山本由伸もプール戦で違反 ピッチクロック導入による投手の苦労

8:50 PM UTC

ワールドベースボールクラシック(WBC)では、ピッチクロックが採用されている。これは試合時間の短縮やテンポの向上を目的としたルールで、投手は走者なしでは15秒、走者ありでは18秒という一定時間内に投球動作に入らなければならない。打者も時計が「8秒」を示した時点で、打者は打席に入り、投手とアイコンタクトをとる必要がある。

WBCのチャイニーズタイペイ戦で侍ジャパンの山本由伸は、アイコンタクトを取らなかったという理由で違反を取られ、ボールが一つ自動加算された。

試合時間は大幅短縮

MLBでは2023年シーズンからピッチクロックを本格導入。これにより、試合時間は大きく短縮された。

  • 2022年(導入前)平均 3時間4分前後
  • 2023年(導入後)平均 2時間40分前後
  • 2024年(導入後)平均 2時間36分前後
  • 2025年(導入後)平均 約2時間36分前後

導入初年度だけで20分以上の短縮となり、その後もテンポの良い試合運びが定着している。WBCでも同様のルールが採用され、国際大会でもスピーディーな試合進行が図られている

深呼吸をする秒数は?

観客にとって試合時間の短縮は歓迎すべき変化だが、選手、とりわけ投手にとっては難しさも伴う。走者なしでは15秒、ありでは18秒という制限に投手からは「短すぎる」との声も少なくない。

「ボールを指になじませるのに時間がかかる」「深呼吸する時間がもう一拍ほしい」など理由は人それぞれだ。リズムよく投げているときは、1秒や2秒の差は気にならないかもしれない。だが走者を背負ったり、打者にファウルで粘られたりする場面では、時間は驚くほど速く過ぎていく。

捕手からボールを受け取り、サインを確認し、ボールを馴染ませ、呼吸を整えて投球動作に入る。その一連の動作を15秒以内で完結させなければならない。

「15秒もあれば十分でしょう」と思う人もいるかもしれない。

そう感じたなら、一度、深呼吸をしてみてほしい。肩が少し上がるような深い呼吸なら約3秒、浅めでも2秒ほどはかかる。

そう考えると、15秒という時間がいかに短いかが、少し実感できるはずだ。

けん制の数にも制限が

ピッチクロック導入に伴い、けん制球の回数にも制限が設けられている。走者がいる場合、投手はけん制球やプレートを外す「ステップオフ」を合計2回までしか行うことができない。3回目を試みた場合は走者をアウトにしなければボークとなり、走者が進塁する。

実際、WBCの韓国戦では俊足のキム・ヘソンが出塁した際、盗塁を警戒したチェコの投手が3度目のけん制を行いボークを宣告される場面があった。新ルールに慣れていない投手の場合、思わず「もう一度」とけん制を投げてしまうケースもある。

一方で、走者側にとっては駆け引きの材料にもなる。俊足の選手が大きくリードを取り、けん制を誘う動きを見せることで投手の回数を使わせることができるからだ。

このルールは、投手が何度もけん制して試合の進行が遅くなるのを防ぎ、テンポを良くすることが目的だ。実際、MLBではピッチクロック導入後に盗塁数が増加。試合のスピードだけでなく、走塁の駆け引きにも新たな変化をもたらしている。

13日(日本時間14日)からの準々決勝ではピッチクロックを使った駆け引きや投手の苦労にも注目してほしい。