今季のトレード期限となる8月3日米東部時間午後6時(日本時間4日午前7時)まで、あと数日。多くの大物選手の名前がトレード候補として取り沙汰されている。
少なくとも現時点では、各選手がどの球団へ移籍するかは分からない。ただし、どの球団へ移るべきかについては考えがある。
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トレード期限を前に注目を集める7選手について、理想的な移籍先を考察する。まずはタイガースのエース、タリク・スクーバル(29)から。
成績は特記がない限り、28日(日本時間29日)の試合終了時点。
【獲得候補】タリク・スクーバル投手(29)
【理想の獲得球団】ブルワーズ
ジェイコブ・ミジオロウスキー(24)は、現在の球界で最高の投手だ。ア・リーグのサイ・ヤング賞を2年連続で受賞しているスクーバルと、愛称「ザ・ミズ」のミジオロウスキーが同じ先発ローテーションに並ぶ場面を想像できるだろうか。
ブルワーズは今季も球界屈指の強豪で2年連続でメジャー最多勝に輝く可能性も十分にある。ただ、昨年10月のナ・リーグ優勝決定シリーズでは、スター選手をそろえたドジャースに4連敗。頂点へ近づくためには、大型補強で戦力を上積みする価値がある。
その候補として、スクーバル以上の投手がいるだろうか。タイガースの左腕は今季序盤、肘の遊離物を除去する手術を受け、約6週間離脱した。それでも圧倒的な投球を続けている。29日(同30日)の最新登板を含め、16試合に先発して96回2/3を投げ、防御率2.79、116三振、わずか14四球。直近の登板でも好調を維持している。
スクーバルは今季終了後にFAとなる短期補強の“レンタル”選手だが、それでも獲得に必要な交換要員は相当なものになる。ただ、ブルワーズとタイガースはトレード相手として相性がいい。ミルウォーキーには、タイガースが求めていると報じられる、長期間保有できる若手投手と有望株がそろっている。
MLBパイプライン全体1位のヘスス・メイド内野手(19)と、ローガン・ヘンダーソン投手(24)は、放出対象外となる可能性が高い。それでも、交換要員の組み合わせを構築する余地はある。
例えば、ブランドン・スプロート投手(25)、シェーン・ドロハン投手(27)、ロバート・ガッサー投手(27)らメジャーの先発投手にルイス・ララ外野手(21=MLBパイプライン全体65位)、ジェット・ウィリアムズ内野手兼外野手(22=同77位)、ジョシュ・アダムチェフスキー外野手(21=同88位)らトップ有望株を組み合わせれば、トレードが成立する可能性はある。
(ブレント・マグワイア記者)
【獲得候補】メイソン・ミラー投手(27=パドレス)
【理想の獲得球団】パイレーツ
スクーバルを除けば、現在トレード市場で最も注目を集めている選手がミラーだ。それも当然だろう。オールスターに2度選出された球界最高のクローザーは、43試合で防御率0.81を記録。対戦打者の49.1%を三振に仕留めている。
現在は優勝を争うほぼすべての球団がリリーフ投手の補強を求めているが、その中でもミラーは別格の存在だ。10月のポストシーズンで球団の行方を変えられる選手であり、リードして終盤を迎えれば、相手の反撃機会を大きく減らせる。
移籍先として、パイレーツはどうだろうか。ピッツバーグは10年間続くポストシーズン不出場に終止符を打とうとしている。魅力ある若手の中核とオフに実施した的確な補強により、今季はポストシーズン進出争いに加わっている。
パイレーツにとって、右の救援投手は明確な補強ポイントだ。開幕時にクローザーを務めたデニス・サンタナ投手(30)は、44試合で防御率6.05に終わり、球団は戦力構想から外した。
ミラー獲得には、極めて高額な交換要員が必要になる。昨年のトレード期限で、パドレスは現在MLBパイプライン全体2位のレオ・デブリーズ内野手(19)を放出している。今回、最上位の有望株とメジャーで即戦力となる選手を組み合わせたパッケージを求めているとされる。
パイレーツには、その要求に応えられる戦力がある。ただし、簡単には手放せない選手を差し出す必要があるかもしれない。右腕セス・ヘルナンデス投手(20=全体6位)を交換要員に含めるのか。あるいは、メジャー2年目のババ・チャンドラー投手(23)はどうか。
エドワード・フロレンティーノ外野手(19=同28位)を中心とする案も考えられる。ただ、フロレンティーノは現在ハイAでプレーしているため、パドレスが求めていると報じられる水準に達するには、先発投手を加える必要があるだろう。
(ジャレッド・グリーンスパン記者)
【獲得候補】C.J.エイブラムズ遊撃手(25=ナショナルズ)
【理想の獲得球団】ヤンキース
ヤンキースは投手陣に余裕がある。特に先発陣はマックス・フリード投手(32)が復帰し、カルロス・ロドン投手(33)も近く戻る見込みだ。一方で、深刻な課題が得点力。アーロン・ジャッジ外野手(34)、ジャンカルロ・スタントン外野手(36)に加え、直近ではコディ・ベリンジャー外野手(31)も負傷している。
