ホワイトソックスの村上宗隆(26)が右太もも裏の負傷から復帰してから11試合連続で本塁打を放っていない。41日間、メジャーを離れたブランクを感じさせる。ノーアーチ11試合はメジャー移籍後、最長だ。20号を打った5月27日のツインズ戦以来、一発から遠ざかる。
メジャー1年目の最多本塁打の22本にあと「2本」に迫っている。
メジャーに最適化した打撃フォームと理想のバッティングを求め、試行錯誤の日々。ここでは、復帰後初本塁打を願って、2月からの打撃フォームや構えの変化を動画とともに振り返る。
【1】コンパクト期
2〜3月はスクエア・スタンスで右足の挙げ幅を小さくコンパクトなフォームを試した。メジャーの“高速化”に適応するためだった。キャンプで初めてのメディア対応では、以下のようにコンパクト化したタイミングの取り方について説明している。
ワールドベースボールクラシック(WBC)期間中も基本的にこのフォームで臨んだ。練習は、右足のステップは踏み出すだけだが、ライプBPなど実戦では少し挙げている。
「11月から取り組んできたこともありますし、こっちに来てレベルが上がってスピードボールにも対応できるか、できないかというのを(メディアやファンの)みなさんが思っている。僕もその課題にはすごく向き合ってきたつもりですし、そうだなと思ってきた。これが正解か分からないですけど、しっかり準備はしてきた」
昨オフ、移籍先を探しながらメジャー用の打撃フォームを模索。イチローが振り子打法をやめたように、そして大谷がノーステップ打法を取り入れたように村上もスイングを始動するまでの予備動作を小さくする取り組みに着手した。
ワールドベースボールクラシック(WBC)が終わってからアリゾナに戻ったオープン戦初アーチ、そして3月27日の開幕戦で放ったメジャー初本塁打は、基本的にはコンパクトなタイミングの取り方。開幕戦では、足の上げ幅はややキャンプの時期よりも、高くなっているかもしれない。
【2】脱コンパクト期
しかし、比較的早く、村上はこのメジャー仕様の新打法を変更した。4月下旬には、日本時代のように右足を挙げながら、スイングで捻転差を生むようにひねりを入れた。
5号を放った4月14日のレイズ戦(シカゴ)では、右投手が左足を挙げたと同時に村上も右足を挙げ、間合いを計っている。ちなみに構えたバットは、地面に対して垂直に近い角度だ。(下の動画参照)
【3】オープンスタンス期
5月に入るとややオープンスタンスぎみに構えが変化した。5月中旬〜下旬には、よりオープンスタンスになり、バットは地面に対して斜め45度前後に構えた。軸足の左に長い時間体重を乗せ、投球を呼び込んで軸足回転で強くスイング。構えた時点でのグリップの位置は、顔の高さまで上がっている。やや左肩が上がり、バットのヘッドは投手方向に向く角度がついている。
村上が負傷離脱した5月29時点での20本塁打は、シーズン162試合換算では驚異の56.8本ペースだった。5月のア・リーグ月間最優秀新人に選出された。月間26試合で打率.244、8本塁打、出塁率.382、OPS.938をマークして“初タイトル”を得た。
「僕自身、自分のことをホームランバッターだと思っていますし、球団もそれを望んでいると思うので、そうなりたいと思います」
春季キャンプ中、村上は己のあるべき選手像について、そう表現した。思い描く打撃を追求すれば、見た目のフォームや動き方は変わる。理想の打撃を求める探求に終わりはない。
構えや“見た目”の移り変わりは、試行錯誤の多さともいえる。1本でも多くのアーチを描くため、村上は変化し続ける。
