タイガースから5月7日に自由契約になり、フリーエージェント(FA)で移籍先を探ししていた前田健太(37)がカブスとマイナー契約を結んだ。代理人のスコット・ボラス氏(72)が明かした。前田はこの日までにマイナー傘下3Aアイオワのチーム本隊に合流し、当地で練習を行なった。正式な手続きが完了すれば、17日(日本時間18日)のツインズ傘下3Aセント・ポール戦で先発する見込みだ。
日本球界も前田の動向を注視してきたが、今季中は米国にとどまり、メジャー昇格を目指して戦い続ける決断を下した。昨季までメジャー在籍9年。サービスタイム10年は、年金受給を満額で受け取れる福利以上にメジャーリーガーにとって大きな勲章だ。ベンチ入り枠26人(投手は13人)に172日間入ることで1シーズンにカウントされるメジャーサービスタイム。日本選手でサービスタイム10年を完了したのは、野茂英雄、イチロー、ダルビッシュの3人のみだ。現実的には今季中の10年完了は難しくなったが、シーズン途中で日本に戻らず、米球界での10シーズン目をやり切ることにこだわった。
一方で野球人生の大きな目標としている日米通算200勝には、あと35勝に迫っている(NPB97勝、MLB68勝)。すぐに先発投手での起用が見込まれる日本球界への復帰が、名球界入りへ近道になったかもしれない。しかし、リハビリ登板以外では初めてのマイナー生活で再出発することを決めた。
昨季からタイガースと2年2400万ドル(約35億円)の契約を結んだ。しかし、投球フォームを崩したことから本来の力を発揮できずに昨季の途中からは、中継ぎに配置転換。今季はオープン戦期間中に体調を崩して先発を回避するなどコンディションを悪化させ、メジャー10年目で初めて中継ぎとして開幕を迎えていた。開幕後は、接戦の場面など勝敗を左右する局面での起用は、ほとんどなく、大差のリードかビハインドのみ。7試合で防御率7.88と本調子からは程遠かった。今は本来のマエケンを取り戻し、マイナーで先発ローテーション投手として、結果と内容を示しながらメジャー復帰を目指す。
マイナー契約には、シーズン途中に契約を破棄できるオプトアウトの条項が複数回、付帯しているもよう。これはメジャー経験者がマイナー契約を結ぶ際の一般的な内容だ。カブス以外にもメジャー契約のオファーがあれば、移籍ができる他に一定のタイミングでオプトアウトが可能。他球団の戦力バランスを見極め、昇格の可能性がカブスよりも高ければ、退団できる契約になっている。