佐々木朗希は次世代の大物か?

彼がメジャーリーグで成功する3つの理由

March 10th, 2025

佐々木朗希がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、世界の舞台を圧倒的に支配する姿を私たちはすでに見ている。メジャーリーグに挑む彼は、新天地でどのような活躍を見せてくれるのだろうか?世界トップクラスの投球を武器に、佐々木朗希は勝つために日本からやって来る。

2024年のサイ・ヤング賞が11月に発表され、クリス・セールとタリク・スクバルがその実力を証明した。しかし、次のサイ・ヤング賞受賞者が、すでにその道を歩み始めているかもしれない。「令和の怪物」佐々木朗希が、ドジャースと契約し、メジャーリーグにやって来る。佐々木の怪物のような恐るべき投球を見てみよう。

日本でマウンドを支配してきた23歳の速球派投手は、MLB(メジャーリーグベースボール)でも同様に活躍できるほどの衝撃的な武器を備えている。国際舞台でそれを示したのは、2023年のワールド・ベースボール・クラシック、チェコ共和国戦とメキシコ戦。彼は2試合に先発し、スタットキャスト(データ解析システム)がそのデータを追跡した。つまり私たちは、佐々木に関するデータをすでに持っているということだ。その初期の数値からは、なぜ彼がメジャーリーグに挑戦する日本人のスーパースターの中で、最も熱望される存在の一人なのか、そしてなぜすぐにサイ・ヤング賞の候補になり得るのかが見えてくる。

MLBで佐々木がどのような活躍を見せてくれるのか、少し紹介したい。

1) メジャーリーグで際立つ高速フォーシーム
佐々木のWBCでのフォーシーム(直球)は平均100.3マイル(約161.4キロ)。最速101.9マイル(約164キロ)は3度マークした。

速球65球の追跡データのうち、47球 (72%、およそ4分の3)が100マイル(約160.9キロ)を超え、そのうち12球は101マイル(約162.5キロ)以上だった。

2024年のメジャーリーグを見てみよう。シーズンを通して100マイル(約160.9キロ)を超える速球をこれほど多く投げた先発投手は、ポール・スキーンズのみ。彼はメジャーリーグ史上、最も期待されている投手の一人として、佐々木のライバルとなるであろう天才だ。スキーンズはルーキーシーズンに100マイル(約160.9キロ)超えを、ちょうど100球記録している。

された腕の問題だけでなく、腹斜筋の故障の影響かもしれない。もし佐々木が万全な状態でメジャーリーグに臨み、球速が再び戻るようなら、驚異的なパフォーマンスを期待できるだろう。

佐々木がWBCで記録した最速は101.8マイル(約163.8キロ)で、ランディ・アロザレーナを圧倒した。佐々木はストライクゾーンの真ん中に投げたが、それでもアロザレーナは捉えることができなかった。

また、佐々木は101.3マイル(約163キロ、チェコ共和国代表ウィリー・エスカラの三振)、同じく101.3マイル(約163キロ)、100.7マイル(約162.1キロ)、100.2マイル(約161.3キロ)、100.1マイル(約161.1キロ)の速球でも空振りを奪い、投球全体で35%の空振り率を記録した。

さらに、WBCで佐々木が投げたフォーシームのムーブメント(変化)には驚かされる。縦の変化は平均17インチ(約43.2センチ)で、これは空振りを誘いやすい“ライジング”ファストボールとしては平均以上。また、アームサイド(投手の利き腕側)への横の変化は12インチ(約30.5センチ)だった。

佐々木が先発したWBC準決勝対メキシコ戦は、マイアミのローンデポ・パークで行われ、高速カメラによる動作解析システム「ホークアイ」によって追跡された。それにより、打者に向かってうなりを上げる佐々木の剛速球を、3D化された映像で確認することができる。

もし佐々木がWBCで見せたような速球をメジャーリーグに持ち込めば、トップクラスのパワーピッチャーたちが投げるような、超一流の快速球になることは間違いない。

ただし、懸念材料もある。短期間のトーナメントでは投手は全力で投げられるが、フルシーズンを通しての投球では速度や変化をどこまで維持できるかという点だ。2024年のNPB(日本野球機構)のシーズン中、佐々木の速球が減速したことが報告されている。

