野球少年だった頃にテレビ観戦した、オールスターの記憶はおぼろげだ。
「最初に見たオールスターはどの試合だったかな。うーん」としばらく首を捻り、「(ヨエニス)セスペデスのホームランダービーやトラウトがMVPを取ってトラックをもらったのは覚えている」と笑う。
メジャー3年目でオールスター出場を獲得するなど、とんとん拍子にメジャーのスター街道を歩いているように見えるが、ここまで道のりは平坦ではなかった。
高校時代から注目され、将来を嘱望されて2020年にドラフトでメッツに入団。しかしケガが多く、思うような結果が出なかった。「チャンスがなかったわけじゃないけど、ケガで想定と違う道になってしまった」と振り返る。
運命を変えたのは2021年のカブスへのトレードだった。
「(トレードで)がっかりはしなかったよ。リハビリ中で何かいいことが起きないかなと思っていたので、環境が変わったことはとても大きかった。メッツ時代に自分を指名してくれた(スカウトの)バナーさんが、まだプロでほとんど結果を出せていない自分を信じてくれて、トレードを推してくれた。あれは一生忘れない」。
2023年9月にメジャー昇格をし、昨季は4月下旬からレギュラーに定着し、123試合に出場した。しかし6月中旬から1カ月以上、打撃不振に陥るなど、メジャーの洗礼も経験している。
「去年の長い不調が一番の学びだった。結果が出なくてもチームメイトとしてどういるかを考えた。苦しい時に自分がどうなるかを知れたし、人としても成長できた」と、長いシーズンを戦うメンタル面の成長も今季の活躍の要因のひとつになっている。
練習をやりすぎる傾向があったため、オフは打撃練習の開始時期を遅らせ、軽めの練習で調整をしたり、打撃フォームをシンプルにして、今季に臨んだ。その効果はすぐに表れ、打率.271、25本塁打、OPSは.869と高い数字をマークしている。「びっくりするくらい再現性が高くなった。毎年フォームを変えてきたけれど、今年は同じ動きを繰り返せている。今季は長い期間、結果を残せている。それが一番自信になる」と胸を張る。
大きく成長した23歳は来週、夢の舞台に立つ。
「オールスターではベテラン選手たちの話を聞いたり、立ち居振る舞いを学びたいと思っている。積極的に話しかけるというより、じっくり後ろから観察したいな。そういう時間がすごく貴重だと思ってるし、若い自分にとって学びになるからね。そして思い切り楽しみたい」