今年も多くの新人が試合や特定の期間で印象的なプレーを見せたが、その中でリーグ最高の選手として新人王の栄冠を手にするのは2人だけだ。昨年は、ヤンキースの右腕ルイス・ヒルとパイレーツの右腕ポール・スキーンズの2人がその座を射止めた。今年は誰がその後を追うのか。
10日東部時間午後7時(日本時間11日午前9時)からMLBネットワークで発表される新人王に先立ち、2025年の各リーグ新人王最終候補を紹介する。
アメリカン・リーグ
ロマン・アンソニー(レッドソックス/外野手)
わずか303打席で新人王最終候補に名を連ねた事実は、その短期間での圧倒的なインパクトを物語っている。より少ない打席での受賞例は1959年にさかのぼり、ジャイアンツのウィリー・マッコビーがナ・リーグで219打席、OPS1.085という驚異的成績を残していた。
実際、アンソニーのbWAR3.1は、マッコビーの1959年シーズンと同じ。今季アンソニーが先発出場した66試合でレッドソックスは40勝26敗、彼が出場しなかった試合では49勝47敗とチームの成績に明確な差が出ていた。6月9日にメジャー昇格を果たし、9月2日に左脇腹を痛めてシーズンを終えるまでの約3カ月間は、間違いなくボストンで最も優れた野手の一人だった。打率.292、出塁率.396、長打率.463の活躍で、ラファエル・デバースが6月15日にジャイアンツへトレードされた後もチームをプレーオフへ導いた。
アレックス・コーラ監督は左投手相手の試合では主力左打者を休ませることが多かったが、アンソニーは左投手にも強く、98打席で打率.278、4本塁打を記録。右投手相手にはOPS .903とエリート級の成績を残した。経験を積み体力を増やせば、球界屈指の打者に成長するだろう。守備でも外野でも堅実な動きを見せている。最大の武器はその選球眼で、出塁率.396は250打数以上の新人の中でトップだった。(記者:Ian Browne)
ニック・カーツ(アスレチックス/一塁手)
MLB史上でも屈指のルーキーイヤーを過ごし、MVP投票でも票を集める可能性がある。ドラフトからわずか283日後の4月23日にデビューすると、36本塁打、86打点、64長打、90得点、長打率.619、OPS1.002と、主要6部門で新人トップに立った。1901年以降、最低400打席にたった新人で、OPS1.000を超えたのはカーツで8人目であり、2017年のアーロン・ジャッジ以来の快挙である。
マイナーリーグではわずか32試合の出場だったが、メジャーの舞台に慣れるのに時間はかからなかった。
「彼のプレーを見るのは本当に特別だった」と、チームメイトのブレント・ルーカーは語った。
「世代を代表する打者が、キャリアを始める瞬間を見ているようだった。打撃へのアプローチも感覚も非常に成熟しているうえに、パワーとバットスピードという生まれ持った力強さも兼ね備えている」
7月25日、22歳のカーツは敵地ダイキンパークでのアストロズ戦で、6打数6安打4本塁打の大爆発を見せ、MLB史上初の新人による1試合4本塁打を達成。全体でも20人目の快挙となった。(記者:Martín Gallegos)
ジェイコブ・ウィルソン(アスレチックス/遊撃手)
ウィルソンはシーズン序盤から新人王の最有力候補と見なされ、アーロン・ジャッジとア・リーグの首位打者争いを演じた。また、史上初めて、ファン投票で選ばれた新人ショートとしてオールスターに先発出場した。
レギュラーシーズン最終週までジャッジと首位打者争いを繰り広げ、最終的に打率.311でア・リーグ全体2位タイに入った。7月8日に右前腕を骨折し、その後9試合でわずか4安打(打率.105)と苦しみながら出場を続けていたが、1週間後に負傷者リスト入りした。もしこのケガがなければ、打率はさらに上がっていただろう。
ウィルソンはメジャーの新人の中で打率と安打数(151本)でトップに立った。三振はわずか39回で、1三振あたり13.41打席という数字はア・リーグ全打者中でもベストだった。もし他の年に新人だったなら、彼が文句なしの受賞者になっていたかもしれない。
