村上、メジャー順応のカギは「右足」と「左肘」にアリ?

1:15 AM UTC

日本選手たちは投手に比べ、野手はメジャーへの適応に苦しんできたことは歴史が証明している。過去の日本打者は「打者の手元で動く球」と表現されるカットボールやツーシームに詰まり、ゴロを打たされることが多かった。

かつて、メジャーの先発投手は200イニングを投げることが評価の重要な成績だった。だからこそ、投手は限られた球数で効率よく打者を打ち取り、少ない球数でより多くのアウトを稼ぎ、シーズン200投球回を目指して投げた。バットの芯を外し、ゴロを打たせる投球術が必要だった。

しかし、今の打者が苦戦するのは「動く球」ではない。厳密に言えば、動く球には今も苦戦する。

昨今、メジャー投手は「強く、速く、動く球」を投げる。

メジャー全体のフォーシーム(直球)の平均球速は、2002年の89.0マイル(約143.2キロ)から、2025年には94.5マイル(約152.1キロ)へとアップしている。ツーシームでも100マイル(約161キロ)前後を投げるパワーピッチャーがいる。さらにチェンジアップは打者のタイミングを崩すのではなく、空振りを奪う球に“進化”している。一昔前より、変化球も高速化が進んでいる。

村上宗隆(26)も、このパワー投手たちへに対応するために日々、打撃フォームを試行錯誤している。

その一つが「ステップ」だ。

ヤクルトに在籍していた当時、村上は右足を上げて打っていた。

渡米後、右足の上げ幅を小さく変えている。

「いろいろ試してもいますし、自主トレからやってきたことも継続しながらやっている感じなので、すごく充実した日々を過ごせていると思います」

オープン戦初出場を控えた20日(日本時間21日)、朝のクラブハウスで新たな取り組みへの手応えを語った。19日(同20日)のフリー打撃では、ノーステップ打法にもトライした。その後、2打席に立ったライブBPでは1打席をノーステップからスイングした。

メジャーのスピードには2018年、エンゼルスに移籍した大谷翔平(31)も苦労した。メジャー1年目のオープン戦は13試合で打率.125(32打数4安打)、長打はなかった。当時、大谷も右足を上げるスタイル。だが、開幕前に右足のかかとをやや浮かせて踏み込むように打つノーステップ打法を取り入れた。その結果、メジャー1年目の日本選手としては最多の22本塁打を放った。そして今、メジャーを代表するホームランバッターとして君臨している。

村上は己の弱点を自覚し、昨年からメジャー仕様の打撃フォームを作り上げている。

「11月から取り組んできたこともありますし、こっちに来てレベルが上がってスピードボールにも対応できるか、できないかというのを皆さん思っていると思うので、僕もその課題にはすごく自分自身向き合ってきたつもりですし、そうだなと思ってきたので、これが正解か分からないですけど、しっかり準備はしてきたかなと思います」

2つめは、「左肘の動き」。19日(同20日)はライブBPの後、ケージにこもり55分間の居残り打撃練習。テークバックの際に左腕が下がらないようにスイングを繰り返した。1球ずつリプレーが再生されるタブレットをみながら、スイングをチェック。ときにうなずきバットを振り続けた。

「自分の悪い癖だったり、自分がどういうスイングをするかとか、自分に合うものをいろいろピックアップしてやっている感じですね」

スタンドティーでは高めからコースを設定。外角低め、内角とスタンドティーを置く位置を変えて打つ。

(上のインスタグラムの動画を参照)

迎えたメジャーのオープン戦初出場。20日(同21日)のカブス戦では4打数2安打。渡米前、速球に弱いなどと指摘されたが、四回1死満塁で放ったセンターオーバーの二塁打は、95.2マイル(153.2キロ)の直球を捉えた。打球初速105・5マイル(約170キロ)、飛距離408フィート(約124メートル)、打球角度28度。メジャーの30球場中、16球場でオーバーフェンスになる打球。中堅に入った鈴木誠也(31)が太陽と打球が重なったため、見失ってしまい、捕球できなかったが、飛距離や打球速度はホームランに十分といえる力強い打球だった。

通常、主力のオープン戦序盤は2〜3打席で交代するケースが一般的。しかし、村上は初出場からいきなり4打席に立った。ベナブル監督は「ムネ(村上)はすべてのオープン戦で9イニング出場したいと考えているような選手。こちら(首脳陣)にもプラン(他の選手への出場機会など)があるから、それを聞き入れてくれている」と話した。

村上は22日(日本時間23日)のブルワーズ戦(グレンデール)では2打数ノーヒット、23日(同24日)のロッキーズ戦(スコッツデール)では4打数2安打。まだホームランは出ていないが、打率.400とハイアベレージをマークしている。

「試合勘はだいぶ戻ってきていますし、しっかりとピッチクロックも合わせて打席に入る準備もできてる。すごくいい流れできているとと思います」

25日(同26日)のレッズ戦(グレンデール)、26日(同27日)のドジャース戦(グレンデール)に出場してワールドベースボールクラシック(WBC)に向け、日本に飛び立つ。メジャー1年目から実力を発揮するため、打撃フォームをメジャーに順応させる。そのキーポイントが「右足」と「左肘」にある……かもしれない。