2026年ドラフトの上位指名順位は、12月9日(日本時間10日)の抽選まで確定しない。しかし、戦力均衡(Competitive Balance:CB)ラウンドの順番が決まったことで、ドラフトの全体像が見えつつある。
CBラウンドは2017年から導入され、収益、勝率、マーケット規模のスコアを組み合わせた独自の計算式を用いて、収益または市場規模で下位10球団に該当するチームへ追加指名権を与える制度だ。
2025年ドラフトでは15球団がこのCBラウンドで指名権を獲得し、ラウンドAが8球団、ラウンドBに7球団だった。今年も対象は15球団で、ラウンドAが7球団、ラウンドBが8球団という構成になっている。
ラウンドAは1巡目終了後の補償指名のあとに、ラウンドBは2巡目がすべて終わったあとに行われる。各CBラウンドでの指名順は、前年シーズンの順位をもとに、成績の良いチームから悪いチームへという順序で決められる。
各ラウンドの順番は以下のとおり。
CBラウンドA:
- ガーディアンズ
- ロイヤルズ
- ダイヤモンドバックス
- カージナルス
- オリオールズ
- パイレーツ
- ロッキーズ
CBラウンドB:
- ブルワーズ
- マリナーズ
- タイガース
- レッズ
- マーリンズ
- レイズ
- アスレチックス
- ツインズ
なお、CBラウンドの指名権は、MLBドラフトの中で唯一トレード可能な指名権で、すでにその指名権自体がトレードされている場合を除き、没収の対象にはならない。
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次に、1巡目の動向を見ていこう。第1巡目の1〜6位指名は直近のポストシーズンに進出できなかった18チームによる抽選で決まる。下位チームほど当選確率は高いが(下記リスト参照)が、意図的な成績悪化を避けるため、あくまで確率を上げるだけで、確定しているわけではない。
以下は、2025年の勝率(カッコ内)とともに、全体1位指名を獲得する確率が高い順に並べたリストである。
全体1位指名獲得確率
1位 ホワイトソックス(.370)27.73%
2位 ツインズ(.432)22.18%
3位 パイレーツ(.438)16.81%
4位 オリオールズ(.463)9.24%
5位 アスレチックス(.469)6.55%
6位 ブレーブス(.469)4.54%
7位 レイズ(.475)3.03%
8位 カージナルス(.481)2.35%
9位 マーリンズ(.488)1.85%
10位 ダイヤモンドバックス(.494)1.51%
11位 レンジャーズ(.500)1.34%
12位 ジャイアンツ(.500)1.01%
13位 ロイヤルズ(.506)0.84%
14位 メッツ(.512)0.67%
15位 アストロズ(.537)0.34%
ロッキーズは2年連続で当選しているため、今年は参加できない。一方、昨年当選したナショナルズとエンゼルスはいわゆる贅沢税(CBT)を払っているため抽選不可である。
※贅沢税(Competitive-Balance Tax・CBT):各球団の年俸総額がリーグで定められた一定の基準を超過した場合に罰金(税金)を課すもの。課税額は3段階に分けられる。
ブルージェイズ、ドジャース、メッツ、フィリーズ、ヤンキースは贅沢税の第2段階を超過したため、最初の指名権が10位分繰り下げられる。ただし、メッツが抽選で全体6位以内の指名権を獲得した場合、その指名権は繰り下げの対象とならず、代わりに2つ目の指名権が10位分繰り下げられる。
ただ、その可能性は低いため、以下の一覧ではメッツが抽選で上位6位の指名権を得られなかったケースを前提としている。
18位 レッズ
19位 ガーディアンズ
20位 レッドソックス
21位 パドレス
22位 タイガース
23位 カブス
24位 マリナーズ
25位 ブルワーズ
26位 ブレーブス(ドレイク・ボールドウィンのナ・リーグ新人王受賞によるプロスペクト昇格インセンティブ(PPI)指名権)
27位 メッツ(1巡目・10位繰り下げ後の順位)
28位 アストロズ(ハンター・ブラウンのサイ・ヤング投票トップ3入りによるPPI指名権)
29位 ガーディアンズ(CBラウンドA)
30位 ロイヤルズ(CBラウンドA)
31位 ダイヤモンドバックス(CBラウンドA)
32位 カージナルス(CBラウンドA)
33位 オリオールズ(CBラウンドA)
34位 パイレーツ(CBラウンドA)
35位 ヤンキース(1巡目・10位繰り下げ後の順位)
36位 フィリーズ(1巡目・10位繰り下げ後の順位)
37位 ロッキーズ(CBラウンドA)
38位 ロッキーズ(2巡目)
39位 ブルージェイズ(1巡目・10位繰り下げ後の順位)
40位 ドジャース(1巡目・10位繰り下げ後の順位)
上記抽選の結果は、2巡目から20巡目までの指名順には影響しない。2〜20巡目は以下の順番で、前年の勝率が低いチームから順番に引いていく。
- ロッキーズ(.265)
- ホワイトソックス(.370)
- ナショナルズ(.407)
- ツインズ(.432)
- パイレーツ(.438)
- エンゼルス(.444)
- オリオールズ(.463)
- アスレチックス(.469)
- ブレーブス(.469)
- レイズ(.475)
- カージナルス(.481)
- マーリンズ(.488)
- ダイヤモンドバックス(.494)
- レンジャーズ(.500)
- ジャイアンツ(.500)
- ロイヤルズ(.506)
- メッツ(.512)
- アストロズ(.537)
- レッズ(.512)
- タイガース(.537)
- ガーディアンズ(.543)
- レッドソックス(.549)
- マリナーズ(.556)
- パドレス(.556)
- カブス(.568)
- ドジャース(.574)
- ブルージェイズ(.580)
- ヤンキース(.580)
- フィリーズ(.593)
- ブルワーズ(.599)
また、クオリファイング・オファー(QO)を拒否したFA選手が他球団と契約すると、元々所属していた球団に補償として与えられる指名権も追加される。現時点で、この冬にQOを拒否して他球団と契約した選手はブルージェイズと7年契約を結んだと報じられているディラン・シースだけだ。補償として、パドレスは4巡目終了後にCBのラウンドAと同種の補償指名権を受け取る。
以下は、まだ契約が決まっていないQOを辞退したFA選手と、その選手が移籍した場合に元の球団が受け取ることになる補償指名権の一覧。
フィリーズ
- カイル・シュワーバー:4巡目終了後の補償指名権
- レンジャー・スアレス:4巡目終了後の補償指名権
カブス
- カイル・タッカー:CBラウンドB終了後の補償指名権
アストロズ
- フランバー・バルデス:4巡目終了後の補償指名権
ブルージェイズ
- ボー・ビシェット:4巡目終了後の補償指名権
メッツ
- エドウィン・ディアス:4巡目終了後の補償指名権
ダイヤモンドバックス
- ザック・ギャレン
- 契約総額が5,000万ドル以上の場合:1巡目とCBラウンドAのあいだの補償指名権
- 5,000万ドル未満の場合:CBラウンドB終了後の補償指名権
パドレス
- マイケル・キング:4巡目終了後の補償指名権
