山本由伸、巧みな配球で勝ち投手に

March 18th, 2025

100年以上の歴史を持つ大リーグで史上初の日本人開幕投手対決でドジャースのマウンドを託されたのは26歳、メジャー2年目の山本由伸だ。

「開幕戦という試合で東京シリーズの特別な試合で日本人同士が先発する。本当に特別な試合になると思うのでとにかく自分の持っている力以上のものを出せるように頑張りたいと思います」

試合前にそう話した山本由伸(26)は、巧みな配球でカブス打線を1失点に抑え、勝ち投手となった

初回は1球目を投じる前にピッチクロック違反で1ボールを取られるアクシデントもあり、先頭のハップに四球を与えたが、平均球速97.4マイル(約157キロ)の速球を軸に後続を打ち取って無失点で切り抜けた。

2回に一死から6番スワンソンが両チーム通じて初の安打を記録。その後、二死二塁で8番アマヤに97.5マイル(約157キロ)を右中間への適時二塁打を浴び、先制点を与えた。

しかしここからが山本の巧さが光った。

カブス打線が速球とカーブを待っていると読んだバッテリーは3回からスプリット中心の配球に変更。先頭打者のハップの打球に山本が反応し、グラブで弾き、アンラッキーな安打を許したが、その後、落差の大きいスプリットを中心とした配球で、鈴木、タッカー、ブッシュを打ち取った。

特にブッシュに対してはほぼ同じコースでスプリットを4球続けるなど強気の投球を見せると、ドジャース実況席にゲスト解説として入ったベテラン左腕カーショウが「ヤマ(山本由伸)のスプリットを打つのは難しい。空振り率も高い。同じコースに続けるのはいい選択だ」と分析し、内角真ん中のスプリットでブッシュを空振り三振に打ち取ると笑顔を見せる場面もあった。

圧巻だったのは4回。

先頭の5番ショウ、6番スワンソンから2者連続の空振り三振を奪い、この試合初めてカブス打線を三者凡退に抑えると、5回はアマヤ、バーティー、ハップの3人をわずか9球で三者凡退に抑えた。

ドジャースの勝利に山本は「開幕戦という特別な試合。東京での開幕という僕たち日本人にとっては特に大切な試合で勝てたのはすごく良かった。試合前からすごくコンディションが良かった。アリゾナの(春季キャンプの)時からフォームもどんどん良くなってきていたので、球速につながったと思う。たくさんの方の応援が力になった。東京ドームに来られなかったファンも多いと思うが、皆さんの思いが届いて力になった」と笑顔で語った。

昨年の韓国シリーズのパドレス戦では最速96.6マイル(約155キロ)、平均95.4マイル(約154キロ)だったが、この日は最速98.1マイル(約158キロ)、平均96.8マイル(約156キロ)をマークするなど、山本の成長と今季のさらなる飛躍が期待される登板になった。