WS第7戦のヒーローになるのは誰だ?

November 1st, 2025

ワールドシリーズ(WS)第7戦では、何が起きても不思議ではない。誰でもヒーローになれる可能性がある。

直近のWS第7戦は2019年、ナショナルズが敵地ヒューストンでアストロズに逆転勝利した試合だ。最大の一打を放ったのは、控え的な役割の36歳、ハウィー・ケンドリックだった。七回に放った2ランで逆転。そのままリードを守り切った。

2025年のワールドシリーズ第7戦はトロントで決着する。ドジャースとブルージェイズのスターの誰かが、今後何十年も繰り返し流されるハイライトを生むかもしれない。大谷翔平(31)か、ブラディミール・ゲレーロJr.か、ムーキー・ベッツか、ジョージ・スプリンガーか、タイラー・グラスナウか、マックス・シャーザーか。候補は尽きない。

一方で、このシリーズに永遠の足跡を残すのは、名前の知名度や派手な数字、9ケタ(150億円以上)の生涯年俸を持たない選手かもしれない。では誰か。そこで、MLB.comの記者とリサーチグループに有力候補を挙げてもらった。

各チームの「伏兵」になり得る第7戦のヒーロー候補を3人ずつ紹介する。

ドジャース

キケ・ヘルナンデスには、まるで2つの人格が存在する。一人はレギュラーシーズンのキケ。通算打率.236、OPS.708、そして2018年以降でリーグ平均を上回るOPS+を記録したのは1度きりの選手だ。

もう一人は“10月のキケ”だ。ポストシーズン通算打率.273、OPS.833を誇り、何度も勝負どころで結果を出してきた。WS第6戦で左翼の守備から試合を締めるダブルプレーを完成させた張本人だ。「ロジャースセンターの照明でアンドレス・ヒメネスの打球を一瞬見失った」と明かしたが、あの打球は“プレーオフのキケ”のグラブに収まる運命だった。

それでもヘルナンデスは、大谷、ベッツ、フリーマンのようなスター選手と同列に語られる存在ではない。少なくともロサンゼルスの外では、名前が広く知られている選手ではない。ただ、すべてが懸かった舞台で力を発揮する不思議な力を持っている。

第7戦の舞台ほど、その「すべてが懸かる瞬間」にふさわしい場所はない。
“10月のキケ”が輝く、最高の舞台だ。

――ブライアン・マーフィー

ポストシーズンではここまで5試合に登板し、11安打、7自責点、防御率9.95と結果を残せていない。だが直近の登板では、第3戦の延長18回で2回2/3を無失点、2三振。これが転機になれば、ドジャースにとっては大きな存在だ。

第6戦のドジャース救援陣は何度も揺さぶられながらも踏ん張り、ジャスティン・ロブレスキー、佐々木朗希(23)、グラスナウがそれぞれ1イニングを投げて第7戦へつないだ。ただし内容は同じではなく、ロブレスキーは16球、佐々木は33球、グラスナウは3球で切り抜けた。第4戦から中3日で先発する大谷が長い回を投げられない可能性もあるだけに、勝負どころで任せられるもう一枚の救援は欲しい。

レギュラーシーズンに主として先発で好投していたシーアンには、必要なイニングを稼ぐ役目、あるいはリードを守る終盤の1イニングをきっちり片づける役目が与えられるかもしれない。どちらのシナリオでも、ここまでの不振を立て直し、球団史に残る活躍をするかもしれない。

――セオ・デローサ

ミゲル・ロハス(二塁手)

デーブ・ロバーツ監督は、長引くアンディ・パヘスの不振を受けて打線の下位を立て直す策を探ってきた。第5戦ではアレックス・コールを先発起用し、第6戦では再び方針を変え、ドジャースの“潤滑油”と評するロハスを二塁に据え、トミー・エドマンを中堅へ回した。シーズンをつなぐ勝利のあと、ロバーツ監督は第7戦でもこの布陣を継続すると明言した。ロハスは3打数無安打だったが、守備では安定感を示し、とりわけ試合を締めくくる劇的なダブルプレーでヘルナンデスの二塁への送球を巧みにすくい上げてアウトにした好捕が光った。

