クリス・バシット、シャーザー獲得の理由を熱弁

シャーザー獲得の経緯と2022年からの成長

November 1st, 2025

2022年の悔しさを今でもはっきりと覚えている。

1勝1敗で迎えたパドレスとのワイルドカード第3戦、メッツ先発でクリス・バシットは、4回3失点で降板。チームは0-6で敗北し、シーズンを終えた。

「あのあと、何度も『もう一度この舞台に戻りたい。もう一度チャンスをくれ』と祈ってきた。神様がそのチャンスをくれた」

バシットはこの3年間の思いをそう表現した。

ワールドシリーズの舞台でマウンドに立つ右腕にとって、メッツ時代に味わった痛恨の敗戦を「あの時は、正直、自分をうまくコントロールできなかった。メッツでのあのポストシーズンは後悔が多い。準備の仕方も、心の持ち方も甘かった。でも、それが一番の学びになった」と振り返る。

ポストシーズンでは先発からリリーフに役割を移し、短い間隔での登板にも順応。「もう先発の連中とビールを飲んで笑ってる余裕はない」と冗談を交えながらも、「ブルペンの電話が鳴った時、心が飛び跳ねたり、ブルペンの仲間たちの準備やメンタルを学ぶことで、自分の野球観が広がった」と話す。

「(このポストシーズンは)みんなが『自分たちの野球をやるだけ』という気持ちを持てている。プレッシャーを感じ過ぎず、やり過ぎないことが大事」と穏やかに語る。

バシットは、チームの結束力と、勝つための知恵を分かち合う文化を強調し、その中心にいるのが『マックス・シャーザー』と言う。「マックスがこのチームに来ると聞いたとき、僕はすぐに連絡した。正直、しつこいくらい電話した」とバシットは笑う。

それには明確な理由がある。

「マックスは何にでも疑問を持つ。なぜこの守備位置なのか、なぜこの球種なのか、なぜこういう練習をするのか。そうやってチーム全体を高めるタイプだ。多くの組織はそういう選手を面倒がるけど、僕らには彼が必要だった。ケガで投げられない時期もあったので(シャーザー獲得を)批判する人もいたけれど、マックスはチームに色々な貢献をしている」

シャーザーを誤解する人もいるかもしれない。そう思ったバシットは、「マックスは手のかかる存在かもしれないけど、必ずチームを良くする」とスタッフ全員に伝えたという。

三塁手のクレメントも「とにかく経験豊富で、その経験を僕たちに伝えてくれるし、シーズンを通してすごく助けになっている。自信を持つこと、そして大きな場面でも気負わないことを教えてくれた」と同意する。

シャーザーは技術面でも若手選手に多くを還元する。

「いつも試合をすごく注意深く見ている。隣で一緒に観察することでたくさん学べるし、試合を見れば見るほど勉強になるんだ」とクレメントは続けた。バシットがシャーザーに期待していたことが日々のダグアウトで行われている。

今季、ブルージェイズのクラブハウスには、経験と知恵を共有する空気が流れている。

バシット自身も、「マックス(シャーザー)、(ケビン)ゴーズマン、ジョージ(スプリンガー)らとも、どう準備すべきか、同じミスを繰り返さないためにどうしたらいいか、そんな会話をいつもしている」とベテラン選手から多くを学び、大舞台に備える。

「2022年の自分は『勝つ準備』ができていなかった。でも今は違う。失敗から学び、神様がくれたチャンスに感謝し、この瞬間を楽しみたい」