<ベネズエラ8−5日本>マイアミ/ローンデポパーク、3月14日(日本時間15日)
九回2死、走者なし。
最後の打者として打席に立ったのは、大谷翔平。
カウント1―2からの4球目。振り抜いた打球が高く上がると大谷はわずかに顔をゆがめ、頭を下げて一塁へゆっくり歩を進め、打球が野手のグラブに収まると、侍ジャパンの連覇の夢がその瞬間に散った。
ワールドベースボールクラシック、ベネズエラとの準々決勝。侍ジャパンの山本由伸とベネズエラの左腕レンジャー・スアレスが先発した。メジャーでも実績のある2人の登板に投手戦が予想されたが、試合はプレーボール直後から思わぬ展開を迎える。
初回、山本は先頭のアクーニャJr.にいきなり先制ソロを浴びた。
だがその裏、日本の先頭打者として打席に入った大谷が、すぐさま意地を見せる。4球目の低めスライダーを捉えた打球はぐんぐん伸び、そのままスタンドへ。「先頭打者弾返し」となる同点ソロ。球場は一瞬で歓声に包まれた。
大谷の一発を膝に手をついて見送った右翼を守るアクーニャJr.は、「色々な感情が湧き起こった。試合では、一つひとつのプレーが試合を大きく左右するから。大谷はスーパースターで超人のような存在でいつも彼には驚かされる」と率直な言葉を口にした。
1点を追いかける三回、侍ジャパン打線が流れをつかむ。大谷が申告敬遠で1死一、二塁で佐藤輝明が同点の適時二塁打を放つと、続く森下翔太がスアレスの低めチェンジアップを右翼席に3ラン。日本は一気に3点を勝ち越し、試合の主導権を握った。
しかし、ベネズエラも強力打線の本領を発揮。五回に3番手隅田が2番ガルシアに2ランを浴びて1点差に迫られると、六回に4番手として登板した伊藤が無死二、三塁のピンチを背負い、アブレウに右翼席上段へ逆転3ランを叩き込まれ、試合は5―7と一気にひっくり返る。さらに八回には守備の乱れも絡んで追加点を失い、日本は3点を追う展開に。
そして、迎えた九回2死から最後の望みを託されたのは、大谷。
侍ジャパンの攻撃は大谷の一発で始まり、大谷の打席で終わった。