オーストラリア代表 若手とベテラン融合で狙うは2023年大会超え

February 8th, 2026

オーストラリアにおける野球の歴史は古く、1850年代、メルボルン北西約110キロに位置するバララットの金鉱地帯で、アメリカ人の金鉱採掘者たちがプレーしたのが始まりとされている。オーストラリア野球連盟によると、これまでに38人のオーストラリア出身選手がMLBでプレーしてきた。

2023年のワールドベースボールクラシック(以下、WBC)で、オーストラリアはチーム史上初となる準々決勝進出を果たした。今大会は、グリーン&ゴールドの代表を率いる存在として、オーストラリア野球界のレジェンド、リアム・ヘンドリックスが復帰。ヘンドリックスは非ホジキンリンパ腫との闘病のため2023年大会を欠場していたが、再び大会舞台に戻ってくる。

さらに今春は、2024年ドラフト全体1位指名を受け、MLBパイプラインのプロスペクトランキングで全体17位に名を連ねるトラビス・バザナも代表入りする。オーストラリアは2026年大会を前に、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のランキングで11位につけている。

2023年大会での名場面

オーストラリアはこれまでのWBC全5大会に出場し、2023年大会では初めて1次ラウンドを突破した。プールBでは3勝1敗で2位となり、韓国に8―7、中国に12―2で勝利。一方、大会連覇を果たした日本には1―7で敗れた。その後、チェコを8―3で下すと、初の準々決勝進出を達成し、同時に2026年大会への出場権も獲得した。準々決勝ではキューバに4―3で惜敗し、最終順位は7位となった。

チームを率いるデーブ・ニルソン監督(オーストラリア人として初のMLBオールスター選手)は、12月のウインターミーティングでMLB.comに対しこう語った。

「2023年大会は、チームとして一丸となって戦えば、世界の舞台でも十分に通用するということを、選手たちに強く実感させた大会だったと思う。キューバ戦はあと1点で勝てた試合だった。つまり、準決勝で米国代表と対戦するまであと1点だった。しっかり準備し、正しいプロセスを踏めば、我々の基礎的な戦力は世界でも十分に通用する。その手応えを得た大会だった」

2026年の大会日程

オーストラリア代表は、前回大会に続き、2026年WBCでも東京ドームでのグループステージから戦いをスタートする。今回は日本、韓国、チェコ、台湾と同じプールCに入り、上位2チームがノックアウトステージへ進出する。オーストラリアは台湾戦で開幕し、チェコ、日本、韓国と対戦する。

過去大会での最高成績

これまでのWBC通算5勝のうち、3試合で大会規定の10点差コールド(マーシールール)による大勝を収めている。

2009年大会ではメキシコを17―7、2017年大会では中国に11―0でそれぞれ八回コールドで、さらに2023年大会では12―2の七回コールドで勝利を挙げた。メキシコ戦では22安打17得点の猛攻を見せ、7人の選手がマルチ安打を記録。4人が3打点を挙げるなど打線が爆発した。右翼手クリス・スネリングは5打数3安打、2本塁打、3打点、1四球と大活躍だった。

2017年の中国戦では、8回に二塁手ジェームズ・ベレスフォードが放った満塁本塁打が10点差到達の決定打に。2023年大会では一塁手リクソン・ウィングローブが4打点を挙げ、チームをけん引した。

オーストラリア野球史に残るビッグゲーム

2023年WBCでチェコを下し、初の準々決勝進出を決めた試合に加え、オーストラリア代表にとってもう一つ忘れられない大一番がある。2019年に行われたWBSCプレミア12での米国戦だ。

この大会のスーパーラウンドで、オーストラリアは5試合中1勝にとどまったものの、その1勝が大きな意味を持つ白星となった。相手は米国。2―1で競り勝ったこの試合では、外野手アーロン・ホワイトフィールドの2点適時打が決勝打となった。

先発のティム・アザートンは5回1/3を無失点に抑える好投。クロネンワース、アンドリュー・ボーン、アレック・ボーム、ジョー・アデル、ボビー・ダルベック、ドリュー・ウォーターズといった、後にMLBで活躍する選手を擁した米国代表を相手に、価値ある勝利を挙げた。