利 用 可 能 なNPBの デ ー タ に よ る と、WBC後 の2023年シーズンでは、フォーシームは平均99マイル(約159.3キロ)を記録していたが、2024年シーズンでの平均は97マイル(約156.1キロ)をわずかに下回った。これは、腕の痛みまたは肩の疲労として報告。

2) 佐々木のスプリッターは世界最高クラス
100マイル(約160.9キロ)を超える速球も目を引くが、佐々木の投球の真骨頂はスプリッターにある。

おそらく、すでに世界屈指のスプリッターであり、2025年にはメジャーリーグで最高のスプリッターになる可能性がある。

WBCでの佐々木のスプリッターの平均球速は90.9マイル(約146.3キロ)。最速は93マイル(約149.7キロ)に達し、アレックス・ベルドゥーゴから空振りを奪った。

2024年のメジャーリーガーで、平均球速が90マイル(約144.8キロ)以上のスプリッターを投げた先発投手は、エンゼルスのホセ・ソリアーノ(92.6マイル、約149キロ)、レイズのタジ・ブラッドリーとドジャースの山本由伸(いずれも90.2マイル、約145.2キロ)の3人のみ。スキーンズの94マイル(約151.3キロ)の「スプリンカー」も加えてもいいだろう。(分類上シンカーとされているが、スプリッターの動きを持つハイブリッドな球種)

佐々木の高速スプリッターの変化は、実に驚異的だ。WBCでの縦の変化は、平均33インチ(約83.8センチ)に達した。動く幅に関しては特殊で、佐々木のスプリッターは時にフェードし、時にカットする。どちらにも変化する可能性があり、打者にとってはさらに打ちにくい球となる。

WBCで対戦した打者たちのスイングが、その難しさを物語っている。佐々木はスプリッターで60%の空振り率を記録。30スイングのうち18回の空振りを奪い、うち奪った8個の三振はすべて空振りだった。

この驚異的な空振り率は、その後の日本プロ野球シーズンでも変わらなかった。2023年のWBC後の球速は90マイル(約144.8キロ)前後で、2024年は88マイル(約141.6キロ)ほどと、速球と同様に球速は若干低下したものの、スプリッターでの空振り率は、2023年は52%、2024年は57%だった。

佐々木はそのままの勢いで、MLBでも空振りを奪えるだろう。事実、佐々木はWBCで、多くのメジャーリーガーを手玉に取っていたのだから。

スキーンズの「スプリンカー」がそうであるように、佐々木にも100マイル(約160.9キロ)の速球をもしのぐ見事な変化球がある。これまでMLBにエリートスプリッターを持ち込んできた日本の名投手たち、大谷翔平、山本由伸、今永昇太、千賀滉大の中でも、佐々木のスプリッターは最高級かもしれない。

3) スライダーの恐ろしい潜在能力
佐々木は驚異的な速球とスプリッターのコンビネーションにより、ワールド・ベースボール・クラシックではスライダーをほとんど必要としなかった。

しかし、彼はスライダーも投げることができる。メジャーリーグでも使える優れた第3の球種として、可能性を秘めている。特に、多くのMLBのエースたちが投げるような、強烈な弾丸のようなスライダーを習得できれば、彼の能力はさらに引き出されるだろう。

WBCでの佐々木のスライダーは、力強いスライダーとカッターのハイブリッドに近い球質で、平均球速は88マイル(約141.6キロ)。横方向への変化は約6インチ(約15.2センチ)と、かなり鋭い動きを見せた。

そして、この球種でも多くの空振りを奪った。例えば、88.2マイル(約141.9キロ)のスライダーでアロザレーナのバットが空を切った場面や、チェコ共和国代表のマルティン・ムジークから89.1マイル(約143.4キロ)のスライダーで奪った空振り三振。佐々木が2023年に見せたように、速球、スプリッター、そしてスライダーのすべてを機能させれば、MLBは若き偉大なエースの誕生を目撃することになるだろう。

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