ホワイトソックスの村上宗隆(26)は9月2日(日本時間3日)、敵地でのアストロズ戦に「2番・一塁」で先発し、4打数1安打1三振だった。八回に右前打を放ったが、本塁打は出ず。チームは3安打に抑えられ、0-2で完封負けした。村上の今季成績は104試合、打率.215、29本塁打、59打点、出塁率.357、長打率.487、OPS.844となった。
【8月18日以来、14試合&66打席ノーアーチ】
最後の本塁打は8月18日のカブス戦。三回にケビン・ゴーズマン(35)の92.5マイル(約149キロ)のフォーシームを捉え、打球速度111.1マイル(約179キロ)、飛距離406フィート(約124メートル)の29号ソロを放った。
翌19日から9月2日まで、本塁打なしは14試合連続となった。
・51打数5安打
・打率.098
・0本塁打
・長打は二塁打1本
・12四球
・23三振
・出塁率.270
・長打率.118
・OPS.388
さらに29号を放った打席の後から数えると、66打席連続で本塁打が出ていない。
【原因①三振が増え、インプレー打球そのものが減った】
村上は29本塁打を積み上げる過程でも三振が多かった。現在もシーズン通算456打席で154三振。三振率は33.8%となる。
ただし、8月19日以降は、これらの数値が上昇した。
- 63打席
- 23三振
- 三振率36.5%
14試合の51打数のうち23打数が三振。安打や本塁打を生み出すには、まずフェアゾーンへ打球を飛ばす必要がある。現在はその機会自体が減っている。
【原因②8月21日以降、打球の質が低下】
三振を免れて打球にしても、直近は村上本来の強い打球の割合が落ちている。ベースボール・サバントの累積データから8月20日までと21日以降を比較すると、変化は明確だ。
■ 8月20日まで(打球数199)→8月21日以降(打球数17)
- バレル率:20.6%(41本)→5.9%(1本)
- ハードヒット率:58.8%→41.2%(7本)
- スイートスポット率:30.7%→23.5%(4本)
特にバレル率は20.6%から5.9%まで大幅に低下した。95マイル(約153キロ)以上の強い打球を示すハードヒット率、安打や長打につながりやすい角度で捉えた割合を示すスイートスポット(バットの芯で捉えた)率も低下している。
つまり現在は、三振が増えてインプレー打球を作る機会が減っただけではない。バットに当てても、芯の近くで捉えられず本塁打や安打につながりやすい「強さ」と「角度」を兼ね備えた打球が減っている。これが、安打と本塁打が同時に止まっている大きな要因と考えられる。
【本塁打が止まった理由】
本塁打についても構造は共通する。
8月19日以降の14試合で長打は二塁打1本のみ。51打数で塁打数は6にとどまり、長打率.118。本塁打になる打球以前に、強い打球そのものがほとんど生まれていない。
【選球眼は崩れていない】
スランプ中でも四球は減っていない。
8月19日以降は、
- 63打席
- 12四球
- 四球率19.0%
シーズン通算でも456打席で81四球、四球率17.8%。むしろ直近14試合の四球率はシーズン平均を上回っている。
悪球に手を出して凡打している、というわけではない。安打が5本しかない14試合でも12四球を選び、打率.098に対して出塁率は.270を確保している。
【現在のスランプを整理】
■ 8月19日~9月2日の14試合
- 本塁打なし=14試合連続&66打席連続
- 打率=.098
- 長打率=.118
- 三振率=36.5%
- 四球率=19.0%
■ 8月21日以降の打球の質
- バレル率=5.9%(8月20日までは20.6%)
- ハードヒット率=41.2%(同58.8%)
- スイートスポット率=23.5%(同30.7%)
村上はシーズンを通して三振の多さという課題を抱えながら、強いスイングを貫き29本塁打まで積み上げた。強振と空振りというリスクは長打・本塁打と引き換えの“対価”のようなも。ただし、現在はリスクに対して、リターンを得られていない。
8月21日以降は、それ以前と比較してサンプルとなる打球数は少ないが、打球の質が低下している。つまり、バットの芯に当たらず、強く、角度のついた打球を打てていない、という事実が明確だ。
一方、四球を選ぶ能力はハイレベルをキープ。選球眼そのものが悪くなったわけではない。
村上本人は、たかが14試合のノーアーチ期間だと考えているかもしれない。シーズンで必ず訪れる調子の浮き沈みがいまきているだけなのかもしれない。ヤクルト在籍時、三冠王に輝いた2022年でさえシーズン終盤に13試合連続ノーアーチ、55号の後から60打席連続で本塁打を打てない時期があった。
ただ、村上に本塁打がでない期間をメディアが取り上げ、ファンから『まだか、まだか』と言われること自体、すでにメジャーでホームランバッターとして認知されている証。ルーキーイヤーで30本塁打の節目への到達は、時間の問題だろう。
ホワイトソックスはア・リーグ中地区で首位をキープ。2位のガーディアンズに3ゲーム差をつけている。2021年以来、5年ぶりの地区優勝へ加速するためには村上の復調は不可欠だ。
