけっぷちで戦ってきた。だからこそ、いつも通りに戦えばいい」とジャッジは語った。