注目のMLB選手

今大会に出場するMLB選手はフリーエージェントの救援右腕リアム・ヘンドリックスと、ホワイトソックスの内野手カーティス・ミードの2人。

西オーストラリア州パース出身のヘンドリックスは、トミー・ジョン手術とがん治療の影響で2024年シーズンを全休、2023年も大半を欠場したが、2025年にレッドソックスで14試合に登板し復帰を果たした。

36歳のヘンドリックスは通算3度のオールスター選出を誇り、2019年から2022年にかけてはfWAR9.5を記録し、同期間のMLB救援投手でトップに立つ圧倒的な活躍を見せた。この4年間で挙げた114セーブはリーグ3位、防御率2.20は同4位にランクされている。WBCへの出場は、20歳だった2009年大会以来となる。

オーストラリア代表のデーブ・ニルソン監督はヘンドリックスについて、「がんを患っていることを公表する前、真っ先に私に連絡をくれたのがリアムだった」と明かし、「前回のWBCも本当に楽しみにしていて、『これから発表するから一応知らせておく』とメッセージをくれた。今も出場に向けて準備を進めていて、本人はとても前向きだ」と語っている。

一方、南オーストラリア州アデレード出身のミードは、過去3シーズンでMLB通算152試合に出場。主にレイズでプレーし、2025年のトレード期限でホワイトソックスへ移籍した。25歳のミードは一塁、二塁、三塁を守れる内野手で、オーストラリアン・ベースボールリーグでは地元チームで4シーズンを戦った経験もある。

ニルソン監督はミードについても、「カーティスは本当に楽しみにしている。前回大会も出場を望んでいて、家族のチケットまで手配していたが、当時所属していたレイズのメディカルスタッフが懸念を示し、出場が叶わなかった。だからこそ、今回の代表入りにはこれ以上ないほどワクワクしている」と語った。

注目の若手マイナー選手

ガーディアンズの球団内プロスペクト1位トラビス・バザーナについて、ニルソン監督は「オーストラリア代表としてプレーするチャンスを、今まさにこじ開けようとしている存在だ」と期待を寄せる。

23歳のバザーナは、10代の頃にオーストラリアンベースボールリーグ(ABL)で3シーズンを経験。その後、オレゴン州立大で輝かしい大学キャリアを築いた。2023年にはケープコッドリーグでMVPを受賞し、2024年にはPac-12の年間最優秀選手に選出。オレゴン州立大では、シーズン本塁打、通算得点、安打、二塁打、盗塁、四球など、数々の球団記録を塗り替えた。

2024年ドラフトでは全体1位でガーディアンズから指名を受け、契約金は球団史上最高額となる895万ドル(約14億円)。同年はA+級で27試合に出場し、翌2025年には負傷に苦しみながらもトリプルAまで到達した。順調にいけば、今シーズン中のメジャー昇格も十分に視野に入っている。

今大会の注目ポイント

2026年のWBCは、オーストラリア代表にとって「世代交代」を象徴する大会となりそうだ。

MLB通算490試合に登板しているリアム・ヘンドリックスは、この10年近くにわたり、米国におけるオーストラリア野球の“顔”とも言える存在だった。デーブ・ニルソンやグラント・バルフォアらと並び、同国出身選手の中でも屈指のキャリアを誇る。36歳となった今大会が、WBC最後の舞台になる可能性もある。

一方で、将来を担う存在がトラビス・バザーナだ。オーストラリア出身選手として初めてドラフト1巡目指名を受けた内野手は、今大会を通じて世界の野球ファンに自身の名を知らしめ、シーズンを勢いよくスタートさせるきっかけをつかむ場となるかもしれない。

今大会の課題

オーストラリアにとって最大の関門は、再びグループステージ突破を果たせるかどうかだ。プールCには、ニルソン監督が「世界最高のチーム」と評する大谷翔平率いる侍ジャパンが名を連ねる。さらに韓国も、李政厚金慧成(キム・ヘソン)といったMLB選手が出場予定だ。

課題として残るのは投手力だ。2023年大会でのチーム防御率は4.93とやや苦しんだ。エース候補と目されるジャック・オローリンも、マイナー通算7シーズンで防御率4.33を記録しており、アジアの強豪国を相手に十分な投手陣を構築できるかが、勝ち上がりの鍵を握る。