少年時代、観客席から応援していた選手とメジャーの舞台で対戦する。多くの野球少年たちが夢見る情景だ。
カリフォルニア州アナハイムで育ったナショナルズのアンドリュー・アルバレスにとって、マイク・トラウトは憧れだった。
「小さい頃から彼のプレーを見てきた。僕の中では、彼は僕たちの世代で最高の選手」
1999年生まれの27歳で、トラウトがエンゼルスに入団した2011年は12歳。アルバレス少年はファウルボールやホームランボールを取ろうとグラブを手にエンゼルスタジアムを訪れ、声援を送った。
9月12日、ナショナルズ・パークでのエンゼルスとのシリーズ第2戦。その憧れの選手との対戦が実現した。
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準備の段階では少し心がザワザワしたが、マウンドでは落ち着いていた。
「マウンドにいる時は、誰が打席に立っているかは関係なく、とにかく勝負するだけだから」
初回の第1打席では84.4マイル(約135.8キロ)のカーブで空振り三振。三回は93マイル(約149.7キロ)のフォーシームでセカンドゴロ。さらに六回は2−0まで追い込むと、3球カーブを続け、最後は82.5マイル(約132.8キロ)のカーブでファウルチップを奪い、この日2つ目の三振を奪った。試合前からのゲームプラン通り、速球と変化球を織り交ぜながらトラウトを攻めた。
昨年9月にメジャー昇格を果たしたアルバレスは、今季5月中旬からナショナルズの中継ぎとして長いイニングを任され、トレードデッドライン以降は先発ローテーションの一角を担ってきた。エンゼルス戦では7回1安打8三振、無失点の好投。五回までノーヒットに抑え、メジャーで初めて7イニングを投げ切った。
「(8月3日)フィリーズ戦では七回まで投げ切れなかったので、そのことも少し頭にあった。(きょうは)七回にも四球と死球を出してしまったので、とにかく最後まで攻め続けようと思った。最近は四球を出して途中で降板することもあったので、7イニングを投げ切れたことは自信になる」
そして、対戦相手はアルバレスがよく知るチームだ。
「地元のチームを相手にできたことは特別だった。子どもの頃から何度も試合を見に行っていたチームなので、とても感慨深い」
試合後、アルバレスは改めてトラウトへの思いを語った。
「トラウトのような選手と対戦できること自体が、本当に恵まれたこと。三振を取れたのは、さらに特別な気分。トラウトが野球界にもたらしてきたもの、ゲームにとっての意味も含めて、とても尊敬している。きょう打ち取れた経験をこれからの野球人生でずっと大切にしていきたい」
子どもの頃、トラウトを応援していたことを本人に伝えるのかと尋ねると、アルバレスは、「ユニホームを買って、サインをお願いしようかなと思ったんだけど……」と照れ笑いした。