【ドジャース9-5フィリーズ】フィラデルフィア/シチズンスバンクパーク 7月22日(日本時間23日)
今季5月中旬、ブルージェイズで防御率6点台と苦しみ、事実上の戦力外通告(DFA)となった左腕エリック・ラウアー。金銭トレードで先発陣の負傷が相次ぐドジャースへ移籍した時、胸にあったのは一つの思いだった。
「自分はまだメジャーで先発としてやれる」
その言葉を、ラウアーは新天地で証明している。
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移籍初登板となった5月26日(同27日)のロッキーズ戦で6回1失点で好投すると、そのまま先発ローテーションに定着。22日(同23日)の敵地フィリーズ戦でも5回1/3を3失点にまとめて今季5勝目を挙げた。ドジャース移籍後は8試合で5勝0敗、防御率3.12(40回1/3)。当初はブレイク・スネルやタイラー・グラスノーら主力が戻るまでの「穴埋め」と見られていた左腕は、今やローテーションに欠かせない存在となっている。
ブルージェイズでは0勝5敗だった一方、ドジャースでは無傷の5勝。かつてロバーツ監督に「僕が先発するとチームが勝つ」と冗談めかして話したと言う。
「移籍後、1カ月くらいのときに『僕が先発した試合は4勝0敗ですよ』って言ったんだ(笑)。でも、あれは『この良い流れを続けていこう』という意味の冗談だからね。打線も点を取ってくれるし、投手陣も守備も素晴らしい。チームとしていい野球ができている成果だと思う」
ちなみにラウアーが登板した試合は現在まで8勝と連勝記録を伸ばしている。
実際、ラウアーが先発のマウンドに上がる日は打線からの手厚い援護が続く。圧巻の投球を続けながらも打線の援護に恵まれないこともある山本由伸とは対照的だが、本人はそれすらもジョークのネタにしてしまう。
「ヨシ(山本)はいつも素晴らしい投球をするから、野手陣も『ヨシならなんとかしてくれる』ってどこかで甘えちゃうのかな。でも俺は頼りないから『俺たちが打たないと勝てない!』って、みんな奮起して打ってくれているんだと思うよ(笑)」
一発を引きずらず 「コントロールできること」に集中
ドジャースでの復活を支えているのは、長年大切にしてきた考え方だ。
「毎球、自分が意識しているのは、その一球をしっかり投げることだけ。自分でコントロールできることに集中する。後ろには守備陣がいるから任せればいい。本塁打を打たれても、思い通りにいかなくても引きずらない。自分がコントロールできるのは、手からボールを離れるまで。そこまでを最高の形でやり切れば、長い目で見れば結果はついてくるはずだから」
一球ごとに気持ちを切り替え、自分にできることだけに集中する。その積み重ねが、ドジャースでの安定した投球につながっている。
「あなたたち」から「俺たち」へ
シーズン途中で加わった当初、ラウアーはどこか「お客さん」のような感覚があった。移籍先が、昨年ワールドシリーズで敗れた相手というのも複雑だったようだ。チームメートは初日から温かく迎えてくれたものの、「ここが自分の居場所だ」と思えるようになるには時間が必要だった。
チームを指す言葉も、最初は無意識に「You guys(あなたたち)」だった。
「シーズン途中で移籍すると、『自分は受け入れてもらえるのかな』という不思議な感覚があるんだ。最初は癖で『あなたたちのチーム』と言ってしまっていた」
その感覚が変わったのは、移籍後3、4試合ほどが過ぎた頃で、「『このトレードに見合う選手だ』と自分で思えた時かな。そこから自然と『俺たちのチーム』と言えるようになった」と振り返る。
「まだ先発としてやれる」
その思いだけを胸に飛び込んだ新天地で、ラウアーは自らの投球でローテーションに欠かせない存在となっている。