エイブラムズは今季、打率.294、出塁率.366、長打率.565、OPS.931、OPS+154(リーグ平均を100として打撃力を示す指標で、154は平均より54%高い)を記録。メジャートップの82打点に加え、19盗塁をマークし、2度目のオールスター選出を果たした。長打力とスピードを兼ね備え、ヤンキースが補強を必要とする遊撃を埋められる。
かつて球団トップ有望株だったアンソニー・ボルピー内野手(25)は、遊撃で期待に応えられない状況が続いている。ホゼ・カバイェロ内野手(29)は、内野の各ポジションを守るユーティリティーとして起用する方が適している。さらに、エイブラムズは2028年まで球団が保有権を持つため、現在だけでなく将来にわたって二遊間を任せられる。
これほどのスターを獲得する代償は大きい。ヤンキースは、将来の内野の中心候補であるジョージ・ロンバードJr.内野手(21=MLBパイプライン全体20位)、またはダックス・キルビー内野手(19=同58位)を交換要員の中心に据えられる。どちらもワシントンにとって、エイブラムズの後継候補となり得る。
そこにメジャーで即戦力となるスペンサー・ジョーンズ外野手(25)かジェイソン・ドミンゲス外野手(23)を加え、さらにカルロス・ラグランジ投手(23=同73位)、エルマー・ロドリゲス投手(22=同79位)、ヘンリー・ララネ投手(22)、ベン・ヘス投手(23)の中から、若手投手を1、2人組み合わせる案が考えられる。
ナショナルズが有望株ではなく、メジャーの先発投手を希望するなら、ライアン・ウェザーズ投手(26)やウィル・ウォーレン投手(27)を求める可能性もある。
つまり、今季予想外の健闘を見せながらも、将来を見据えたチームづくりを考える必要があるナショナルズには、多くの選択肢がある。一方、混戦のア・リーグで優勝を狙うヤンキースにとって、エイブラムズは打線を大きく押し上げる補強となる。
(ジェイソン・カタニア記者)
【獲得候補】リード・デトマーズ投手(27=エンゼルス)
【理想の獲得球団】ホワイトソックス
今季のホワイトソックスは、球界で最も意外性があり、見ていて楽しいチームの一つだ。3年連続で100敗以上を喫した後、今季は大きく巻き返し、ア・リーグ中地区で2位ガーディアンズに1.5ゲーム差をつけて首位に立っている。
さらなる戦力向上へ、最も明確な補強ポイントの一つが先発ローテーションだ。先発陣の防御率4.35は、メジャー全体で下位半分に位置する。一方で、今季限りの短期補強のために有望株を大量に放出し、将来性のある若手の中核を崩すことは避けたい。
そこで候補となるのがデトマーズだ。
エンゼルスの左腕は2028年まで球団が保有権を持ち、FAとなるのは2029年。防御率4.02だが、9三振以上を記録した先発登板が5度あり、圧倒的な投球も随所で見せている。切れ味鋭いスライダーとカーブを武器に、三振率は28.3%。規定投球回に達している投手では10位に入る。
ホワイトソックスは、MLBパイプライン全体16位のケイレブ・ボネマー内野手(20)を放出する考えはないかもしれない。ただ、球団には若手内野手が豊富にそろっている。メジャーではコルソン・モンゴメリー内野手(24)、チェイス・マイドロス内野手(25)、ミゲル・バルガス内野手(26)、村上宗隆内野手(26)が主力を担い、マイナーにはボネマーと2026年ドラフト全体1位のロック・チョロウスキー内野手(21)が控えている。
2025年ドラフト1巡目指名で、球団有望株ランキング3位のビリー・カールソン内野手(20)を交換要員の中心に据える案も考えられる。
獲得に必要な代償は大きく、そもそもエンゼルスがデトマーズの放出に応じる必要もある。それでも、両球団にとって理想的な組み合わせとなる可能性がある。
(マックス・ラルフ記者)
【獲得候補】ルイス・アラエス二塁手(29=ジャイアンツ)
【理想の獲得球団】レイズ
アラエスは打率.325で、マーリンズのオット・ロペス内野手(27)に次ぐナ・リーグ2位。自身4度目の首位打者を狙える位置につけている。持ち味のバットコントロールは今季も球界最高水準。規定打席到達者の中で三振率4.5%、空振り率7.9%はいずれもメジャー最少となっている。
今季は過去のシーズン以上に総合的な価値も高まっている。fWAR(控えレベルの選手と比べて何勝分の貢献をしたかを示すファングラフス版の指標)はすでに3.6に達し、2023年に記録した自己最高の3.4を更新した。
その大きな要因が守備だ。ロン・ワシントン内野守備コーチ(74)の指導を受けて二塁へ移るとOAA(平均的な野手と比べて、守備でいくつアウトを増やしたかを示す指標)でプラス10を記録。メジャー上位2%に入っている。
