彼らがグラウンドに立つ姿は、同じルーツを持つ子供たちにとって大きな希望だ。
「自分と同じようなルーツを持つ選手がプレーしているのを見たら、子供たちは『僕にもできる』『野球をやってみようかな』というきっかけになると思うんだ」
エンゼルスのジョー・アデルは優しい眼差しでそう話す。
今季、開幕ロスターのうち黒人選手の割合は6.2%(59人)で前年からわずかに増加した。しかし一部のスポーツと比べると少ない印象を受ける。
だがアデルは、「野球を始める黒人の子供は増えているんだよ。僕の父はプロのアメフト選手だったけれど、僕と姉は体操、サッカー、水泳などにも親しんで、最終的には僕は野球、姉はソフトボールを選んだからね。野球に興味を持ちはじめている黒人の子供たちは増えているよ」と自身の経験を交え、「野球を始めるきっかけが必要なんだ」と続ける。
野球は初期費用などが高額で、それが低所得の家庭には高いハードルとなっている。それでも選手会やメジャーリーガーによる野球キャンプやイベントの開催により、野球の裾野は徐々に広がりつつある。
「野球は道具や環境の整備にお金がかかるスポーツなので、そうした支援が鍵になると思う」とアデル。
今季の開幕ロスター59人のうち17人がMLBユースアカデミー、ブレイクスルーシリーズ、ドリームシリーズなど、リーグの育成プログラムの出身者で、また昨年のドラフトで最初のラウンドで選ばれた選手の30%が黒人選手と、選手会やリーグは次世代のスターたちの夢を後押ししている。
アデルも自身の財団を作り、そこで野球教室を開くなど積極的に活動を行なっている。
ハード面だけではなく、ソフト面でも彼らは大きな役割を担っている。
「『少数派』として注目されやすく、良くも悪くも影響力がある。SNSを含め、発信する言葉や行動には気をつけなければならない。自分の行動が次世代の道を開いたり、逆に閉じたりしてしまう可能性があるからね」と社会的責任についても語る。
「自分のような選手がグラウンドに立ち続けること、それが野球の未来を作ると思う。正しい姿勢で取り組み、子供たちに『自分もできる』と思わせたい。誰もが夢を追いかけられる場所だと子供達に知ってほしい」
その信念を胸に、彼は今日もグラウンドに立つ。