パドレスの松井裕樹(30)には、ホームのサンディエゴのファンから親しまれる呼び名がある。「Chef Yuki(シェフ・ユウキ)」だ。
英語の「chef」は料理人、特にプロの料理人を指す。もちろん松井が球場で料理をするわけではない。背景には、米国のスポーツやSNSで定着した「cook」というスラングがある。
「Let him cook」は直訳すれば「彼に料理させろ」。だが、実際には「彼に任せろ」「得意な仕事を続けさせろ」というニュアンスだ。「He’s cooking」なら、選手が好調で自分の仕事を次々と成功させている状況を表す。野球だけの専門用語ではなく、スポーツやネット文化で広く使われている表現だ。
日本語でも、投手が打者を巧みに抑える際に「料理する」と表現することがある。英語圏の「cook」にも、相手を圧倒したり、好調な選手が仕事を続けたりする意味があり、松井の「Chef Yuki」は日本の野球ファンにも感覚的に伝わりやすい愛称だ。
野球界にもすっかり浸透している。スポーツカード会社大手のToppsは2024年の「Topps Baseball Update Series」で「Let Him Cook」というカードを発売。大谷翔平(32)、フェルナンド・タティスJr.(27)、山本由伸(28)ら現役スターをラインアップし、Topps自身も「cooking」を好調なパフォーマンスになぞらえて説明している。
松井の場合、メジャー1年目の2024年4月中旬には、パドレスのファンコミュニティーで「Let him cook」「The chef is cookin」といった表現が登場していた。
2026年8月には、サンディエゴのスポーツラジオ番組「Ben & Woods」が松井を自然に「Chef Yuki」と紹介。単発のネットミームを越え、地元メディアにも通じる呼び名となっている。
マウンドで打者を抑えるたび、「シェフ」がまた一皿を仕上げる――。そんな米国らしい言葉遊びが、松井とパドレスファンをつなぐニックネームになっているようだ。
13日(同14日)のジャイアンツ戦では6−4の九回に登板し、1回を投げ1安打無失点。今季初&MLB通算2セーブ目を挙げた。
守護神メイソン・ミラー(28)は11、12日と2連投し、計44球。セットアッパー左腕のエイドリアン・モレホン(27)も同じく2試合連続で登板して計26球を投げていた。一方、松井は11日に1回無失点、12日は登板せず休養。通常の勝ちパターン継投を起用できないチーム事情で松井が代役クローザーを務めた。
「連投でミラー、モレホンを使えない日が今までもあったし、これからもある。そこで首脳陣が『じゃあ、松井でいくか』と名前が挙がるような存在になれるようにまずは、与えられたところでゼロを続けるように頑張ります」
以前にそう話していた通りの展開で見事に結果を示した。後半戦で安定感を増し、オールスター明けは23試合に登板。3勝0敗1セーブ、防御率1.04、26回で自責点3に抑え、WHIP0.85をマークしている。ポストシーズン進出争いの終盤でチームの信頼を高めている。
松井の月別成績(4月は負傷者リスト入り)
- 5月:8試合、0勝0敗、防御率0.60、15回、6安打、7四球、15三振
- 6月:12試合、0勝1敗、防御率2.51、14回1/3、12安打、7四球、18三振
- 7月:11試合、2勝0敗、防御率4.38、12回1/3、7安打、10四球、12三振
- 8月:11試合、1勝0敗、防御率0.77、11回2/3、5安打、7四球、13三振
- 9月:6試合、0勝0敗、1セーブ、防御率1.59、5回2/3、自責点1(※13日終了時点)
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