一方、レイズはヤンディ・ディアス内野手(34)、ジョナサン・アランダ内野手(28)、ジュニオール・カミネロ内野手(23)の「ビッグ3」を支える打者を探しており、二塁は弱点だ。レイズの二塁手は合計でwRC+91(リーグ平均を100として得点創出力を示す指標で、91は平均より9%低い)。ファングラフスの予測では、シーズン残りの二塁手の攻撃力はメジャー24位となっている。アラエスを加えれば、状況は確実に変わる。
さらに、レイズの三振率19.1%はメジャー最少。アラエスが加入すれば、コンタクトを重視する打線は、相手投手にとって一段と攻略が難しくなる。
レイズは充実したマイナー組織を生かし、トレード期限では積極的に動くとみられている。マイナー上位カテゴリーには、ルール5ドラフト(他球団の有望選手を一定条件で獲得できる制度)の対象となる時期が近い選手も多い。
球団有望株ランキング5位のブロディ・ホプキンス投手(24)、同7位のマイケル・フォレット投手(22)ら複数の若手を組み合わせ、今季終了後にFAとなるアラエスの獲得を目指す案も考えられる。
(ジャレッド・グリーンスパン記者)
【獲得候補】ケビン・ゴーズマン投手(35=ブルージェイズ)
【理想の獲得球団】ブレーブス
ここではゴーズマンをドジャースへ移籍させ、山本由伸投手(27)、佐々木朗希投手(24)、そして願わくば大谷翔平投手(32)とともに、人類が知る限りのあらゆるスプリットを先発ローテーションにそろえる案にも心を引かれた。しかし、より先発投手を必要としているのはブレーブスだ。そのため、今回はゴーズマンのアトランタ復帰を理想案とした。
忘れている人もいるかもしれないが、ブレーブスは以前にもゴーズマンをトレードで獲得している。2018年のトレード期限にオリオールズから加入した。ゴーズマンは同年のシーズン終盤、ブレーブスで好投した。当時は、後にブルージェイズで先発陣の柱となるよりもはるかに前だった。
現在に話を戻そう。今季は4勝10敗、防御率4.51、121回2/3で123三振でゴーズマンにとって最高のシーズンではない。それでも、地区首位に立ちながら、クリス・セール投手(37)に続く実績ある先発投手を切実に必要とするブレーブスにとって、今季限りの短期補強として理にかなっている。
ブレーブスのアレックス・アンソポロス編成本部長(49)も最近、こう話している。
「ポストシーズンで先発を任せられる投手が市場に出れば、すぐに獲得へ動く。その方針は、かなり明確だったと思う」
では、35歳で今季は好不調の波がありながら、通算では申し分のない実績を誇り、昨年10月にはリーグ優勝を果たしたチームで大きな役割を担った投手の交換価値は、どの程度になるのか。
ブルージェイズが若手投手の補充を望むなら、アトランタには交換要員となり得る選手がいる。球団有望株ランキング7~15位に入る3A投手のうち、オーウェン・マーフィー投手(22)、ルーカス・ブラウン投手(24)、ヘリック・ヘルナンデス投手(22)、ブレイク・バークハルター投手(25)、ドルー・ハッケンバーグ投手(24)、ロルディ・ムニョス投手(26)の6人から、複数を組み合わせることができる。
(デービッド・アドラー記者)
【獲得候補】ルイス・ロベルトJr.外野手(28=メッツ)
【理想の獲得球団】フィリーズ
ロバートはホワイトソックス時代の2023年、打率.264、38本塁打、20盗塁、OPS.857を記録してオールスターに選出され、スター候補として台頭した。しかし、その後の3年間は度重なる負傷に見舞われ、OPS.660にとどまっている。メッツはオフに、ルイスアンヘル・アクーニャ内野手(24)とトルーマン・ポーリー投手(22)とのトレードで獲得したが、ロバートが全盛期の打撃を取り戻せるか不透明だ。
それでも復活すれば、長年にわたって外野手の補強を求めているフィリーズにとって、獲得する価値は十分にある。新人のジャスティン・クロフォード外野手(22)は中堅を守っているが、OPS+73(リーグ平均を100として打撃力を示す指標で、73は平均を27%下回る)と打撃面で大きな貢献はできていない。
ロバートの成績も大幅に上回っているわけではないが、長打力があり、左打者の多いフィリーズ打線に右打者として加わる点でも相性がいい。フィリーズの右打者は合計OPS.646で、メジャー最下位となっている。
ロバートは今季、腰椎椎間板ヘルニアの影響で31試合の出場にとどまっている。契約には2027年の球団オプション2000万ドル(約32億7000万円)があり、行使されない場合は200万ドル(約3億2700万円)の違約金が支払われる。負傷歴と打撃不振も踏まえれば、トレードで必要となる交換要員は大幅に抑えられるはずだ。
比較的層が薄いフィリーズのマイナー組織から、球団有望株ランキング7~12位の選手を2人ほど組み合わせる案が考えられる。球団9位のモイセス・チェイス投手(23)や、同12位のグリフィン・バークホルダー外野手(20)らが候補となる。
(テオ・デローサ記者)