ポストシーズンは、「負けたら終わり」の世界だ。
そんな極限の舞台に臨むドジャースの左腕、アンソニー・バンダが、その過酷さとプレッシャー、そして求められる覚悟について語った。
「162試合のレギュラーシーズンを戦い抜いた後、10月のプレーオフに突入すると、すべての感覚が変わる。体の痛みも、精神的な疲労も全部どうでもよくなる。スイッチが入ると言う人もいるけれど、『極限状態での戦闘モード』に入る感じだ」
ポストシーズンはすべてが様変わりする。ピリピリと張り詰め、「絶対に落とせない」「一戦必勝」という空気に一変する。
「試合が終わったと思ったら、次の試合が目の前に立ちはだかる。いや、襲いかかってくるという感じかな。その繰り返しだ。気持ちを整理する暇もないし、立ち止まる余裕なんてないし、立ち止まったら終わり。とにかく前に進むしかないんだ」
レギュラーシーズン中は、コンディションを整え直したり、フォームを見直す余裕もあるが、10月にはそんな猶予はない。
バンダは中継ぎというポジション上、突発的に、もしくはピンチの場面でマウンドに立たされることも多い。その精神的なプレッシャーは、われわれの想像を超越する。
「失敗への恐怖が常につきまとうプレッシャーは、選手しか理解できない。24時間ずっと野球のことを考え続ける自分がいる。家族と話しても、ほかのことをしていてもこの1カ月は野球にがんじがらめにされる」
昨季はポストシーズンで10試合に登板し、8イニングを投げ、6安打6四球11三振、無失点(自責点0)で防御率0.00の圧倒的な数字でワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。リリーフ投手が先発するブルペンデーでは、二回から登板するなど、八面六臂の活躍をした。
負けられないプレッシャー。試合はもちろん、移動、天候の変化によって蓄積される疲労。プレーオフは心身ともに極限まで追い込まれる。
「それでも、やるべきことをやるしかないんだ」
ここからの1カ月を想像したのだろうか。左腕は少し顔を歪めた。
「10月にプレーできること自体が特別なこと。リーグ全体で12チームしか立てない舞台に、自分がいることの重みを理解している」
極限の状態で、いかに自分の役割を全うし、すべてを出し切るか。それがポストシーズンを戦う者すべてに課せられた使命だ。
「全員が『この瞬間』に全力を注ぐ。一切の言い訳は許されないんだ」
ドジャースのワイルドカードシリーズは30日(日本時間10月1日)に第1戦を迎える。