<チェコ0−9日本>東京ドーム、3月10日
試合終了の瞬間、チェコの選手たちがゆっくりとマウンドへ向かっていく。ベンチでオンジェイ・サトリアはしばらく動かなかった。チェコ代表としての最後の試合。その余韻に、もう少しだけ浸っていたかった。
ワールドベースボールクラシック(WBC)1次ラウンド最終戦。東京ドームのマウンドに立ったサトリアは、鋭い視線を表情で打者に向けた。これが、チェコ代表としての最後の登板になる。
29歳の右腕は、最速130キロの直球に、110キロ台のカーブ。そして、落差の大きいチェンジアップ。丁寧にコースを突き、緩急を使った投球で打者のタイミングを外す。そんな“チェコ流”の投球で、日本が誇る打線を翻弄した。
初回、佐藤輝明に二塁打を浴びるも、村上宗隆を中飛、吉田正尚を右飛に打ち取り無失点。二回には岡本和真、周東佑京をチェンジアップで空振り三振。三回もチェンジアップを軸に三振を奪うなど、侍打線に的を絞らせず、スコアボードにゼロを並べた。
四回には、吉田の内野安打、岡本のフェンス直撃二塁打で1死二、三塁。クリーンアップを迎え、最大のピンチを迎えたが、小園海斗を投ゴロ、周東を二ゴロに打ち取ると、右腕はガッツポーズで雄たけびを上げた。五回、森下翔太を左邪飛に打ち取ったところで投球制限により降板。
4回2/3、6安打3三振、無失点。
ベンチ前で迎えたチェコのハジム監督、東京ドームの観客も温かい拍手で右腕の最後の登板を称えた。
サトリアは前回2023年大会でも、日本戦で大谷翔平から三振を奪い注目を集め、チェコでも一躍時の人になり、チェコでの野球人気の高まりを象徴する存在にもなった。
この日の大谷はベンチスタートで再戦は叶わず。
勝利でラストを飾ることはできなかったが、チェコ野球に大きな貢献をし、チェコ野球の未来を拓き、右腕はマウンドを後にした。