【記者の目】大谷翔平、4度目のMVPは完全復活への序章

2026年は二刀流の“完成”へ

November 14th, 2025

完成ではない―大谷翔平は進化の途中、来季は二刀流完全体のシーズンへ

3年連続、通算4度目のMVPを受賞した。満票での選出。普通なら、全盛期であり、野球選手として完成された証といえるだろう。しかし、前人未到の快挙に到達しながらも、大谷翔平という野球選手は、未完成だ。

2度目の右肘手術から復帰し、戦い抜いた今季は進化の過程だった。来季は、完全な二刀流としてフルシーズンに挑むシーズンだ。

打者として打率.282、出塁率.392、長打率.622、OPS1.014、自己最多の55本塁打、102打点、20盗塁。どの項目もトップクラスの打撃指標を残した。投手としては14先発、防御率2.87、47回で62三振、9四球、WHIP1.04。レギュラーシーズンの公式戦でリハビリ登板を兼ねた。インング数や球数は制限されたが、内容は支配的だった。
二刀流を制限付きで続けながら、結果を残し、チームを地区優勝に導いた。レギュラーシーズンが評価対象のMVP投票。投打ともに進化の途中でありながら、満票という圧倒的な支持を得た。

投手としてはドジャース移籍1年目の昨季をリハビリに費やし、2年目の今季は完全復活への序章。バッティングでは、自己最多の55本塁打を放ちながら、「すごく感覚がいい、というのは今シーズンはあまりなかった」と絶好調を自認する期間はなかった。今季は二刀流を再構築するための1年でもあった。

32歳を迎える来季、二刀流として「完成」に向かう。ドジャース首脳陣は開幕から先発ローテーションに戻す方針だ。

30歳を過ぎると、野球選手としては一般的に心技体でピークを迎える。30代中盤になれば、体力的には下り坂になってもおかしくないが、投打の技術は成熟期に向かい、二刀流はさらに洗練される時期に向かうだろう。調整と体力回復のバランスを科学的に管理しながら、シーズン全体でパフォーマンスを維持する方法を探っている。

MVPの定義は「最も価値ある選手」。優秀な個人成績を選ぶか、優勝チームの主力を選ぶのか。いつも議論された。しかし、大谷にその論争はいらない。圧倒的な個人成績で地区優勝に導いたからだ。大谷の加入前から、ドジャースは常勝軍団だった。大谷は勝ち慣れたチームにさらなる勝利への渇望、ハングリー精神、爆発力をもたらした。勝ち続けてもなお、まだまだ勝ちたい情熱や衝動は大谷がもたらした新たな文化だ。今までも強かったドジャースが「最強」になったのは“大谷効果”があったからこそ。それが、ポストシーズンでチーム全体の勝負強さにつながった。

野球ファンは、これから「さらにすごい大谷」を目にするだろう。2026年、投手として完全復活のシーズンを迎え、ドジャースの2シーズンで109本塁打のスラッガーは打撃技術を高め続けている。普通なら、3年連続でMVPを獲得した今が全盛期。だが、違う。大谷の目標はMVPの連続受賞でも、日本選手初のサイ・ヤング賞でもない。ワールドシリーズ制覇を目指しながら、世界一の選手になることだ。終わりのない向上心がある限り、二刀流の「完全体」はまだ未来にある。