2025年、MLB開幕の第1球。今永は第1球に93マイル(150キロ)の直球を投じた。対する打者は、大谷翔平(30)。ストライクで注目の対決が始まった。結果は、二ゴロに打ち取ると、この回をわずか9球で三者凡退に抑えた。二回と四回に2つのフォアボールを与える“珍事”。今永のメジャー移籍後、1試合4四球は30度目の先発登板で初めてだった。
「いつもは失点を計算しながら(マウンドに)上がるんですけど、きょうの登板に関しては無失点をかなりフォーカス(集中)していたので、球数を使いながら何とか無失点で抑えられたらいいなと思って投げていました」
初回、三回は三者凡退。注目された大谷との対戦は、2打数無安打(二ゴロとセカンドライナー)に抑え、通算対戦成績を7打数ノーヒットとした。「鋭いスイングでしたし、1番打者として、彼のような打者がいるのはものすごく自分にとってはタフだと思います」。三回1死で迎えた大谷との第2打席では、2球目にクイックモーションで投げるなど工夫を凝らした。昨季のワールドシリーズチャンピオンに対して、先取点を与えないことを強く意識した。
「山本投手が相手なので(先に)1点を取られると彼はすごく波に乗る。彼は自分のチーム鼓舞できる投手なので点を与えるということは相手に流れがいく」
味方打線は二回に1死からスワンソンのセンター前ヒット、2死後に8番アマヤが右中間にタイムリー二塁打を放って先制した。1−0の四回には2死一、三塁のピンチを招くもコンフォートをレフトフライに打ち取った。
「きょうの直球に関してはものすごく自分の中で手応えがありましたし、これくらいの真っすぐを最低ラインに保っていればいつでも自信を持って投げられることは勉強になった」
昨季の直球の平均スピンレート(回転数)を上回った今季初マウンド。好感触を日本から“手土産”に米国に戻り、次回先発ではチームを勝利に導く。
「僕にとってのミッションはふたつ。まずはいいゲームをすること、もう一つはこの試合にチームが勝利すること。一つのいいゲームをするということはできたと思うんですけど、もう一つの試合に勝つことはできなかった。これはアメリカに持ち帰ってチャレンジしたい」
今永がエースの役割と責任を果たすことができれば、カブスは2020年以来、5年ぶりのプレーオフ進出に近づくはずだ。