先発投手は、登板間をどのように過ごしているのだろうか。
中4日、あるいは中5日で、次の登板に向けて身体と感覚を整えるこの期間は、シーズンを通してパフォーマンスを維持するために極めて重要な時間でもある。ウエートトレーニングやブルペン投球、コンディショニングに加え、映像分析や調整の時間も含め、その過ごし方は投手ごとに大きく異なる。
ルーティンを持ち、それをシーズンを通してほぼ崩さない投手もいれば、その日の疲労度や登板内容、さらにはチーム事情に応じて柔軟にメニューを変える投手もいる。同じ先発投手でも、アプローチはそれぞれだ。
今季メジャー12年目を迎えるクリス・バシット(オリオールズ)に、登板間の過ごし方とトレーニングの考え方について話を聞いた。
ーーローテーション間のルーティンを教えてください
1日目:下半身トレーニング
2日目:上半身トレーニング+ブルペン
3日目:ほぼ何もしない
4日目:全身トレーニング
5日目:登板
ーー登板日の2日前にブルペンに入る投手が多いですが、バシット選手は3日前なのですね
登板翌日を休みにして、2日目に下半身、3日目に上半身とブルペンという流れの選手もいると思う。自分は2日目にブルペンを入れるのが好きなんだ。その方が少し体が重い状態でメカニクスを意識できるし、登板までに2日しっかり休めるので回復もしやすいと思う。
ーールーティンは状況によって変わりますか?
もちろん。例えば球数が多い登板の後は、翌日(1日目)は完全休養にするし、2日目や3日目も軽めにして、ブルペンも強度を落とすよ。
ーー柔軟に対応することが大事なのですね
そうだね。ただ、多くの選手はルーティンに縛られすぎる傾向があると思っている。“これをやらないといけない”と考えてしまうんだ。自分はトレーナーに正直に体の状態を伝えて、それに合わせてメニューを変えている。
ーー長いシーズンを乗り切る上で、柔軟な考え方に変わったきっかけは
一番は2016年のトミー・ジョン手術だね。それまでは“とにかく全力でやる”タイプだったけれど、そこから考え方が変わった。今は“賢くやる”ことを重視している。ハードにやることとスマートにやることは別物だからね。
シーズンはマラソンみたいなものだけど、多くの投手は最初からスプリント(短距離走)してしまう。その結果、途中でバテたりケガをしたりする。だからペースを守ることが大事だと思う。
ーートレーニング内容は
スクワット、デッドリフト、ランジ、スタビリティ(安定性)トレーニングなどだね。ただ、常に最大重量でやるわけではない。
例えばスクワットなら400ポンド(約181kg)の日もあれば、200ポンド(約91kg)の日もあるし、バンドトレーニングだけの日もある。
ーーこれまで多くのベテランやサイ・ヤング賞投手とチームメートでしたが、影響を受けたことは
たくさんあるけれど、長く健康でプレーするための準備の大切さを学んだのが大きいかな。年齢を重ねるほど、やるべきことも増えていくからね。