【独自】「日本は心のふるさと」チェコ代表ハジム監督が語る感謝と絆

3:46 AM UTC

2023年のワールドベースボールクラシック(WBC)で一躍注目を浴びたチェコ代表。その指揮官、パベル・ハジム監督が、日本野球への思いと大会後に起きた変化を語った。

「私にとって日本は“心のふるさと”です」

日本に初めて訪れたのは約10年前。名古屋で中日ドラゴンズや大学チームを訪問し、学校現場で約2週間にわたりコーチングや育成プログラムに参加した。

「日本の“野球への情熱”や“改善(カイゼン)”の精神を学びました。成功のために毎日努力を積み重ねる。その姿勢は本当に印象的でした」

その経験はチェコ野球界にも影響を与えた。

「われわれも10年ほど前から、その考え方を少しずつ取り入れています」と日本文化への敬意をにじませる。

2度目の来日は、愛息が15歳だったとき。福島で開催されたU-15ワールドカップに帯同した。

「あの大会も忘れられません。日本は常に、私の心の中にある特別な国です」

そして迎えた2023年大会。東京ドームでの日本戦は、チェコ野球の歴史に刻まれる一戦となり、それ以降、ハジム監督はチェコ代表や欧州代表の活動を通じ、すでに5度も日本を訪れている。

「日本との対戦は、私たちにとって大きな誇りです。あの舞台が、チェコ野球の未来を広げてくれたと思っています」

日本戦はチェコ時間で早朝の開始だったにもかかわらず、野球少年たちは早起きし、テレビやパソコン、携帯電話で観戦した。通学バスや地下鉄の中でも画面にかじりつき、試合終了間際まで見届けたため遅刻しそうになり、親に車で送ってもらった子もいた。

「今まで野球に興味がなかった友達やクラスメートが、WBCをきっかけに関心を持ってくれた」とチェコの野球少年たちはうれしそうに話す。

フルタイムで働く選手たちの日本戦での善戦は、チェコ国内でも大きな話題になり、想像以上の広がりを見せ、大会後、国内クラブには小学生、とりわけ10歳以下の入団希望者が急増。ファン層も着実に拡大している。

「サッカーやアイスホッケーほどではありませんが、確実に前進しています」とハジム監督は手応えを口にする。

人気の理由は様々だが、プラハで10歳の息子を野球チームに入れた保護者は、野球を選んだ理由として、『平等性』を挙げる。

「サッカーやホッケーでは、上手な子だけが長くプレーすることもある。しかし野球は全員に役割があり、必ず出番がある。だからどの子どもも楽しめるし、親も納得できるのだと思います」とハジム監督は同意しつつ、こう続ける。

「一歩ずつ着実に進まなければいけません。急激に人気が上がると、そこから一気に落ちる可能性もある」と浮かれることはない。

チェコは、前回大会の勢いをそのままに、2023年のヨーロッパ選手権で同史上初の銅メダルを獲得すると、昨年の同大会でも再び3位に入賞し、一歩ずつ前進している。

目標は世界トップ12の野球国になることだ。

「今は15位前後。あと3段階、成長したい」と指揮官は前を見据える。

再び東京で迎えるWBCは、チェコにとっては大きな飛躍の舞台となる。

「この3年間を無駄にしていないことを証明したい。日本の皆さん、WBC関係者、支えてくれたすべての方々に心から感謝しています」

 “心のふるさと”と呼ぶ国で、日本との絆と感謝を胸に、そしてチェコ野球の威信をかけて選手たちはフィールドに立つ。