ジョシュア・バイエズは15日(日本時間16日)、人から借りたスパイクを履いて歴史をつくった。
そのスパイクは今、MLB史上最も歴史的なデビューを記念するために、クーパーズタウンへ向かっている。
MLB史上初、メジャーデビュー戦で3本塁打を放った選手となってから1日もたたないうちに、バイエズは16日(日本時間17日)に再びリグレーフィールドに立った。一夜にして野球界で最も注目される存在となった目まぐるしい24時間は、ブレイズ・ジョーダンのスパイクから始まった。
カージナルスの有望株ランキング3位が15日にリグレーフィールドへ到着したとき、メジャーの舞台にふさわしい用具がそろっていたわけではなかった。ブライアン・トーレスは、バイエズがデビュー戦に汚れたスパイクと白いバッティンググローブを持ってきたことに気づき、すぐに動いた。
「『デビュー戦にそんな格好で出るわけにはいかない。びしっと決めないと。赤を身につけなきゃ』と言われた」とバイエズは振り返った。
ただ、一つだけ問題があった。バイエズにはサイズ12のスパイクが必要だった。
トーレスが探し回った末、ジョーダンのロッカーで清潔なスパイクを発見した。さらにトレーナーの一人から赤いベルト、ホセ・フェルミンからバッティンググローブを借り、バイエズの”デビュー戦コーデ”が完成した。
COMPLETE CARDINALS PROSPECT COVERAGE
トーレスの持論は単純だった。
「見た目がよければ、香りもよく、気分もよくなり、プレーもよくなる。それで、あいつはとんでもない活躍をした!」と満面の笑みを見せた。
ジョーダンのスパイクを履いたバイエズは、メジャーで初めて目にした一球を本塁打にした。マシュー・ボイドの93.4マイル(約150.3キロ)の速球を中堅へ運び、スタットキャストの推定飛距離は449フィート(約137メートル)を記録した。三回にも本塁打を放つと、六回にこの日3本目。デビュー戦で3本塁打を記録したMLB史上初の選手となった。
翌日の朝を迎える頃には、借り物だったスパイクが歴史的な展示品となっていた。.
米国野球殿堂は、スパイクを含む歴史的なデビュー戦でバイエズが使用した用具の一部を収蔵できないかと連絡してきた。そこには面白い事情もあった。トーレスによれば、スパイクの内側には「Jordan」と書かれているという。
試合後、ジョーダンはそれが何を意味するのかに気づいた。
「すごいな。自分の名前が入ったものがクーパーズタウンに飾られるんだ」とジョーダンはトーレスに話した。
16日、バイエズがそのスパイクを米国野球殿堂へ寄贈すると発表された。
「できれば、これからも履き続けたい。クーパーズタウンの人たちが持っていきたがっているけど、どうなるか見てみよう」とバイエズは試合前に語っていた。
前日の試合後に雨でぬれたスパイクが乾いていれば、この日も履く予定だった。しかしシリーズ最終戦の前までに、ニューヨーク州中部で保存してもらう決断を下したようだ。
ただスパイクは、あくまで今回の歴史的な出来事のほんの一部分にすぎない。
バイエズによれば、最初の2本塁打のボールは回収され、自宅へ送られるという。ただし、3本目のボールは16日朝の時点で見つかっていなかった。それ以外の出来事についても、気持ちを整理する時間はほとんどなかった。
「この48時間は、ほとんど眠っていない。ただ、この時間を楽しんでいる」とバイエズは語った。
オリバー・マーモル監督は、この日を特別扱いするつもりはなかった。
「また新しい一日だ。気持ちを切り替えて、次へ進む」と指揮官は語った。
だからといって、マーモルがすでに前日の出来事を忘れたわけではない。特別な試合でしか手元に残さないゲームカードを、15日の試合後に保管した。また、バイエズのラインアップカードにチームメート全員の署名を入れてから、本人へ贈る予定だ。
マーモルが特に感銘を受けたのは、バイエズが異なる3球種を異なる3方向へ運び、本塁打にしたことだった。
「速球、スライダー、チェンジアップを、中堅真正面、引っ張り、そして逆方向へ運んだ。本当に驚異的だ。3本打つこと自体が信じられないが、それぞれ異なる球種をあのように本塁打にするなんて、とんでもない」とマーモルは語った。
ここから難しい仕事が始まる。この勢いを継続することだ。
この日の試合で再び3本塁打を期待するのは現実的ではない。ただ、最初の3本塁打も誰一人として予想していなかった。
どのような結果になろうとも、バイエズの装いはメジャーリーガーにふさわしいものになる。その点では、ジョーダン、フェルミン、トーレスに感謝しなければならない。