ヤンキースタジアムでの4連戦。ブルージェイズの岡本和真(29)は16打数1安打、9三振だった。第4戦の終了時点で15打席連続ノーヒットが続いている。
「僕のバット、穴が開いてます」
岡本は、21日(日本時間22日)の第4戦前、練習開始前のクラブハウスで自虐した。そう言い残し、打者ミーティングに向かった。どういう意味で「バットに穴」という表現をしたのか、定かではないが、確かめようもない。とにかく、打てない現状をユーモアを交えて言葉にしたかったのだろう。大きい穴が開いているから、本来バットに当たるはずでも、ボールが穴を通り抜けて空振りになってしまう。きっと、そういう意味だ。
約20分後。再び、ロッカーの前に戻った岡本にマジメに質問したいと思い、近づいた。フィールドに出る前、どんな準備をしているのか? どんなトレーニングメニューを日課にしているのか? そんな質問を考えながら、近寄ると…。
「僕、山田さんが取材に来ると三振ばっかりしていません? 前、いつ(取材)来ました?」
ヤバイ。疲れた雰囲気の野球記者(私)が負のエネルギーを与えてしまったのだろうか。いや、違う。そもそも、スター選手に影響を与えるような力は、私にはない。そして一応、エネルギッシュに働いているつもりだ。
ちなみに前回、岡本の取材機会は4月3〜5日、シカゴでのホワイトソックス戦。3試合で10打数1安打……6三振している。マズイ。
「だって、エンゼルス戦いました? ミネソタも来なかったですよね?」
5月8〜10日のエンゼルス戦(トロント)では3試合連続安打、同1日からのツインズ戦では3試合で4本塁打と大活躍。そして、10試合連続安打をマークしていた。
「そう、きてない、きてない」
背後から、大嶋通訳と加藤豪将さん(ベースボールオペレーション部門アシスタント)も岡本に加勢した。
気まずい。いわゆる疫病神扱いされてしまっている。ここは、願いを込めてプラスの言葉をかけよう。
「岡本さん、今夜ホームラン打ちますよ、2本」
岡本はニヤリと笑って、右拳を出し、グータッチを私に求めた。その夜の結果は、4打数無安打、2三振。私は記者席で切に岡本の打棒爆発を願ったが、なかなかうまくいかない。一(いち)記者の願いが簡単に通じるほど勝負の世界は甘くない。
試合後は、前の3連戦で取材対応がなかったため、日本メディアのめにクラブハウス外に出てきてくれた。
「様々なことがあると思いますけども、打てる時や打てない時は絶対あるんで、それでまた自分が打てるように練習したり、準備していくだけかなと思います」
淡々と次戦へ気持ちを向けた。メジャー1年目はここまで全50試合中、48試合に出場。打率.218、10本塁打、27打点、出塁率.302、OPS.715の成績を残している。守備指標OAA(平均的な選手と比べ、どれだけアウトを取ったか)は「+2」。第4戦、2−0の六回2死一、二塁では三塁線の打球をファインプレーで失点を防いだ。
そもそも、負傷することなく三塁のレギュラーとして出場し続けるだけでもルーキーとしては価値が高いはず。対戦する投手のほとんどが初見。何より、慣れや順応を少しずつ進めている時期だ。
「僕は打ててないですけどね、チームは勝ってるんでそれが一番。また明日も勝てるように頑張りたいなと思います」
次に岡本を取材する機会は未定。次回こそ、本塁打やヒットの活躍を取材できますように。
