第3戦、18回に及ぶ死闘を制したドジャースがシリーズの流れをつかんだ。そう思った人は多かっただろう。ブルージェイズが、あの試合から立ち直るのはほぼ不可能だと。
しかし、結果はご存知の通り。ブルージェイズはその後の2試合でドジャースを12-3と圧倒している。ただし、相手はドジャース。最後の1勝を手にするまで、安心はできない。そんなブルージェイズには、トロントの大観衆がついている。間違いなくロジャースセンターは熱狂に包まれるはずだ。
ここではそんな第6戦に向けた3つの注目ポイントを紹介する。
ワールドシリーズ第6戦
試合開始:東部時間午後8時 放送:FOX
日本時間11月1日、午前9時 放送:NHK総合、SpoTV Now、JSports 3
先発投手: 山本由伸(LAD) vs. ケビン・ゴーズマン(TOR)
山本由伸はドジャースを救えるか?
もし今、シーズンを左右する試合を任せる先発投手を選ぶなら、間違いなく山本由伸(27)だ。
山本はここ2週間、昔ながらの「先発完投時代」を思わせる投球を続けている。ナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦ではブルワーズを3安打完投、ワールドシリーズ第2戦ではブルージェイズを4安打完投で抑えた。
ここ数試合、ドジャースのブルペンが打ち込まれている現状を考えれば、チームが再び山本に完投を期待するのも無理はない。実際、今シリーズで18イニングの死闘以外にドジャースが勝った唯一の試合は、山本がブルージェイズを翻弄した第2戦しかない。
投手のパフォーマンスを測る指標の一つである、ゲームスコアによると、直近2試合の山本の投球はMLBキャリアでトップ3に入る出来。これをどう見るか。ひとつは「今まさにピークを迎えている」という見方、もうひとつは「この状態が長く続くはずがない」という見方だ。ドジャースは、前者であることを祈っている。
ケビン・ゴーズマンは伝説になれるか?
ケビン・ゴーズマンはここ数年、間違いなく一流の実力を持ちながら、過小評価されてきた投手の1人だ。
筆者の見立てでは、右腕がオリオールズ時代に有望株とされながらも、その才能が開花まで時間がかかったため、人々はジャイアンツ、そして2022年以降のブルージェイズで見せている成長と投球を正しく評価できていないのだろう。
ゴーズマンはブルージェイズで2度、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票トップ10入りを果たし、過去4シーズンすべてで31試合以上に先発。常に不安を抱えてきたブルージェイズ先発陣の中で、安定感をもたらし続けた。
それだけではない。ゴーズマンはすでにブルージェイズの球団史に名を刻んでいる。わずか4シーズンで通算奪三振数は球団7位。700イニング以上投げた投手の中では、防御率3位、WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したか=与四球+被安打÷投球回)では1位を誇る。
そして何より、第2戦では、七回に2本のソロ本塁打を浴びるまで山本と互角に投げあった。
それでも、人によってはゴーズマンをブルージェイズ史に名を刻むスターの1人と認めないかもしれない。しかし、第6戦、ロジャースセンターの熱狂的なファンの前で、文句なしの「伝説」になるチャンスを迎えている。
32年ぶりのワールドシリーズ制覇に飢えたカナダ中のファンにとって、そしてゴーズマン自身にとって、歴史的な夜となるか。
「最強」と呼ばれたドジャース打線はどこへ
ドジャースは今季、予想よりも勝ち星を伸ばせなかったが、10月には本来の姿を取り戻したかのように見えていた。
しかし、最悪のタイミングでシーズン序盤からの弱点が表面化している。リリーフ陣の不安定さが目立つ上に、上位偏重な打線も深刻だ。大谷翔平(31)は依然として別格でフレディ・フリーマンとテオスカー・ヘルナンデスも安定しているが、その他の打者は壊滅状態だ。
ウィル・スミスは打率.238で長打は1本のみで、マックス・マンシーは20打数3安打。キケ・ヘルナンデスは第5戦で本塁打を放ったものの出塁率.200、19打数10三振と調子は落ちている。トミー・エドマンは21打数3安打。アレックス・コールとアンディ・パヘス(第5戦はベンチ)は合わせて22打数2安打。そして最悪なのはムーキー・ベッツだ。23打数3安打、長打ゼロ、OPS.361。「本当にひどい」と本人も語っている。
第3戦後に「大谷は毎打席歩かせるかもしれない」と冗談を言ったジョン・シュナイダー監督だが、現状のドジャース打線を見る限り、それもあながち悪い戦略ではないように思える。
第6戦でこの沈黙を破る選手がいるかどうか。注目すべきはマンシーだ。ゴーズマンからは、WS第2戦を含め、通算21打席で4本塁打を放っており、出塁率.481、長打率1.000と相性が抜群だ。
