復調の兆しを見せるMLBスター打者8名

スランプからの脱出で本来の輝きを取り戻す

May 19th, 2025

どんなスター選手でも調整に時間がかかることはある。以下に紹介する8人の打者たちは、それぞれのチームのファン、ひいては全米で名が知られる存在だが、シーズン序盤は本領を発揮することができずにいた。

しかし、シーズンの約4分の1を消化した現在、そんな不振の記憶も薄れ始め、本来の輝きを取り戻しつつある。これからさらなる復調に期待がかかる、そんな8名のスターを紹介しよう。

※すべての成績は金曜日時点のデータに基づいています。

フアン・ソト(メッツ)

15年契約でメッツに加入した今季は、言い換えれば、約90カ月間にわたるレギュラーシーズンの月初め。そんな新天地での最初の1カ月は期待はずれの成績となっていた。

出塁率.368をマークし、リーグ平均を上回る得点関与をみせながら、スランプと呼ぶのは酷かもしれないが、MLB7年間で叩き出してきた記録とそこからの期待値を考えると、やや物足りなかったのも事実だろう。

とはいえ、大方の予想通り、本来の調子を取り戻しつつある。そのタイミングは月替わりに訪れた。5月1日の試合で、シティ・フィールドでの初の2本のホームランを記録。それ以来、出塁率.426、長打率.638という圧巻の数字をマークしている。

さらに、5月の予測長打率は1.041と、今月40打席以上の打者の中でMLB2位の数字。まさに復活の月となりそうな今月の活躍から目が離せない。

ラファエル・ディバース(レッドソックス)

ボストンの春先は寒くなるが、開幕当初のディバースの成績はそれ以上の冷え込み具合。三塁からDHへの転向が話題を呼ぶ中、開幕から21打数連続無安打(15三振)と苦しいスタートを切っていた。

一時は復調の兆しを見せたものの、それも束の間。再び不振に陥り、最初の27試合終了時点では打率.194/出塁率.331/長打率.327、本塁打2本という低空飛行が続いた。

だが、28試合目となった4月23日、ダブルヘッダー第1戦のガーディアンズ戦で今季3号本塁打を放つと、翌日とその2日後にもアーチを記録。この試合を機にバットが熱を取り戻し始めた。

直近19試合でデバースは打率.378/出塁率.477/長打率.649を記録し、三振率・空振り率もともに約10ポイント改善。守備位置に関する議論は続くが、5月10日のロイヤルズ戦で4打数4安打の活躍を見せた後、アレックス・コーラ監督は「周囲の雑音をシャットアウトする術を知っている」と厚い信頼を語った。

ライリー・グリーン(タイガース)

MLBネットワークのジョン・ポール・モロシ記者によれば今季、グリーンが得点した試合でタイガースは16勝3敗。彼の活躍が、タイガースの勝敗を左右すると言っても過言ではない。

開幕当初は打率.217、OPS.624、三振率33.7%と精彩を欠いたが、ここ3週間あまりで一気に復調。チームもその期間に15勝6敗と快進撃を見せ、5月18日時点で30勝16敗、MLB最高勝率を誇る。

今月はア・リーグ週間MVPを受賞し、エンゼルス戦では1イニング2本塁打を達成、さらに三振率も19.3%に改善した。もしかすると、この活躍はア・リーグMVPレースの序章かもしれない。

ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)

悪い意味でここまで話題の中心の一つになってしまっているオリオールズ。過去2シーズンで通算192勝&プレーオフ進出2回を果たしたチームは、今やア・リーグ東地区の最下位に沈み、5月18日にはブランドン・ハイド監督の解任に踏み切った。

問題は様々あるが、開幕時にヘンダーソンを肋間筋の張りで欠いたこと、そして復帰後も最初の18試合で打率.203、OPS.609と低調だったことは間違いなくその一つだ。

しかし、ここ数週間のヘンダーソンは昨年ファングラフスのWAR:(Wins Above Average: どれだけチームを勝たせたか)で全体5位を記録した姿を取り戻しつつある。6本塁打のうち4本は直近18試合で記録したもので、その間の成績は打率.315/出塁率.359/長打率.562と好調だ。

ボールを強く打つ能力において、彼に並ぶ打者はわずか。現在ゴロ率がキャリア最高の50%に達してしまっているが、もう少し打球を上げることができれば、長期に渡って打線を牽引する力を十分に持っている。

ジェレミー・ペーニャ(アストロズ)

2022年に新人ながらア・リーグの優勝決定シリーズ&ワールドシリーズでMVPを獲得し、一躍スター候補となったペーニャ。しかしその後2シーズンの成績は平均をわずかに下回る内容で、今季も開幕26試合でOPS.700と平均的な滑り出しだった。

転機は4月28日。チームメートのホセ・アルトゥーベがジョー・エスパーダ監督に「2番に下げてほしい」と直訴したことで1番打者に昇格すると、それ以降は打率.375、OPS.958と絶好調だ。

特筆すべきはストレートへの対応力の向上で、昨季は長打率が.397だったのに対し、今季は.825まで上昇。これは今季、40打席以上に立った打者の全体で4位の数字となっている。

今年起きた最大の変化は、ゴロ打球の割合が減ったこと。その結果として、土曜日に早くも今季第10号の本塁打を記録した。これはすでに昨季(16本)の半分以上、さらにはキャリアハイの2021年の27本のうち3分の1以上に到達する数字である。

今季序盤からその長打力は発揮しており、最初の29試合で4本塁打を放っていた。しかし問題は、それ以外の打撃成績が極めて低調だったことで、4月29日時点でOPSは.577と低迷していた。

だが、それ以降の16試合でOPS1.135を記録し、見違えるような打撃内容を披露。シーズン全体でも長打率.456はキャリアで最も高い水準(短縮シーズンを除く)だ。結果だけでなく、打撃内容も大きく改善されており、「たまたま調子が良い」訳ではなさそうだ。

ヘリオット・ラモス(ジャイアンツ)

昨年のブレイクの勢いのままに、開幕からの7試合で長打6本、打点8という好スタートを切ったものの、そこから一転して失速。4月26日時点では打率.222/出塁率.280/長打率.370と沈んでいた。

しかし、直近17試合では完全に復調。芯をとらえた打球が増え始め、長打率は.690と高水準で、打率.414は、同期間でアーロン・ジャッジとフレディ・フリーマン(ともに.423)に次ぐ全体3位である。

ジャイアンツがナ・リーグ西地区の熾烈な争いを勝ち抜くためにも、ラモスの好調維持は不可欠だ。

ウィルソン・コントレラス(カージナルス)

4月終了時点で14勝17敗と低迷していたカージナルスは、5月に入ってから絶好調。土曜日までの15試合で12勝、その間には9連勝を記録するなど流れを180度変えてみせた。その中心にいたのがオールスター捕手のウィルソン・コントレラスである。

今季最初の22打席で10三振、安打ゼロという苦しいスタートを切るも、4月中旬から徐々に調子を上げはじめ、本格的な復活は4月最終日のレッズ戦ダブルヘッダー第2試合。この試合で特大の3ランを放って以降、完全に打撃面で覚醒したように見える。

実際、直近15試合では、4本塁打、打率.365、OPSは.603から.770へと167ポイント上昇。さらに、ハードヒット率(95マイル=153キロ超の打球割合)も4月30日以前は39.2%だったが、それ以降は62.5%まで急上昇している。