来年開催のWBC(ワールドベースボールクラシック)に向け、米国はヤンキースのアーロン・ジャッジを、プエルトリコはメッツのフランシスコ・リンドアをそれぞれ主将に任命し、タイトルを目指してチームづくりを始めた。
そんな中、ブルージェイズの主軸ボー・ビシェットは母マリアナさんの母国であるブラジル代表として参加意志を表明した。ビシェットは、メジャー274本塁打の実績を持つ米国人の父を持ち、米国での出場権も持つが、いち早く声をかけてくれたブラジルでの参加を決めた。
今年3月に開催された第6回WBC予選では、兄ダンテがブラジル代表の一員として本選出場権を獲得に貢献した。2017年にも兄弟でブラジル代表として予選に出場したが、WBC本戦出場に野球ファンのブラジルに住む親類も今から大会を心待ちにしている。
「家族全員にとって、僕たち兄弟が出ることはとても大きな意味を持つ。勝利に貢献して、ブラジル野球に少しでも注目が集まるようにがんばりたい」
本選を楽しみにする一方で、ビシェットはブラジルの野球人口が年々減少していることを危惧する。「ブラジル野球に少しでも注目を集めたいんだ。ブラジルには素晴らしい選手がたくさんいるし、いつか彼らがメジャーで活躍してくれることを願っているんだ」
メジャーで活躍した偉大な父を持つが、子供の頃の夢は日本のプロ野球選手だった。幼い頃、リトルリーグのワールドシリーズに出場した兄ダンテを応援に行った際、対戦相手の日本のチームのキビキビしたプレーに憧れた。
「かっこよくて、僕も彼らと野球がしたいと思った。母に『どうしたら日本でプレーができるの?』と質問攻めにしたのを覚えているよ」と笑う。
日系人がブラジルで野球を広め、予選のメンバーも日本ゆかりの選手が多数出場した。
サンパウロ出身の元プロ野球選手で、現在はヤクルトの一軍外野守備走塁兼作戦コーチを務める松元ユウイチ氏が監督を務めるほか、日本のプロ野球経験者も多い。
ビシェットはブラジル代表のショートとして、プロ野球経験もある選手たちと「キビキビしたプレー」で二遊間を守る。
「WBCは野球にとって素晴らしいイベントだと思う。国と国との対戦は野球ファンだけでなく、一般のファンからも注目を集める最高の方法だと思う」
メジャーリーグでブラジル出身もしくはビシェットのように縁のある選手は多くない。
「今季、自分以外にメジャーにいるのか分からないけれど、もしいたらチームに勧誘するよ。『ブラジルのために一緒に戦おうぜ』って言うんだ」