【ドジャース5−1レッズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、8月27日(日本時間28日)
大谷翔平(31)は中6日で今季11度目の先発。今季最長の5イニングで同最多の87球を投げ、2安打1失点、今季最多の9三振の好投で右肘の手術から復帰後、初勝利を挙げた(1敗)。勝利投手になるのは、エンゼルス在籍時の2023年8月6日のジャイアンツ戦以来、749日ぶりとなった。打撃では5打数1安打だった。ドジャースは4連勝。レッズは今季ここまで唯一スイープ負けがなかったが、3連敗を喫した。
うれしかった。安心した。2度の右肘手術から、復活の白星。だが、自身が勝利投手になったことよりもチームが勝ち、先発投手として球数制限下で5イニングの責任を果たしたことが、大谷の心を満たした。749日ぶりの勝利。投手として完全復活は、あと少しだ。
「勝ち星はもちろん打線との兼ね合いがあるので、あんまり気にしてもしょうがない。前回、前々回、5イニング投げきりたいなっていう中で、なかなか球数もかさんで、ヒットも打たれて、投げ切ることができなかった。今日改めて5回まで投げ切ったこと一番いい」
試合後のクラブハウス。派手なお祝いムードはなかった。クラブハウス外の廊下での会見。多くのメディアに囲まれている大谷を横目に選手たちは、身支度を済ませると帰途についた。会見の一問目。特別なお祝いはあったのか? と聞かれた。「いつも通りです。あしたオフなのでみんな早く帰って、休みましょう、ということです」。久しぶりの勝利の余韻は、ほとんどない。シャワーを済ませると帰宅を急いだ。
投手復帰後、11度目の先発で初めて5イニングを投げ、球数は最多の87球を数えた。公式戦で投げているが、来季以降から1年間ローテーションを守り、1登板で100球をメドに投げるプロセスの途中だ。段階を踏む明確な意図が配球に現れた。
「元々(どの球種をどれくらいの割合で投げるのか)決めていた。打線の反応がどうこうというよりは、今日はカーブ、スプリットをメインに投げていく、と決めていきました」
カーブは23球(使用率26%)でスプリットは11球(同13%)。直球の強度が上げられることは、すでに確認済みだ。打者を抑えることを最優先にしながら、実戦で球種をいかに精度高く投げるか。完全復活へ、最終フェーズだ。
「リハビリの段階としてはまず第一は真っすぐ、ファストボール(ツーシームなどの速球系)をしっかりいい球速で投げ切ることが一番。ドクターとそういうコミュニケーションの中でやってきて、カーブやスプリットは最後の段階。これがしっかり投げ切れれば、自分の中でフルでいけるんじゃないかな、っていう自信がしっかり持てる」
勝利投手の権利を得た五回。先頭打者として準備に向かう背番号17にロサンゼルスのファンは拍手を送った。復帰の1勝を地元ファンも願っていた。しかし大谷本人は「感極まるところはないですけれど、打席がその後も、もちろんあるので、そこ」と投手から打者へ集中を切り替えた。
打線は四回に5本のシングルヒットを集め、4得点。大谷を援護した。
「すごくしんどかったというよりかは2回目の手術の後に本当に元のように投げられるようになるのかな、っていう不安みたいなものはありました。投げていくごとに自信も増えていますし、今日もそういうプロセスの中の一つ。うーん、すごく落ち込むっていうことはなかった」
ロバーツ監督は次回先発でも5イニングを予定していると明かした。球数が少なくても、6イニング目にはいかず、慎重にステップアップする。大谷は地区優勝争いの最終盤、ワールドシリーズ連覇を目指すプレーオフに向けて、投手として完全復活する。
