2025年栄光のMVPは誰の手に―大谷翔平、ジャッジ、ローリーら6選手が激突

November 13th, 2025

全米野球記者協会(BBWAA)は11月13日(日本時間14日)に今季のMVP(最優秀選手賞)を発表する。

この栄誉が誰の手にわたるのか、最大の注目が集まる。

ナ・リーグの大本命は大谷翔平(ドジャース)。一方、ア・リーグは終盤まで白熱の争いとなった。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)は2年連続、通算3度目の受賞を狙うが、マリナーズのカル・ローリーが「捕手史上最高のシーズン」で強烈なインパクトを残した。さらに、ガーディアンズのホセ・ラミレスもチームを奇跡的な逆転優勝へ導き、堂々の最終候補入りを果たした。

ナ・リーグでは、大谷に加えてフィリーズのカイル・シュワーバー、メッツのフアン・ソトが名を連ねる。
以下では、両リーグ6選手の「受賞にふさわしい理由」を紹介する(リーグ別・アルファベット順)。

【ア・リーグ】

アーロン・ジャッジ(外野手/ヤンキース)

6フィート7インチ(約201cm)の巨人スラッガーが、またしても歴史を塗り替えた。打率.331でメジャー首位打者となり、史上最も背の高い首位打者として記録を更新。さらに50本塁打以上を放ちながら首位打者となったのは、ミッキー・マントル(1956年)とジミー・フォックス(1938年)に続く史上3人目。53本塁打は、首位打者が放ったシーズン最多本塁打記録となった。

また、出塁率(.457)、長打率(.688)、OPS(1.144)、出塁数(310)、敬遠(36)、fWAR(10.1)でメジャートップ。さらにリーグ首位の得点(137)、塁打(372)、四球(124)、長打(85)と圧巻の数字を残した。ヤンキース打線をけん引し続けた王者の風格が光る。(文:ブライアン・ホック/Bryan Hoch)

カル・ローリー(捕手/マリナーズ)

今季のMLBで最も話題を集めた男、カル・ローリー。捕手、スイッチヒッター、そしてマリナーズ選手として、それぞれの本塁打記録を塗り替え、最終的に「60本塁打」という歴史的数字に到達した。

捕手という最も過酷なポジションで162試合中159試合に出場し、そのうち128試合でマスクをかぶるタフネスぶりも圧巻。打率.247、出塁率.359、長打率.589、OPS.948、wRC+161はいずれも自己最高。さらにリーグ最多の125打点をマークした。マリナーズを2001年以来となる地区制覇に導き、チームの象徴として存在感を示した。受賞すれば、2012年のバスター・ポージー(ジャイアンツ)以来の捕手MVP誕生となる。(文:ダニエル・クレイマー/Daniel Kramer)

ホセ・ラミレス(三塁手/ガーディアンズ)

もしラミレスがいなければ、ガーディアンズの奇跡はなかった――。そう言われるほど、チームに不可欠な存在だった。最大15.5ゲーム差を逆転し、ア・リーグ中地区優勝を果たした原動力である。

今季は打率.283、出塁率.360、長打率.503、30本塁打、85打点、44盗塁をマーク。158試合出場で三塁守備でもゴールドグラブ賞の最終候補に名を連ねた。fWARは6.3で、チーム全野手のfWAR(13.2)の実に47.7%を1人で稼ぎ出した。チームの心臓として攻守にわたり貢献し、真のリーダーシップを発揮した。(文:ティム・ステビンズ/Tim Stebbins)

【ナ・リーグ】

大谷翔平(DH**/投手/ドジャース)**

「彼に勝てる選手はいるのか?」

そう問いかけたくなるほど、二刀流の価値は依然として別次元だ。完全復活を遂げた今季、大谷が3年連続、通算4度目のMVPに輝く可能性は極めて高い。

打者としてだけでもMVP級の活躍。OPS1.014、OPS+179はリーグトップ。55本塁打はシュワーバーに次ぐ2位で、投手としてのリハビリを続けながら驚異的な数字だ。6月には約2年ぶりにマウンドへ復帰し、14登板で1勝1敗、防御率2.87。47回を投げ62三振、9四球、ERA+145を記録。まさに“メジャーの常識を超える存在”であることを改めて証明した。(文:ソニャ・チェン/Sonja Chen)

カイル・シュワーバー(DH/フィリーズ)

打率.240ながら、56本塁打でナ・リーグ1位、132打点でメジャー1位。OPS.928、OPS+150を誇り、終始安定した破壊力を見せつけた。チームがケガ人に苦しむ中、シーズンを通して攻撃の中心に立ち続け、96勝を挙げたフィリーズの地区2連覇に大きく貢献。ブライス・ハーパーやトレイ・ターナーが欠場する中でも打線を支え、クラブハウスの精神的支柱としても欠かせない存在だった。今オフの再契約交渉の焦点となるのは間違いない。(文:トッド・ゾレッキ/Todd Zolecki)

フアン・ソト(外野手/メッツ)

「もし大谷がいなければ」そう言われるほど、ソトもまた圧倒的なシーズンを送った。
移籍1年目の序盤こそスロースタートだったが、5月末以降は打撃3部門(OPS、出塁率、盗塁)でリーグ首位を快走。本塁打も大谷と並ぶ35本を放った。また、これまでのキャリアハイを大幅に更新する盗塁数で、40本塁打・30盗塁の“40-30クラブ”入り。史上16人目の快挙を達成した。

大谷という二刀流の怪物と同じリーグにいることが最大のハードルだが、その打撃力と向上心は確実に進化を続けている。8年でMVP投票トップ10入り6回――ソトの戴冠は時間の問題だろう。(文:アンソニー・ディコモ/Anthony DiComo)