勝敗を分ける一戦で、再びロハスの堅実なグラブが大きな働きを見せるかもしれない。あるいは、コンタクト重視の打撃で要所の一打を落としてくる可能性もある。いずれにしても、36歳、メジャー12年目のベテランでチームメートから愛されるロハスが第7戦で象徴的な瞬間をつくれば、物語性のある一幕になる。

――アンドリュー・サイモン

ブルージェイズ

デービス・シュナイダー(二塁手/外野手)

シュナイダーがブルージェイズのファンの心をつかむのに時間はかからなかった。2023年のメジャー最初の25試合で、眼鏡と口ひげがトレードマークの二塁手兼外野手は打率.370、OPS 1.315を記録。デビューから25試合でのOPSとしては過去最高だった。だとすれば、第7戦で本拠地の観客の前でヒーローになる、という展開はこの上なくふさわしい。

今シリーズでもすでに大仕事をしている。第5戦ではドジャースタジアムで先頭打者としてブレイク・スネルの初球を本塁打。続く打者のゲレーロJr.もスネルから連発した。第3戦では10回に代打で出場し、第1打席で内野安打。12回には満塁の場面をつくった。

今ポストシーズンでブルージェイズはここまで17試合を戦い、シュナイダーは先発が5試合にとどまるが、右の代打の切り札として重要な役割を担っている。キャリア通算では右投手に対してやや良く(OPS .743)、左投手に対してはOPS .725と大差ない。ほぼどのタイミングでも効果的に起用できる。第7戦で出番がくれば、歴史に名を刻む一撃を放つ十分なチャンスがある。

――セオ・デローサ

ボー・ビシェットは左膝の状態が万全ではないため、試合途中からでも第7戦でカイナー=ファレファが起用される可能性は十分にある。今シリーズでは打撃で結果が出ていないが、マリナーズに勝利した第7戦のア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)では打率.333、二塁打2本と好調だった。ポストシーズンの経験も豊富で、2022年のヤンキース時代と今季ブルージェイズで計20試合に出場している。

長打は少ないものの、2025年のブルージェイズ打線を支えた要素の一部を体現している。つまり、コンタクト率が高く(レギュラーシーズンの空振り率15.1%)、三振が少ない(同三振率16.8%)。今ポストシーズンのブルージェイズは、打球を前に飛ばして相手守備にプレッシャーをかけることの有効性を示してきた。

終盤の大事な場面で「前に飛ばすこと」が勝敗を分ける展開になれば、カイナー=ファレファが脚光を浴び、ブルージェイズの歴史に名を刻む一打を放つ可能性はある。

――マニー・ランダワ

クリス・バシット(右投手)

36歳のバシットは、地区シリーズではロースター入りすらできなかった。ブルージェイズは先発投手を3人だけ登録する選択をしたためだ。ALCSでも立場は微妙で、レギュラーシーズンで31試合に先発しながら、ブルペン待機に回り、ロングリリーフ要員になると見られていた。

しかし、ここ数週間でバシットはシュナイダー監督から強い信頼を得る存在になった。ポストシーズン6試合で7回2/3を投げ、1安打、無失点。たびたび重要な場面を任され、ALCS第7戦の八回を無失点で切り抜けてチームをリーグ優勝へ導いた。メジャー11年目のベテランにとって、これほど勝ち進んだポストシーズンは初めてであり、チャンスを存分に生かしている。

WS第6戦でも1イニングを三者凡退で締めた。今ポストシーズンですでに連投を経験済みで、先発から救援へ転向した投手が直面するハードルを乗り越えている。第7戦では重要なリリーフの一角を担う可能性が高い。先発するシャーザーのイニングが短くなることは確実視されており、バシットは次のリリーフへの橋渡し役にも、あるいは自らアウトを積み重ねる役にもなり得る。すでにその両方ができることを証明している。

――ジャレッド・グリーンスパン