勝率6割のブルワーズ、快進撃の秘密は

August 4th, 2025

開幕序盤の苦しい戦いから一点、ブルワーズは両リーグ通じて唯一、勝率6割を超え、ナ・リーグ中地区のカブスに2ゲーム差をつけて首位に立つ。

ここ数日間、主力の若手選手が相次いでケガで離脱する厳しい状況下ながら、ナショナルズをスイープするなど、チーム力は衰えていない。その中でも目を引くのがチャンスをもらった若手選手の活躍だ。3Aから昇格した選手たち、これまでほとんどメジャーの経験がない選手たちが、次々と頭角を現し、勝利に貢献している。

ナショナルズとの最終戦で先発した23歳のローガン・ヘンダーソンもその一人だ。左脛打撲で負傷者リスト入りしたジェイコブ・ミジオロウスキーに代わって、ヘンダーソンが先発の知らせを受けたのは前夜の試合前ミーティング中だった。

「投げます、すぐに行きます!」と二つ返事で答えたが、試合地のワシントンDCへの便はもう終わっていた。そのため、試合観戦に来ていた両親の運転でペンシルバニア州スクラトンから4時間かけてワシントンDCに辿り着き、デーゲームに備えたと話す。

直前の交代劇にも関わらず、ヘンダーソンは先発として4回1/3を投げ、3安打、1失点の好投でしっかりと役割を果たした。

パット・マーフィ監督は「誰かがケガをしても、次の誰かが穴を埋めてくれている。もちろん皆、チャンスに飢えているからだが、ここまで全員がそのチャンスをモノにしってくれるとは思わなかった」と驚いた様子だ。

若手の中にはメジャー昇格後に良いところを見せようと頑張りすぎたり、空回りしたりする選手もいるが、ブルワーズの選手たちは地に足をつけて、自分の役割をこなしている。

監督に操縦法を問うと、「正直、勘だよ。若手選手に(何を)言うべきか言わないべきかも分からない。選手自身が自分の立場を理解し、どうチームに貢献するかを考えられている。それがすべてだ」とニヤリと笑う。

監督が煙に巻いた質問を答えてくれたのは、先発右腕のブランドン・ウッドラフだ。

「フロントがすごくいい仕事をしてくれている。才能だけじゃなく、人間として『いい人』を集めてくれている」と話し、快進撃の秘訣は「人間力のあるメンバーがいるから」と教えてくれた。

ベテランも若手も関係なく、互いに尊重し合い、笑い合い、刺激し合う。

「腐ったリンゴ(Bad Apples)や、やる気のない奴は一人もいないよ。本当に楽しいグループだし、みんなでいい野球ができている。今の成功の大きな要因は、同じ目標を持った『いい人たち』が同じ部屋にいることだと思う」

先発勢は23歳のミジオロウスキー、ナショナルズ戦で投げた23歳のヘンダーソン、24歳のプリースターと若手投手も多いが、大舞台でも物怖じせずに投げられるのは、ベテラン投手たちのサポートも大きい。

「若手には自分自身の経験を伝えるようにしている。自分が昔、通った道を若手が今、歩んでいるなら、助言したり、自分がやってきたことを教えたりするようにしている。たとえばミシオロウスキーみたいな選手には、『速いボールを投げられるし、すごくいい投手なんだから、自信を持って打者に向かっていけ』みたいなことかな」

目標はもちろん3年連続の地区リーグ優勝、そしてプレーオフで勝ち進むことだ。

「野手たちは一生懸命プレーしているし、投手は互いに学ぼうとしている。うまくなりたいという向上心がとてもある選手ばかりだ。これは勝つためのいいレシピだよ。本当にいいチームだと思う」 

ナ・リーグ優勝、そしてワールドシリーズという悲願のタイトル獲得に向けて、ベテランと若手が一丸で戦っていく。