思い出の地で迎える大一番。敗退か、進出をかける一戦でジンクスとデータ、歴史に挑む。
ダルビッシュ有(39)はカブスとのワイルドカードシリーズ(WCS=3回戦制)の第3戦で先発する。
第1戦は1−3でカブスが先勝。第2戦は3-0でパドレスがタイに戻し、地区シリーズ進出に逆王手をかけた。負ければ、シーズン終了の第3戦でベテラン右腕がチームの命運を託される。
「いつもと変わらず。本当にそれ(負けたら敗退など)を考えても何も変わらない。だから本当シーズン中と同じで、この試合に勝つために何ができるか。だから、あまり考え過ぎない」
前日調整は、キャッチボールとブルペンでのシャドーピッチング兼イメージトレーニング。のしかかるプレッシャーは理解している。だからこそ、今を見つめ、自分にできることだけに集中する。それが勝利への可能性を高め、そしてジンクス打破にもつながる。
2022年にポストシーズンが現行ルールになって以降、敵地でWCSを戦い、第1戦に敗戦したチームで地区シリーズに進出した歴史はない。つまり、現状ではデータ上、カブスが100%、次のステージに進む。
2020年のコロナ禍で開催されたWCSを含めると3回戦制(2勝で勝ち抜け)のWCSで初戦を取った20チームのうち18チームが次のラウンドへ進んでいる。そして、パドレスは2020年のWCSで第1戦を落としながら、カージナルスに2勝1敗に勝利している。さらにこのシリーズ史上初めて、敵地で第1戦を落とした後に第3戦へ持ち込んだチームだ。負のデータを覆す“予兆”はある。
「必死ですごく苦しんだ年ではありました。でも本当に球団とかスタッフの人にすごく支えられてここまで来たので、いろんなことがありましたけど、この場に立ってることにすごく感謝してます」
右肘の負傷があり、レギュラーシーズン初先発は7月までずれ込んだ。復帰後は、先発ローテーションから離脱することなく投げ続けた。ダルビッシュがカブスからパドレスにトレード移籍した2021年以降、5シーズンで3度目のポストシーズン進出。移籍後、ポストシーズンでカブスに投げるのは初めてだ。
「すごくお世話になった球団ですし、ファンの方にもそうですし、本当に思い出深い場所なので、またプレーオフで投げられることもすごく楽しみにしています」
2018年にカブスと6年総額1億2600万ドル(当時のレートで約145億円)の大型契約を結んだ。しかし、1年目は右上腕の不調でわずか8試合の登板に終わった。
「2018年が自分の中で一番苦しかった」
一時は「日々、自分に対して絶望感もありました。俺もこうやって終わっていくのかな」と心は沈んだ。家族の支えもあり、体調は改善。復調に向かった。
2019年に復活。31先発で178回2/3を投げた。コロナ禍の2020年は8勝3敗、防御率2.01でナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で2位だった。
「本当に特別な場所とファンの方々。苦しいときにも支えてもらいましたし、良くなっていくときもすごく応援してもらいましたから。またこの舞台でその方たちの前で投げられることは、すごくうれしい。同時にやっぱり倒しにいかないといけないので、ちゃんと勝てるように」
家族とともにケガや不調を乗り越え、人生のアップダウンを経験した地がシカゴ。投手として「絶望」を感じた瞬間もあったが、希望の光が差した経験はカブスのユニホームを着ていたときだ。
リグレーフィールドやミシガン湖を臨む景色、シカゴの風、ファンの声。どれもダルビッシュの野球人生には、大切でかけがえのないものだ。パドレスの勝利を目指し、シカゴのマウンドに上がる。
