【記者の目】有原航平、MLB再挑戦の行方

メジャー契約の可能性は

December 2nd, 2025

ソフトバンクで5年ぶりの日本一に貢献した有原航平(33)がMLB再挑戦を視野に入れている。12月2日にソフトバンクの保留者名簿を外れ、実質的に国内外の球団と交渉が可能になるフリーエージェント(FA)になった。2022、23年にレンジャーズと傘下のマイナーでプレーするも右肩の血行障害などで苦しむなど、不完全燃焼だった。日本での3シーズンで健康と実力を証明。12月中旬までの2週間は、日本国内の球団と交渉し、その後はメジャー球団からの需要を探る。

ソフトバンクとの3年契約の満了時には、MLB再挑戦を見据えて自由契約にする条項が入っていたと思われる。直近2年連続14勝&パ・リーグ最多勝利賞を獲得した右腕を手放すことは、異例。自由契約の条件として3年間、という契約期間だったのか、それともタイトル獲得、あるいはリーグ優勝や日本一を達成した場合など事前に“約束事”があった、と考えるのが自然だろう。いずれにしても、米球界への再移籍をにらみつつ、ソフトバンクとの再契約、あるいはNPB他球団への移籍を検討する状況だ。

「有原は以前の米国での経験でマイナーの過酷な環境を経験するなど身も心もたくましくなった。この3年間は、しっかり投げ、本来の力を示した。もう一度、メジャーからの評価を聞く価値がある」

球界関係者は、そう明かした。12月中旬までは、NPB球団と交渉する予定。12月8日からフロリダ州オーランドで開催されるウインターミーティング(WM)が開催される。球団幹部、監督、代理人らの球界関係者が一堂に会するオフ最大のイベントだ。このWMから大型契約が見込まれるトップFA選手たちの契約交渉が本格化する。契約規模の大きな第1グループから、順次締結に向かうのがストーブリーグの流れだ。一般的に契約規模が小さければ、各チームの補強・編成の状況を待ち、正式契約の話がまとまる時期は遅くなる。有原はNPB球団との交渉を終える2週間後、動き出した米球界のFA市場で己の評価を聞く。

有原は、MLBで需要があるとすれば先発5番手、1年契約が妥当だろう。2年連続で14勝を挙げ、2014年はリーグ最多182回2/3、25年は175回を投げ、耐久性と負傷歴のある右肩の健康も証明した。年俸を抑えて、ローテーションの下位、あるいはロングリリーフを確保したいチームがあれば、メジャー契約のオファーが届く希望はある。35歳シーズンでオリオールズと1年契約を結んだ菅野智之の例もある。ただ、MLB(マイナー含む)→NPB→メジャー復帰、というルートが実現すれば異例だ。

マイナー契約で春季キャンプとオープン戦でのメジャー招待選手としての立場を有原が受け入れられるならば、再渡米への可能性は高まる。一方で、21〜22年でマイナーを経験した有原は、メジャー40人枠を外れる契約から昇格する難しさを十分に理解しているだろう。メジャーが第一希望だとすれば、有原はいつまで待てるのか。NPBでの実績を背景に、再び米国へ挑むのか、日本に残って勝負を続けるのか。今オフ、右腕が下す決断に注目が集まる。