開幕から5週間余り。今季から導入されたABS(自動判定ストライクゾーン)チャレンジは、各チーム・各選手の使い方の差が出ている。効果的な場面で的確に使うケースがある一方で、タイミングや判断に首をかしげたくなる場面もまだ少なくない。
4月30日時点での成功率は、バッテリー(投手・捕手)が60%、打者が46%、全体では53%。およそ2週間前と比べると、特に打者側の成功率が落ちており、打者側のチャレンジの難しさが数字にも表れている。
そんな中で目を引くのが成功率100%の打者62人だ。
チャレンジ回数と成功率でトップに立つのは、ドジャースのテオスカー・ヘルナンデスが4回、タイラー・スティーブンソン(レッズ)とビニー・パスカンティーノ(ロイヤルズ)が3回で続き、2回成功は17人、1回成功が42人。
一方で苦戦している選手もいる。ヤンキースのジャズ・チザムJr.は7回チャレンジして成功は1回のみで成功率14%。6回で1回成功(17%)がガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)、ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)ら5人が続く。
チザムJr.は、ゾーン際の微妙な判定というよりも、明らかにストライクゾーン内の球に対してもチャレンジする傾向があり、ゾーンの見極めに大きな課題を抱えている。(※下図の青丸は成功、黒丸は失敗)
なお、ヤンキースではチャレンジ失敗に罰金を科す「チーム内ルール」があるとも言われており、チザムJr.の数字を見る限り、その出費もなかなかの額になっていそうだ。本人も「自分はチャレンジしない方がいいかもしれない」と話しているようだが、チームとしてどう対策するのかも要注目だ。
では、日本人打者の状況を見てみると
1位 鈴木誠也:チャレンジ4回で成功3回(成功率75%)
鈴木は4月27日のパドレス戦、2点を追う三回2死一、三塁の場面で真価を発揮した。1ストライクからチャレンジを成功させてカウントを1-1に戻すと、続く3球目をレフト線へ運んで安打とし、満塁にチャンスを拡大。直後にはバレストレスの逆転満塁本塁打が飛び出し、その流れを呼び込んだ。
2位 村上宗隆:チャレンジ9回で成功5回(成功率56%)
4月中旬以降にチャレンジ回数が増えており、ゾーンへの適応が進んでいる可能性もありそうだ。
3位 岡本和真:チャレンジ3回で成功1回(成功率33%)
3位 大谷翔平:チャレンジ3回で成功1回(成功率33%)
試行回数は少ないものの、岡本は低め、大谷は外角球でのチャレンジが目立ち、それぞれの傾向もうかがえる。どの打者がゾーンのどのあたりを見逃しがちなのか、このデータから見ることができる。(※レッドソックスの吉田正尚はまだチャレンジなし)
ABSチャレンジは単なる「判定のやり直し」ではなく、試合の流れを左右する戦術のひとつになりつつある。成功率を高めることはもちろん、どの場面で使うかの判断力も今後さらに問われそうだ。