ベネズエラ代表の準々決勝で先発候補として発表されたのが、左腕レンジャー・スアレスだ。平均93マイル(約150キロ)のフォーシームを中心にシンカー、チェンジアップ、カットボール、カーブ、スライダーと6種類の球種を自在に操る技巧派。
2024年、2025年と2年連続で2ケタ勝利を挙げ、メジャー8年間の通算防御率は3.38(※2020年の防御率20点台が平均を押し上げている)。さらにポストシーズンでは4年間で11試合に登板し、防御率1.48と短期決戦にも強い。
スアレスは、速球と同じ腕の振りから繰り出すチェンジアップを軸にカットボール、カーブ、スライダーを織り交ぜて緩急をつけ、打者に狙い球を絞らせないのが特徴だ。制球力にも優れ、特に左打者に対してはシンカーを軸に内角へ食い込む軌道でゴロを打たせる。体勢を崩させたり、チェイス(ボールゾーンをスイングさせること)を誘ったりする投球術にも長けている。
フィリーズの野手たちが「レンジャーはいつもレンジャーの投球をする」と表現するように、力で押すというより、巧みに交わしながら打者を翻弄するスタイルだ。
昨季のレギュラーシーズンのWHIP(投球回あたりの与四球+被安打)は1.22と平均的な数字だが、左打者に対しては0.94と高く、さらにポストシーズンでは左打者相手に0.43と圧倒的な数字を記録している。
侍ジャパンの主力では、大谷翔平と鈴木誠也がスアレスと対戦経験がある。大谷はレギュラーシーズンでは2打数1安打、1三振、1四球(打率.500、OPS1.667)と互角の成績だが、昨季ポストシーズンでは3打数無安打1三振に抑えられた。
一方、鈴木は6打数2安打(うち三塁打1本)、2三振、1四球(打率.333、OPS1.167)。対戦数は多くないものの相性は悪くない。侍ジャパンは左打者が多いだけに、右打者がいかにスアレスを攻略できるかが鍵を握りそうだ。
コーナーを丁寧に突き、バットの芯を外すことで強い打球を抑え、長打を打たれにくい。四球も少なく、安定感のある試合運びが持ち味だ。先発の役割をしっかり果たす安定感と多彩な球種と緻密な投球術で、ベネズエラのエースが日本戦に挑む。