メッツは、ナショナルズとの第3戦で右ハムストリングを負傷した千賀滉大投手の15日間のILリスト(負傷者リスト)入りを発表した。カルロス・メンドーサ監督は「右ハムストリングのグレード1の肉離れ。再評価は14日後」と説明した。
チームメイトがケガをする姿を見るのは、どの選手にとってもつらい経験だ。
ナショナルズとの第3戦、六回1死の場面。千賀滉大は一塁ベースカバーに入った際、右太もも裏を痛めて緊急降板となった。アロンソからの高く逸れた送球を、千賀はジャンプしながら捕球。着地しながらベースを踏んだ後に右太ももを抑えながらうずくまった。その光景に選手たちは言葉を失ったが、中でもアロンソはショックに打ちひしがれていた。
「最悪の気分。アウトを取ろうと全力でプレーしただけなんだ」とアロンソは言葉を絞り出した。
プレー直後、チームメイトたちは駆け寄って千賀、そしてアロンソを励ました。「みんなのサポートには感謝しているけれど、どれだけ声をかけてもらっても事実は変わらない。アウトは取れたかもしれないけど、代償が大きすぎた」と唇を噛んだ。
試合後、千賀は通訳を介して、アロンソのせいではないから気にするなと声をかけたものの、「送球が高すぎた。千賀はすごいキャッチをしてくれたけれど、あんな形になって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。(ケガという事実は)変わらない」とアロンソは繰り返した。
互いに全力を尽くした末のプレーで、「野球では色々なことが起きる。でも、こんな形になってほしくなかった。本当に申し訳ない」とアロンソは今にも泣き出しそうな表情で繰り返した。
千賀は昨季、右肩と左ふくらはぎのケガでレギュラーシーズンの登板はわずか1試合、ポストシーズンは3試合の登板に留まり、今季はケガなくシーズンを送ることを目標にしていた。
うずくまる千賀の背中をさすり続けた32歳のベテラン、ブランドン・ニモも「千賀は誰よりも努力して、ここまで戻ってきた。また怪我で離脱するのを見るのはつらい」と語る。
春季キャンプでは先発勢の目処が立たず、不安視されていた。しかし開幕後、チームの防御率2.87はリーグ1位と圧倒的な数字をマーク。なかでも千賀は13試合を投げ、こちらも防御率1.47のリーグトップと先発勢を牽引していた。
「ケガはシーズンを通して避けられないことだから、誰かがどこかのタイミングで離脱するかもしれないと思っていたけれど、実際にそれが起きるとショックだ。ここまで全員が順調だっただけに、今回は大きな痛手になる」とニモ。
それでもチームは歩みを止めるわけにはいかない。
「千賀が100%の状態で戻ってくることを祈っている。彼がいない間も戦い続けるけど、でも千賀が戻ってきてくれれば、シーズン終盤に必ず大きな力になると信じている」