まず一人、トップフリーエージェント(FA)投手が市場から去った。MLB.comでFAランキング7位、2025-26年クラスの最高投手とされる右腕先発ディラン・シースが、ブルージェイズと7年総額2億1000万ドル(約315億円)で合意したと、MLB.comのマーク・ファインサンド記者が伝えた。球団はまだ公式発表していない。ここでは、当サイトの専門家によるこの契約の分析を紹介する。
ブルージェイズがこの補強に踏み切った理由
ブルージェイズ担当記者キーガン・マセソンによると
12月末に30歳になるシースは、惜しくもワールドシリーズを逃したチームが、軸にできる先発投手として最適な存在だ。過去5シーズン連続で160イニング以上を投げた耐久力は、過去のケビン・ゴーズマン、ホセ・ベリオス、クリス・バシットの大型契約でブルージェイズが求めた条件と共通している。さらに、シースの高いポテンシャルと三振能力も魅力的だ。
過去5シーズンいずれも200三振以上を記録し、9イニングあたり平均11.3三振と安定した能力を披露してきた。昨季は平均97.1マイル(156.3キロ)の速球に加え、打者を翻弄するスライダーや多彩な変化球を駆使した。ベテラン先発をさらに成長させる指導力を持つブルージェイズのコーチ陣にとっても、理想的なプロジェクトと言えるだろう。
大型契約が球団戦略に与える影響とは
(シニア全国記者マーク・ファインサンド)
スコット・ボラス氏が代理人を務めるトップFA選手が11月に巨額契約を結ぶのは非常に稀だ。残る先発トップ4は、レンジャー・スアレス、マイケル・キング、フランバー・バルデス、そして今井達也。スアレスと今井はともにボラス所属であり、シース契約後の市場感覚を把握しているとみられる。予想では、スアレスが次の契約候補で、今井は1月2日のポスティング終了間際まで契約を待つ可能性がある。
ここ数週間、ブルージェイズがカイル・タッカーに関心を持っているとの報道もあり、タッカーとビシェットの両獲りの可能性も噂された。しかしシースに2億1000万ドル(約315億円)を投じた今、両者獲得は現実的ではない。ビシェットが依然、優先度1位であり、業界ではタッカーの契約額がビシェットを上回る見込みのため、シース契約はビシェットを優先したサインとも考えられる。
詳細分析
(アナリストのマイク・ペトリエロ氏)
シースが7年契約を結んだのはやや意外だが、新球団で高額契約を得るのは予想通りだ。防御率4.55のために低評価される可能性もあったが、今のMLB球団は防御率だけで投手の価値を判断していない。実際、今週もレッドソックスは防御率4.28のソニー・グレイを有望株と交換した。
ブルージェイズが評価したのは、三振数と投球イニングの多さだ。シースは5年連続で200イニング以上を投げ、先発登板数やイニング数でも上位に位置する。防御率が高かったのは、守備や序盤失点の影響もあり、シース自身の能力とは関係が薄い。2022年のホワイトソックス時代には防御率2.20を記録しており、長打回避能力の向上だけで成績は大きく改善している。
ブルージェイズは予想防御率3.46など、2026年にトップ12投手になる見込みを重視した。7年契約は長期に見えるが、ワールドシリーズ進出時の先発陣は平均的だった。バシットとマックス・シャーザーを失った今、即戦力確保は急務だった。
注目のスタッツ
(MLB.comリサーチスタッフ)
シースの2021年以降の三振総数は1106で、MLBトップ。過去5シーズンで三振1000以上はシース、ザック・ウィーラー(1041)、ゴーズマン(1020)のみ。5シーズン連続で32試合以上登板し、毎年214~227三振を記録している。投手の負傷が増加する中、耐久力と三振能力を兼ね備えるシースの価値は非常に高い。過去の安定性は将来の健康を保証するものではないが、契約額の大きな理由となっている。