フィリーズで今季56本塁打を放ち、132打点でリーグ最多を記録したカイル・シュワーバーは、今オフのフリーエージェント(FA)で目玉の選手だ。
この本塁打数を手土産に市場に出る選手はそう多くない。
ヤンキースのアーロン・ジャッジは、2022年に62本塁打を打ってFAになったが、今季のシュワーバーはジャッジやドジャースの大谷を上回る本数だ。唯一上回るのは60本のカル・ローリー(マリナーズ)だけだ。
NLDS第4戦でフィリーズは、ドジャースに痛恨のサヨナラ負けを喫した。しかしシュワーバーは第3戦で今季を象徴するような本塁打を2本放ち、そのうちの1本は455フィート(約138.7メートル)の特大弾と爪痕を残した。
球団は今、主砲と長期的な契約を結ぶべきか否か判断を迫られている。シュワーバーもまた、自らの道を選ばねばならない。
カブス在籍時、2016年のワールドシリーズ制覇に貢献した実績を持つ。あの年、左膝前十字靱帯(ACL)と内側側副靱帯(MCL)の手術後も、10月まで戦い抜いた。もう一度、世界一という目標は変わらない。
強打者として衰えを見せず、リーグ屈指の打者たちとの対戦でバットを振り抜いている。年齢ではジャッジより1歳若く、大谷よりひとつ年上だ。チームに残るにしても、移籍することになっても市場価値が揺らぐことはないだろう。
このシーズン、シュワーバーはジャッジ、大谷、ローリーに肩を並べる注目打者になった。フィリーズが第4戦で追加点を取れていればシリーズ継続も可能だったが、シュワーバーもハーパーも、その仕事を成し遂げられず、昨年と同様に地区シリーズで敗退した。
大物選手を獲得することを厭(いと)わないフィリーズは、10月の屈辱を共にする道を選ぶのか、それとも主砲を手放す決断をするのか。
シュワーバー自身も悩みながら未来を見据えている。
「複雑な気持ちだ。クラブハウスでは多くの人との関係を築いてきた。多くの時間をともにし、家族のようになる。今後どうなるかは分からないけれど、みんな僕の気持ちは知っている。組織、そのスタッフ、コーチ、すべての人を尊敬している。ここは毎年勝つための組織だ。ファンもオーナーもコーチも、みんな勝利を求めている。だからこそ、今年の敗北が悔しいんだと思う」
今オフはほかにもピート・アロンソ、ボー・ビシェット、カイル・タッカーら多くの有望選手がフリーエージェントとして登場する。だが、1番の注目はシュワーバーだ。
主砲の一言一言には、心からの思いが込められていた。これから、どこへ向かうのか。本塁打を携えてその旅路を見守りたい。