新人王が誰になるかという点だけでなく、3人の順位にも注目だ。もしウィルソンとカーツが1位・2位を占めれば、同一球団からの新人王ワンツーフィニッシュは史上9度目、ア・リーグでは1984年のマリナーズ(アルヴィン・デイビスとマーク・ラングストン)以来となる。(記者:Martín Gallegos)
ナショナル・リーグ
ドレイク・ボールドウィン(ブレーブス/捕手)
ボールドウィンが新人王候補に名を連ねたのは、シーズンを通して要のポジションで安定した働きを見せたためだ。fWAR(3.1)でナ・リーグの新人トップに立ち、その価値は打撃技術の高さだけではないことを証明した。打率.274(新人2位)、19本塁打、OPS .810、wRC+125(100試合以上出場の新人では1位)という優れた成績を残した。
開幕戦でメジャーデビューを果たすと、すぐにマイナー再降格の懸念を払拭した。守備面に対する不安も、投手陣からの称賛で一掃された。24歳の捕手はリーグ最多の88盗塁を許したものの、ブロッキング能力はトップクラスで、リード面でも高い評価を得ている。
メジャーの舞台に立った1カ月後、ボールドウィンのバットに火がついた。4月はOPS .731だったが、5月には1.003まで上昇。さらにシーズン終盤3カ月間もすべてOPS .800超えを維持した。対照的に、同じく最終候補のケイレブ・ダービンは、今季1度もOPS .800を記録した月がなかった。もう1人の候補ケイド・ホートンは、オールスター前までに11登板(10先発)で防御率4.45だった。(記者:Mark Bowman)
ケイレブ・ダービン(ブルワーズ/内野手)
身長170センチのダービンは、木製バットを使う学生リーグの「ノースウッズリーグ」でプレーしていた頃からブルワーズのパット・マーフィー監督の目に留まっていた。マーフィーの長男カイも同時期に同リーグでプレーしており、ダービンの体格や闘志が、アリゾナ州立大学時代にマーフィーが好んでいたダスティン・ペドロイアを思い出させたのかもしれない。いずれにせよ、昨冬のデビン・ウィリアムズとのトレードでベテラン左腕ネスター・コルテスと共にダービンが加入したとき、マーフィーは大いに喜んだという。
開幕ロースターには入らなかったものの、4月末にはメジャー昇格を果たし、打率.256、出塁率.334、長打率.387、11本塁打、53打点と安定したプレーを見せた。盗塁(18・1位)、得点(60・2位)、安打(114・3位)、二塁打(25・3位)、本塁打(11・4位)、塁打(172・4位)、打点(53・4位タイ)、長打(36・5位)と、多くの部門でナ・リーグ新人上位に入り、24死球はリーグ最多で球団記録にあと1つと迫った。
ダービンの真価を象徴する打席は、5月25日のパイレーツ戦、2死2ストライクから5球連続ファウルの末に放った2点二塁打。この一打で、当時借金3だったブルワーズは今季初の複数点ビハインドからの逆転勝利を挙げた。それがチームの転換点となり、8連勝を経て球団新記録の97勝に到達する原動力となった。(記者:Adam McCalvy)
ケイド・ホートン(カブス/右投手)
カブスはホートンのメジャーデビューを2025年シーズン内に想定していたが、今永昇太の負傷者リスト入りを受けて、予定より早い5月に昇格させた。2022年ドラフト1巡目指名の右腕はこのチャンスを逃さず、以降ローテーションの一角を確保し、投球制限の中でも堂々とした活躍を見せた。
24歳のホートンは最終的に23登板(うち22先発)で11勝4敗、防御率2.67、118回で97三振・33四球という好成績を残した。肋骨の骨折でプレーオフ直前にシーズンを終えたものの、数字以上に印象的な内容だった。
6月27日のアストロズ戦では4回7失点と苦い結果に終わったが、ホートンは言い訳をせず、自らの課題を徹底的に見直すことを誓った。以降の登板では驚異的な成績を残し、カブスを2020年以来となるポストシーズン進出へ導いた。
その試合以降、ホートンは次の14先発で防御率1.36を記録し、そのうち12試合で1失点以下に抑えた。7月11日以降の防御率は1.03で、40投球回以上のメジャー先発投手の中でトップ。1913年に自責点が公式記録となって以降、カブス投手のシーズン後半戦の防御率としては、2015年のジェイク・アリエタ(0.75)に次ぐ歴代2位だ。(記者:Jordan Bastian)