スキーンズ、ドジャース戦で5試合ぶりのQS 寄り道で見つけた原点

6:42 AM UTC

ポール・スキーンズにとって、野球の原点はリトルリーグにある。

白球を追いかけ、勝ったり負けたり、打てたり打てなかったり。仲間と笑い合いながら過ごした、汗と笑顔が詰まった場所だ。

ドジャース戦の登板前日、スキーンズは帰宅途中に照明のついたリトルリーグのグラウンドを見つけ、ふらりと車を止めた。ただ、少しぼんやりしたかっただけだった。

「運転していたら野球場が見えたので、ちょっと立ち寄ってみようと思ったんだ。正直、気づかれないつもりでもいたけど、そうはいかなかったね」

登板日にはシャツとパンツ姿で球場入りするスキーンズ。その姿は、どこか優秀なビジネスマンを思わせる。だが、この日リトルリーグに現れた右腕は違った。少しくたびれたTシャツに短パン、履き慣れたサンダル姿。まるで夕食前に近所のスーパーへ買い物に出かけるようなラフな格好だった。目立とうとしたわけではないことは、その格好からよくわかる。

当然ながら、子どもたちはすぐにスキーンズの存在に気づき、あっという間に取り囲んだ。

「つけ髭でもつけていけばよかったかな」

真剣な表情でジョークも飛ばす。しかし、その様子から子供たちとの時間が楽しかったことがうかがえた。

今季スキーンズは、苦戦している。

開幕戦のメッツ戦では1イニングを持たずに降板。5月中旬以降は制球に苦しみ、失点が増加。一時は防御率が3点台に乗り、4試合連続で6回を投げ切れない登板が続いていた。

ルーキーイヤーは防御率1.96、2年目も1.97と圧倒的な数字を残したが、今季は14試合終了時点で2.84。一般的な先発投手なら十分に優秀な数字だが、サイ・ヤング賞候補として見れば物足りなさも残る。

そんな中で迎えたドジャース戦。相手打線には大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンらスター選手が並ぶなか、スキーンズは6回を投げて6安打2失点。5試合ぶりのクオリティースタート(QS)を記録し、エースとしての意地を見せた。

決してベストではなかった。

初回こそ三者凡退に抑えたが、二回無死からベッツにセンターオーバーの二塁打を浴びると、続くマックス・マンシーに低めのスプリットを右翼へ運ばれて先制点を許した。三回から五回までは毎回走者を背負いながらも粘り強く無失点で切り抜ける。

だが六回、フリーマンに再びセンターオーバーの二塁打を許すと、マンシーに甘く入ったチェンジアップを捉えられ、追加点を献上した。

昨季のような圧倒的な投球と比べれば、物足りなさは残る。それでも、ここ数試合と比べれば確かな前進だった。

「ここ数試合の中では、実行面も含めて一番良かったと思う。全体的にストライクゾーンへしっかり投げ込めていたし、以前よりも意図した形で投げられていた」

7三振を記録し、空振りも19個を奪った。持ち味である球威とキレも少しずつ戻りつつある。

「良い形で攻められた場面もあったと思う。全体としては悪くなかった」

この1カ月、内容と結果がかみ合わない登板が続いていたが、本人は変わらぬ姿勢を貫いている。

「これまでと同じことをやっているだけだし、準備の仕方も含めていつも通り。あまり気にしていない」

前日に車を止めてリトルリーグへ立ち寄ったのは、本当に「なんとなく」だったのかもしれない。

しかし、子どもたちに囲まれ、一緒にキャッチボールをし、野球を楽しむ姿を見たことで、少しだけリセットしたのはまちがいない。

「今は野球が仕事になっているけど、もともとはただ好きで始めたものだったということを思い出させてくれた。9歳や10歳の頃に自分たちがプレーしていた環境と同じで、フェンスも広告もなく、ただ野球を楽しむ場所だった。すごく純粋なゲームだと改めて感じた」

憧れのメジャーリーガーとの出会いに目を輝かせる子どもたち。その姿を見つめながら、スキーンズ自身もまた、野球を始めた頃の純粋な気持ちを思い出していた。ドジャース戦で見せた復調の兆しは、そんな原点回帰と相関関係があったようにも思う。