カブス、マット・ショウの一打でサヨナラ勝利

若手の躍動、見守る負傷中のエース

May 28th, 2025

サヨナラを確信した瞬間、マット・ショウは力強く拍手し、両手を握って喜びを爆発させた。

延長十一回に右方向へ放ったタイムリーは、カブスにとってこの試合の決勝打となり、4-3での勝利を決定づけた。ショウにとってはこれがキャリア初のサヨナラ打となり、試合後はベンチから飛び出したチームメートたちと喜びを分かち合った。

「最高だった。本当に楽しかったし、一生忘れない瞬間になると思う。とにかく興奮した」と殊勲のヒーローは試合後に語った。

現在23歳のショウは、MLB公式パイプラインによればカブスの有望株ランキング1位、全体18位の期待選手。今季は開幕からメジャー昇格を果たしたものの、最初の18試合で打率.172、OPS.536と苦戦し、4月下旬に3Aアイオワへ一時降格。1か月弱の調整期間を経て5月19日に再昇格した。

復帰後のショウはまさに別人のようであり、直近8試合で打率.355(31打数11安打)、マルチ安打4試合と絶好調。この日も三回に安打、盗塁、そして得点を記録し、攻撃の起点となった。さらに四回にも再び盗塁を成功させ、延長十一回には勝負を決める一打を放った。

「見た目からして落ち着いている。自信がついたのか、マイナーでの再調整が功を奏したのか分からないが、今は本当に打席で堂々としている」とジェド・ホイヤー野球部門代表もその成長を認めた。

延長戦では、ピート・クロウ=アームストロングが二塁からスタートし、一死から三塁への盗塁を成功。これをマイケル・ブッシュのライト前ヒットで同点に追いついた。その後、バーティが代打で出場し盗塁、ニコ・ホーナーの四球で一、二塁となり、ショウに打席が回ってきた。

「彼(キンリー)はいいスライダーを投げる。とにかくボールを引きつけて、逆方向に打ち返そうとしていた」とショウは振り返った。

1-2からのスライダーに体勢を崩されながらも、打球速度約102.7キロの柔らかい当たりで一塁手の頭上を越えた。右翼手タイラー・フリーマンが処理する頃には、バーティはすでに三塁を回っており、劇的な勝利が確定した。

「本当に最高のチーム。自分たちはどんな展開でも諦めないし、逆転勝ちもたくさん経験してきた」とショウはチームの結束力にも胸を張った。

投げては先発のケイド・ホートンが6回2失点、5被安打、6三振、1四球の好投。カブスでは通算4登板目で、先発としては3度目の登板であった。七回に先頭打者ブレントン・ドイルに同点ソロ本塁打を許したことで勝ち星は逃したものの、球団内外からの評価を高める一戦となった。

そんな若武者たちの活躍を見守っていたのが、トミー・ジョン手術(内側側副靭帯の再建手術)からのリハビリ中であるジャスティン・スティールだ。アリゾナでの療養から一時的にチームに合流し、サヨナラ勝利に立ち会った。

「もちろん本当はマウンドに立ちたい。でも、今はファンとしての時間を楽しむよ」とスティールは語った。

スティールは4月18日にシーズン絶望となる手術を受けており、ボールを再び握れるまでに5カ月程度を要する見込み。それ以降のスケジュールは未定であり、現在は「一日一日を乗り越える」ことに集中しているという。

カブスのクレイグ・カウンセル監督は「このような手術の後はメンタル的にも厳しい。だからこそ、チームに帯同するだけでも助けになることもある。我々としても、リハビリと並行して可能な限りチームと過ごしてほしい」と語った。

スティールは今後も月に一度程度チームに合流し、メディカルスタッフによるチェックを受けつつ、チームメイトとの交流も重ねていく予定。実際、オールスターにも選出され、カブスの開幕投手も務めたスティールは、ホートンやベン・ブラウンらにとって最高の教科書となる。

カウンセル監督も、特にホートンとスティールは重なる点が多いと語る。

「以前から、ジャスティン(スティール)は冷静沈着な勝負師のような選手だと評価してきた。そしてケイド(ホートン)にも、それと同じような資質があると感じている。良い結果も悪い結果もきちんと受け止めて、次に進める。ケイドはその点でとても良い対応をしていると思うよ」

なお、鈴木誠也は先制タイムリーを挙げ、MLB全体で最速の50打点に到達。それ以降は安打がでなかったものの、これで連続安打記録を8試合へと伸ばした。

<鈴木誠也 打撃成績>

第1打席:センターフライ 第2打席:適時打 第3打席:センターフライ 第4打席:空振り三振 第5打席:空振り三振

打率 .272 OPS .898