【検証】大谷は投手をすると打者成績は落ちるのか

7:59 AM UTC

ドジャースは2026年、1998〜2000年のヤンキース以来となるワールドシリーズ3連覇を目指す。そして大谷翔平(31)は、先発投手としてフルシーズンを戦い、二刀流の完全復活を期す。

2025年、大谷は2度目の右肘手術からの復帰シーズンを送った。イニングを伸ばし、球数を増やして登板を重ねると『投手でのプレーはバッティングの成績に悪影響があるのでは』という米メディアの指摘があった。普段から大谷を取材する多くの日本メディアは、大谷がそれを否定することは熟知している。大谷は過去にその類の質問を受けるたび、投球が打撃成績を落とす理由にはならない、という旨の発言をしてきた。それでも、投手として復帰シーズンを送り、ポストシーズンを戦いながら投手とDHで出場し続ける大谷に『二刀流は継続できるのか?』という目が向けられていたのかもしれない。

ピッチャーをやることと打撃の調子は、別もの、という考えが大谷の基本だ。

「(先発投手のときは)比較的、体がずっと温まっている状態で打席に入っている感じ。感覚的にはDHで入るよりもスムーズに打席に立てる感じはします」

「投げている、投げていないにかかわらず、しっかり我慢強く打席を送れるかが大事」

大谷は常々、打撃の調子には投手をする負担は影響しない、というスタンスだ。

昨季はDHに専念し、二刀流としての調整にブランクがあることは影響したのか? と問われても以下のように返答している。

「体感ではあまり関係ないと思っている。(2025年)シーズンの後半も(投手のリハビリは)スケジュール通りにきて、打席もそれなりの感覚では送れてはいたので」

大谷の野球人生はアマチュア時代はもちろん、プロ入り後も二刀流が前提だ。だからこそ、二刀流が「本来のリズム」と表現してきた。

ここでは、データを参照しながら【先発投手としての出場が、打撃成績に与えた影響】を検証、考察する。

(1)2025年、先発登板時=投打の同時出場時、「1番・投手兼DH」のリアル二刀流(レギュラーシーズン14試合)

  • 打率.278(54打数12安打)、4本塁打、8四球

(2)2025年、投手出場の翌日の打撃成績(「翌日」に限る。移動日、オフを挟んでからの「次の試合」は含まない)

  • 打率.147(34打数5安打)、2本塁打、2四球

(3)1と2の合計(先発日のリアル二刀流とその翌日)

  • 打率.193(88打数17安打)、6本塁打、10四球

リハビリ登板を兼ねた今季に限ってみると先発登板時の打撃成績は、まずまずの打率。

一方で登板翌日は、疲労の影響か打撃の数字は振るわなかった。

「もちろん(投手を)やらないよりやってる方が体力的に、もちろんきつい。それが直接的に(先発日の打撃成績に)関係しているかどうかは、分からないですし、体感的にはそうではない、とは思っています」

これらを踏まえて、昨季のナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第3戦前には以上のように話している。数字上、先発した翌日は打てない傾向があった。しかし、打撃の調子が落ちることと投手をやることは無関係、と強調した。

DHのみで過ごし、54本塁打59盗塁を達成した2024年について「去年(24年シーズン)が逆に言えばサンプル的に少ないDHだけで臨んでいるシーズンではあったので、比較は単純にはできない」と投手の影響を否定する。

一貫して投手は打撃成績に関係ない、あるいは悪影響は及ばさないと主張し続けることは、二刀流としての意地にも聞こえた。

「基本的には打撃に関してはやっぱり自分の思っている構え方であったりとか、技術的な部分がしっかりしていないと結果に結びつくのは難しい作業ではある。ピッチングは、自分がやれることをしっかりやれば、いい結果が生まれてくる可能性が高いので、あまり(登板が打席成績に)関係はないのかなとは思っています」

投打の同時出場“リアル二刀流”を解禁した2021年から右肘を負傷し、2度目の手術を受けた2023年までの成績は以下。大谷の「投球は、打撃成績に関係ない」という言葉を裏付ける。

<2021〜23年、投打の同時出場の打撃成績>

  • 打率.289(239打数69安打)、11本塁打、4盗塁

<2021〜23年、先発登板した翌日の試合※「翌日」の試合に限る。移動日オフを挟んだ「次の試合」は含まない>

  • 打率.305(200打数61安打)、21本塁打、2盗塁

上記の3シーズンで特に「2023年の投打同時出場」の試合では、打率.377(77打数29安打)、7本塁打

この2023年のデータを抜き出せば「投手をやる日こそ、大谷は打つ」とも言える。

つまり、2025年以外のシーズンでは投手をやることは、打撃成績の悪化を招いていない。大谷の言うようにあくまで打撃成績は、打撃の調子が左右する、ということだ。

2026年、大谷は右肘のリハビリを完了し、開幕からフルシーズンでの投手兼DHでプレーする。二刀流としての体力を取り戻し、完全復活を懸ける。大谷は自分自身が二刀流選手であることを証明するシーズンに向かう。

なにより、投手も打者の両方をトップレベルでやることが、大谷の大きなモチベーションになるはずだ。勝利に最大限貢献するために二刀流をする。それが、揺るがぬ信念だ。

【大谷の二刀流データ】

<2021年>

  • リアル二刀流(23試合):打率.230(61打数14安打)、2本塁打
  • 先発翌日:打率.303(66打数20安打)、9本塁打

<2022年>

  • リアル二刀流(28試合):打率.257(101打数26安打)、2本塁打
  • 先発翌日:打率.329(70打数23安打)、7本塁打

<2023年>

  • リアル二刀流(23試合):打率.377(77打数29安打)、7本塁打
  • 先発翌日:打率.281(64打数18安打)、5本塁打

(なお、データはMLB.comのリサーチ・チームからの協力をいただいた。Thank you!)