進路が注目されるスタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(23)が参加中の米球界の「ドラフト・コンバイン」。2021年から開催され、今回で6回目を迎える。7月に開催されるMLBドラフト候補選手が一堂に集まり、各球団のスカウト、編成担当者の前で実力を示す評価イベントだ。
日本のプロ野球の入団テストとは異なり、すでにドラフト候補として注目されている高校生、大学生らが、ドラフト直前に主催者から招待を受け参加する仕組みで、自分の価値を再確認してもらう場といえる。米国大陸は広く、各球団のアマチュア・スカウトが各地で直接視察できる機会は限られる。そのため、有力選手を1カ所に集め、“品評会”を開催することは、最終チェックとして効率的で球団と選手の双方にメリットのあるイベントだ。日本には同様のシステムはないため、日本の野球ファンには、なじみがないイベントかもしれない。
2026年のMLBドラフト・コンバインは6月23日から26日まで、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドで開催されている。参加予定は334人。内訳は大学生194人、高校生140人で、MLBパイプラインのドラフト候補トップ200に入る選手のうち192人が参加予定とされている。イベントでは打撃、守備、走塁、投球の実演に加え、メディカルチェック、身体能力測定、バイオメカニクス測定(投球・打撃フォームなどの動作解析)、球団との面談などが行われる。球団側にとっては、試合成績や映像だけでは分からない部分を直接確認できる機会だ。
昨年ソフトバンクから1位指名を受けたスタンフォード大の佐々木も参加している。岩手・花巻東高時代に高校通算140本塁打を放った左の大砲は、高卒でドラフト1位候補といわれたが、日本でプロ入りせず、スタンフォード大学に進学した。NCAA(全米大学体育協会)の1部リーグのレギュラーシーズンは52試合で打率.261、16本塁打、出塁率.404、OPS.962をマークした。プレーオフ2試合との合計では54試合で打率.262(206打数54安打)、16本塁打、47打点、45四球、50三振、、出塁率.403、長打率.549、OPS.952だった。
4月に21歳になったため、7月のMLBドラフトの対象選手となるが、米主要メディアのドラフト評価は大きく割れている。D1Baseball系では全体43位と高い評価を受ける一方、ESPNでは153位、パーフェクトゲームでは361位、ベースボール・アメリカでは少なくともトップ150外だ。日本では1位指名されたが、MLBでのドラフトでは1巡目指名はされないだろう。1巡目は投手や内野手の場合が多い。一塁手やDHをレギュラーとする選手としては、佐々木ほどの打力があってもアピール不足と映る可能性がある。評価が上振れすれば2巡目、現実的には5巡目前後、評価が伸びなければさらに下位指名となるかもしれない。MLB公式サイトでは「7〜12巡目(全体194〜373位の範囲)付近での指名が予想されている」と伝えた。
佐々木のドラフト・コンバイン参加の意義はメジャー球団が評価をする一方、佐々木としても米球界での将来をイメージすることができるか、どうかを判断する契機になるはずだ。MLBを目指すべきか、ソフトバンクに入団するか。各球団と面談を経て共有する育成プランに納得ができれば、あるいは佐々木自身がマイナーからメジャーを目指すモチベーションが沸き立てば、MLBドラフトを待つことになるだろう。米球界では、日本と異なり「即戦力」としてドラフトから入団することは、ほとんどない。大卒のトップ有望株でも2〜3年はマイナーリーグで出場機会を得ながら、心身の強化に時間を使うことが一般的だ。
実技では長打力だけでなく、一塁守備、体の動き、コンディション、面談での受け答えまで含めて、MLB球団に自分を直接プレゼンできる。昨年のNPBドラフトではソフトバンクから1位指名を受けているが、ドラフト・コンバイン参加がソフトバンク入団の可能性を消すわけではない。ただ、佐々木としては米球界のドラフト市場で自分がどのように評価を受けているのか、仮にMLB球団に上位、下位指名に関わらず入団したあとは、どんな未来を描くことができるのか。各球団としても選手を適切に評価できる機会であり、選手は野球人生を懸ける進路決定の重要な判断材料にできる。
日本か米国か。佐々木麟太郎は少なくとも1カ月後には決断する。
