【記者の目】大谷翔平はWBCに出場できるのか

November 15th, 2025

ドジャースの大谷翔平(31)が13日(日本時間14日)、ナ・リーグの最優秀選手(MVP)に選出された。電話会見では、2026年3月開催の第6回ワールドベースボールクラシック(WBC)への出場には、慎重に言葉を選んだ。

「WBCに関してはまだ、球団を通してというか、個人間ではちょっとやり取りができないので、球団からどうなるか、というまずは連絡を待っている。みんなそういう段階じゃないかな、と思うので、まだこれから先に(出場の可否が)決まっていくことなのかな、と思っています」

大谷のこの言葉だけでは、出場の可能性は分からない。ドジャースが球団として公式に出場を許可するのか、しないのか。球団としての方針を表明していない。大谷の契約にWBCの出場可否に関する条項が盛り込まれているのか。それも不明だ。

大谷はWBCに出る。私はそう見込んでいる。

勝負に飢え、日本代表として世界一の喜びを知る前回大会MVP選手が、自らの意思で出場を辞退する、とは思えない。公にできないケガでも抱えていない限り、大谷の気持ちは「出たい」はずだ。

前回大会では、2022年11月17日に出場を表明していた。同時期の今、大谷の気持ちは固まっているはずだ。エンゼルス在籍時と状況が異なるのは、今回はワールドシリーズ第7戦まで戦い、オフが1カ月以上短いこと。そして、乗り越えるべきハードルもある。複数の事情が重なり、まだ公言できないのではないだろうか。

一つは、ワールドシリーズまで戦った疲労を回復させることだ。幸い、レギュラーシーズンやポストシーズンで大きな負傷はしていない。

「去年、おととしみたいに手術がないので普通のオフシーズンというか、ゆったりとしたオフシーズンを過ごしている」と休養に努めていることは、WBC参加にプラスだ。

もう一つのハードルは、ドジャースからの制限だ。大谷が10年総額7億ドル(約1082億2800万円)の超大型契約を結んだ際、契約にWBC出場についての条項があるのかどうか。ドジャースとしては、負傷のリスクを軽減して、契約の残るあと8シーズンを健康に二刀流として全うしてほしい。

ただ、大谷の希望が通りやすい状況だったと想像できる。2年前のオフ、大谷は契約交渉時に「売り手」だった。つまり、自身の要求や希望を伝えやすい立場だ。WBCへのこだわりが強いとすれば、契約に「WBC出場可能」の条項を盛り込んでいても不思議ではない。ドジャースが過去の例から、自軍の選手のWBC派遣に消極的なのは周知の事実。特に投手に対しては、なおさらだ。

「制限付き」なら出場の可能性は広がる。球数、登板間隔、打席数などシーズンに向けた調整の一環としてのプレーを侍ジャパンが許容できる場合、ドジャースからのGOサインを得やすい。投手交代のタイミング、登板日などは侍ジャパンの首脳陣ではなく、ドジャースの意向が優先される、ということだ。WBCで4度目の優勝を目指す侍ジャパンとして、井端監督らがドジャースからの指示を受け入れながら采配することができるのか。課題はある。

もちろん、これまでも代表に参加したメジャーリーガーに対して、所属球団から起用方法へのリクエストはあった。前回大会では大谷が所属していたエンゼルス、そしてダルビッシュ有のパドレス、レッドソックスでメジャー1年目を迎える吉田正尚らの起用方法について侍ジャパンは各球団と随時、連絡を取り合った。

大谷は、超一流のメンバーを揃える各国代表とのヒリヒリする勝負を心から望んでいるはずだ。二刀流の動向はチーム全体の戦術やメンバー構成を左右する。連覇への最重要キーマン。正式な参加表明を期待している。