ロサンゼルス・ドジャースは、テオスカー・ヘルナンデスが5月中旬に負傷者リスト(IL)から復帰したことで、野手陣の戦力が概ね揃った。しかし開幕時の先発ローテーションだったブレイク・スネル、タイラー・グラスノウ、佐々木朗希の3人はいずれも肩の故障で戦列を離れており、投手陣は依然として不安定な状況だ。
アンドリュー・フリードマン球団編成本部長は、選手の健康管理について以下のように言及している。
「昨年と比較すればそこまで深刻ではないが、すべてが短期的に収束する保証もない。手術を回避するために、今はやや慎重すぎるくらいの管理をしている側面もある。とはいえ医学的に分かっていないことは多く、『正解』を持つ球団など存在しないのが現実だ」
加えて、リリーフ陣ではブレイク・トライネン、エバン・フィリップス、カービー・イエーツといった中核戦力も離脱中で、開幕から継続する手術後のリハビリ組も多い。先発投手陣の稼働イニング数はリーグで下位(215 1/3回、マーリンズと同率)にとどまり、ブルペンの登板過多(リーグ最多200 2/3回)を招いている。
ドジャースは投手陣のケガの多さを深刻に受け止め、オフに投手の故障頻度増加を受けて医療・トレーニング体制を再チェックしてきた。
球団関係者によれば、「一律的なアプローチ」ではなく、選手個別の履歴や投球パターン、過去の役割(先発か中継ぎかなど)との整合性を重視する方向へシフトしている。特に役割変更における身体的適応期間の確保が重要とされている。
マーク・プライアー投手コーチも、「現代の登板環境は、ほぼすべての打者に全力で対峙する必要があり、それに伴う『定量化不能なストレス』が存在する」と管理の難しさを語る。
現在、スネル、グラスノウ、トライネンは投球再開の段階に入ったが、登板可能な状態に至るには全身的なビルドアップ(投球数、回復期間、メカニクスの安定)が必要で、実戦復帰は早くてもシーズン後半になる見通しである。
デーブ・ロバーツ監督も復帰時期に関しては慎重な構えを見せ、「復帰を急ぐより、ポストシーズンを見据えた確実な復調を優先すべき」と語った。
フリードマン編成本部長はチームの投手層について「『十分な投手層』という概念は定義できない。何人いても足りることはない。昨季のように、すべての投手が必要になる局面が必ず来る。今季も同様の展開になる可能性が高い」とまとめた。