【企画】ア・リーグのサイ・ヤング賞争い 新星シュリットラーか、実績のシースか

September 5th, 2026

投手タイトル争いが熱を帯びてきた。ア・リーグでは、ヤンキースの25歳右腕キャム・シュリットラーが頭角を現す一方、ブルージェイズのディラン・シースも抜群の奪三振力を武器に存在感を示している。勢いに乗る若き右腕か、実績を誇る30歳の右腕か。残り1カ月、サイ・ヤング賞の行方を占う注目の候補を紹介する。(※成績は9月4日終了時点)

MLBの最新ニュースを見逃さない!

キャム・シュリットラー(25歳、ヤンキース)

  • fWAR:5.4(ア・リーグ投手1位)
  • bWAR:6.4(ア・リーグ投手1位)
  • 防御率:2.04(ア・リーグ投手1位)
  • 投球回:171 回 2/3(ア・リーグ2位)
  • 奪三振:210(ア・リーグ3位)

シュリットラーを推す理由は、投球の質とシーズンを通した安定感を高いレベルで両立している点にある。ブルージェイズのディラン・シースとは fWAR でほぼ互角だが、シュリットラーは防御率 2.04でリーグ 1 位、bWARも6.4で投手 1 位。さらに投球回 2 位、奪三振 3 位と、短期間の圧倒的な投球だけではなく、先発として十分なイニングを積み重ねている。防御率、WAR、投球回を総合すれば、最もサイヤング賞にふさわしい。(山田結軌)

ディラン・シース(30歳、ブルージェズ)

  • fWAR:5.4(ア・リーグ投手1位)
  • bWAR:6.1(ア・リーグ投手2位)
  • 防御率:2.25(ア・リーグ投手2位)
  • 投球回:156回 1/3(ア・リーグ7位)
  • 奪三振:221(ア・リーグ1位)

私が推すのはブルージェイズのディラン・シースだ。シュリットラーと最後まで迷ったが、決め手はベースボールサバントの指標だ。投球全体のラン・バリューはともに最高水準。ただし、三振・四球と打球の速度・角度を基に、味方の守備や打球の落ちどころなど運の影響をできるだけ除いた期待防御率(xERA)、期待被打率(xBA)、期待被長打率(xSLG)では、シースが 94 対 90、96 対 83、96 対 80 と軒並み上回っている(数字は 100 に近いほど優秀)。速球と制球ではシュリットラーに分があるが、今季221 奪三振を記録し、打者からバットに当てる自由を奪ってきたのはシース。サイ・ヤング賞には「最も崩れない投手」ではなく、「最も打ちにくかった投手」を推したい。(居城弘直)

パーカー・メシック(25歳、ガーディアンズ)

  • fWAR:4.3(ア・リーグ投手3位)
  • bWAR:5.4
  • 防御率:2.46(ア・リーグ3位)
  • 投球回:161回(ア・リーグ7位)
  • 奪三振:161(ア・リーグ10位)

大穴として推したい投手がガーディアンズの若きサウスポー、パーカー・メシックだ。シュリットラーやシースの陰に隠れがちだが、防御率2.46はア・リーグ3位。27試合に先発して161イニングを投げ、WHIP 1.02と抜群の安定感でクオリティ・スタート(QS)を13試合で達成。

メシックのすごみは、被ハードヒット率32.3%という「打球を強く弾き返させない制球力」にある。スタットキャストの期待防御率(xERA)2.87はリーグトップクラスで、単なる守備の運ではなく、自らのピッチングで打者の芯を外し続けている証拠だ。三振数こそ多くはないが、効率の良い投球による凡打でチームに勝利をもたらすスタイルは、まさにサイ・ヤング賞のダークホース。上位2投手に失速やブレが生じた場合、チャンスがあるかもしれない。(及川彩子)