クロシェットの初完封でチームは9連勝

26歳ながらリーダーシップを発揮する『真のエース』

July 12th, 2025

レッドソックス1-0レイズ】ボストン/フェンウェイパーク、7月12日(日本時間13日)

快晴に恵まれたフェンウェイパークの歓声に迎えられ、レッドソックスのエース、ギャレット・クロシェットがマウンドへ上がった。オールスター前最後の登板となった左腕は、本拠地のファンの期待に十二分に応える、1-0の完封勝利を演出。チームの9連勝の立役者となった。

初回から連続三振を含む磐石の立ち上がりを見せると、最終的には100球ちょうど、3安打9三振という圧巻の内容でキャリア初完封を達成した。

「最後のアウトをとった後、どうすれば良いかわからなかったよ。どこに立ってればいいのって感じだったね」とクロシェットは笑った。

ここまで20試合に登板し129回1/3を投げ、MLBトップの160三振。昨年の総投球回数(146回)まで、あと16回2/3と稼働率の高さが光る。

唯一のピンチは六回。1死一、三塁の場面を迎えるも、キム・ハソンのスクイズを一塁手エイブラハム・トロが素手で処理し、捕手カルロス・ナルバエスが本塁でタッチアウト。続くジェイク・マンガムを内野ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。

「本当に満足しているよ。トロが素晴らしいプレーを見せてくれたし、(トレバー)ストーリーも素晴らしかった。(捕手の)ナルバエスも試合を通してサインがよかったし、イニング間でしっかりとやりとりもできた。すごく感触がよかったし、連勝を続けられてうれしいね」と自身の完封を振り返った。

エースとして文句なしの投球を見せるクロシェットの影響力は、マウンドの上だけにとどまらない。クラブハウスでもリーダーシップを発揮し、レッドソックスに長らく欠けていた『真のエース』として存在感を放っているとコーラ監督は語る。

「5日に1回、彼が先発してくれるという安心感がある。でも、それ以上にクラブハウスでの存在感が大きい。ダッグアウトでも常に試合に集中していて、投手陣とよく話している。その点では(アレックス)ブレグマンと非常によく似ている。ウォーカー・ビューラーとも似たタイプだ。ウォークの方が経験は豊富だが、クロシェットも非常に頭が良い」

レッドソックスの得点後、ベンチにカメラが向くと、そこには必ずと言っていいほどクロシェットの姿がある。中心に立ってチームメートを祝福し、そこにいないときは投手陣にアドバイスをする。例えば、昨日先発したグレッグ・ワイサートは6回無失点という内容ながらも、自身のスライダーに納得がいかず、クロシェットと意見を交換していた。

大きな影響力を持つクロシェットは、指揮官の言葉通り、野手陣の中でブレグマンが果たしている役割を投手陣の中で担っている。いずれも今季からの入団ながら既にリーダーシップを発揮しているが、特筆すべきは年齢だ。ブレグマンはキャリア10年のベテランだが、クロシェットは2020年にデビューしたばかりの26歳。若くして、多くの責任を背負うエースの姿はコーラ監督にも頼もしく映っている。

「(クロシェットが結んだ)契約の規模を考えれば、それ相応の責任もついてくるし、そういう存在にならなければいけない。うちにはそういう投手がしばらくいなかった。良い選手たちはいたけど、今や彼がレッドソックスのエースで、素晴らしい仕事をしているよ」

この活躍により、2年連続でオールスターの選出を果たしたクロシェットだが、今季はそれを辞退。見据えているのは、レッドソックスでの投球とチームを勝たせることだけだ。

「自分の投球を、レッドソックスのために、本当に意味のある試合に使いたい。それだけだ」