どんな職場でも、オフィスでも工場でも小売店でも、同じ昇進を目指す同僚がいれば話はややこしくなる。最終的な決定の後、がっかりする人間が出るのは避けられない。
それはメジャーのクラブハウスでも同じだ。
パドレスが新監督にクレイグ・スタメンを招聘したということは、高い評価を受ける投手コーチのルーベン・ニーブラが最終面接まで進みながら職を得られなかったことを意味する。同時にかつて自分が指導していた投手の一人だったスタメンに、今後はニーブラが報告する立場になるということでもある。
「ルーベンには大きな敬意を抱いている」とスタメンは本拠ペトコ・パークで行われた監督就任会見で語った。
「彼の下でプレーする機会に恵まれて、彼がどう選手を指導し、力を引き出すのかを目の当たりにしてきた。直近の数年はフロントの特別補佐として、舞台裏で彼がどうやってパドレスの選手全員の能力を最大限に引き出しているのか、そのプロセスも見てきた。
正直、彼は私が最も頼りにする存在になる。経験という点では、彼がこの競技全体でも最高のコーチの一人だと思っている。投手コーチに限らず、コーチ全体の中で、だ。だから彼には多くを任せるつもりだ。私からも多くを任せる。
ルーベンと一緒に仕事ができるのが楽しみだ。私が選手だった頃に始まった関係を今度は監督と投手コーチとして手を携えて延長していくことになる。とても楽しみだし、きっと素晴らしいものになる」
スタメンとニーブラ・コーチには、今後の関係を再定義していく上で有利な点がいくつかある。
まず、2人はいずれも前向きな性格でクラブハウスでも人当たりがよく、信頼を得るのが早い。次に、両者にはこれまでに築かれた関係がある。
2人が初めて出会ったのは2016年。スタメンがクリーブランド傘下でプレーしていたシーズンでニーブラはマイナー投手部門のコーディネーターを務めていた。再び同じ組織で顔を合わせたのは2022年、ニーブラがパドレスの投手コーチに就任し、スタメンがブルペンの中心として定着していたときだった。
契約を2年残すニーブラは、10日の就任会見にも姿を見せ、いつもの笑顔を浮かべていた。監督職に就けなかった悔しさをすでに切り替えている様子をうかがわせた。
会見後、ニーブラは取材要請を丁寧に断った。
「きょうはクレイグの日だ」とニーブラは語った。
ニーブラが投手コーチを務めた過去4シーズンで、パドレスはMLBで防御率3.76が8位、被打率.233が5位、奪三振5774が6位となっている。
パドレスのA.J.プレラーGMは、ニーブラや他の有力候補に結果を伝えるのが自分の仕事で最も難しいことだと語った。採用決定以降、プレラーGM、スタメン、ニーブラは、ニーブラの知識とスキルを最大限に生かす方法について長時間の議論を重ねており、投手コーチ従来の役割の他にいくつかの業務を追加する可能性も検討している。
「面接を通じて、彼は本当に印象的だった」とプレラーGMはニーブラの監督面接について語った。
「結局、私たちは互いを大いに尊重している。ここ数日、ルーベンとクレイグと15時間ずつ費やし、どうすればチームとコーチングスタッフとして良くなれるかを話し合ってきた。彼はそこで大きな発言権を持つことになる」
